群馬妙義山の中間道は中之嶽神社から妙義神社に詣でる山腹道

※この記事で紹介する内容にはPR・広告が含まれています。

妙義山麓の中之嶽神社から表妙義の妙義神社までを結んで妙義山の山腹を横切る「中間道」と呼ばれるトレッキングコースがあります。「関東ふれあいの道」と名付けられら約10kmの自然歩道ですが、今回は本読みの僧の先、タルワキ沢入口と妙義神社方面への第二見晴の間が崩落しており本読み僧の手前から一本杉へ下り中之嶽神社に戻って、その後妙義神社の詣でることにします。

前回の「石門めぐりコース」と同様出発地の中之嶽神社の入口前にある県立妙義公園駐車場(トイレも完備し400台駐車可能)に車をとめます。標高720m、ここから前方を見上げるとさっそく荒々しい岩山が眼前に迫ってきます。飲料水の自動販売機もあり、トレッキングの準備をしっかりしてから中之嶽神社の鳥居をくぐり、黄金色の大黒様に挨拶をして出発です。

中之嶽神社」は、拝殿と幣殿のみで本殿を持たず巨石「轟岩」を御神体として祀ります。その拝殿を目指して145段、斜度40°の長い急な階段を上っていきます。

1000年以上の歴史を持ち、幣殿が岩に突き刺さるように設けられ、丸みを帯びた大岩にすっぽり収まった神秘的な拝殿の脇から登っていきます。

しばらく石畳や木の階段が整備された山道を登っていきます。中之嶽神社から380mで石門コースとの分岐に到着です。右に行けば標高914m、石門めぐりコース最高地点で第四石門を見下ろす絶景ポイントですが、前回訪れているので右手第四石門を目指します。

第四石門への道は坂になっていて岩壁に鎖が取付てあるので滑らないようにしっかり掴りまながら下っていきます。

第四石門前の広場に出たらそのまま巨大な岩のアーチをくぐり大砲岩方面に登っていきます。

大砲岩への分岐まで出たら左手、妙義山神社方面に下っていきます。妙義神社まで4.1km、利用者の多い中間道“関東ふれあいの道”はどの道もかなり整備が行き届いていて軽装でも大丈夫です。

ここから先はトレッキングルートを山腹に沿って中間道をさらに妙義神社方面に歩いていきます。

しばらくすると鉄の階段が現れ、さらに大岩壁のえぐられた岩の庇の下に道が続きます。

さらに進んだ所では天井の岩に頭がぶつかりそうなほどです。岩庇は崩れてこないだろうかと心配しながら自然の造形美に目を見張るばかりです。しかし油断すると天井に頭をぶつけるので注意します。

岩庇を抜けるとまたすぐに約170段の下りの長い鉄階段が現れます。

 

 

鉄階段の下りでは、両側が切れ落ちている為、高度感がありスリリングです。

しばらくはアップダウンの少ないとても歩きやすい道が続き、仲間とおしゃべりでもしながら歩くと楽しい。「四阿(あずまや)」が見えてくるあたりが休憩ポイントです。

ここから20分ほど歩くと「本読みの僧」と言われる小さなお地蔵様が姿を見せるのですが、その先が崩落で通行留めになっているため下って「大人場(おにんば)」まで下っていきます。小尾根のような道で軽石が多く滑りやすいので注意が必要です。

20分程で標高538mの「大人場」に到着です。ここは中間道(四阿設置地点)と一本杉・石門登山口への分岐点になります。

林の奥には下枝が立ちあがって特異な枝ぶりとなっている針葉樹があり、神居木(かもいぎ)といいます。昔から山の神(または天狗)が腰をかけて休む場所であると信じられていて、傷つけたり、切ったりするとたちまち祟るといい伝えられてきました。

最後にもうひと頑張りと「一本杉」を目指して七曲りを上って行きます。

歩くこと45分「一本杉」に到着です。明治15年3月18日の山火事により中之岳は焼き尽くされましたが、この一本杉のところでようやく鎮火しました。その時たった一本の杉が焼け残り、誰いうとなく一本杉というようになりました。樹齢500年とういう戦国時代に生を受けた杉の木です。この杉の木までが下仁田町になります。

ここからは「金鶏山」が真近に眺めることができます。ここは石門一帯の所有者であり、ハイカー達から『妙義のおばあさん』と親しまれた柴垣はるさんが居を構えていた場所です。

ここには文化6年(1809)と記された日本武尊権現の大きな常夜燈があります。これに油を注ぎ灯火すると遠く熊谷市から見えたとのことです。

ここから50mほど坂をくだると県道196号(妙義紅葉ライン)ですので道沿いに約1km、15分程歩いて駐車場に戻ります。前回の「石門めぐりコース」はコロコロと様相を変えながらテンポよく見どころが登場する探検ルートであり、今回の第四石門以降の後半は息も切れることなくゆっくりとあるけます。崩落個所が修復されれば一日数時間の行程ですが踏破してみたいアドベンチャールートです。

道の崩落により歩いてゴール地点の妙義神社に行けなかったが、トレキッングの無事を報告に参詣します。妙義・赤城・榛名の「上毛三山」は信仰の山。それぞれ壮大な縁起を秘め、神秘的な雰囲気に包まれたパワースポットです。妙義山の主峰、白雲山の東麓に鎮座する「妙義神社」は妙義山信仰の中心となる神社です。創建は宣化天皇2年(537)と伝わり、元は波己曾大神と称し後に妙義と改められました。そもそも妙義という所以は、後醍醐天皇に仕えた権大納言長親卿がこの地に住んで明々魂々たる山の奇勝をめで、明魂と名付けたものを後世妙義と改めたと思われる。祭神として日本武尊などを祀り、2009年大河ドラマ「天地人」において雲洞庵のシーンは当社で行われています。

神仏習合時代、妙義神社には別当として白雲山高顕院石塔寺がありました。寛永14年(1637)に中興の祖と伝わる長清法印が入院し、上野東叡山寛永寺の末寺となりました。以来江戸時代は関東平野の北西に位置するため江戸の乾天門の鎮めとして、家運永久子孫繁昌を願って歴代の徳川将軍家に深く信仰されました。

境内は上部の神域と下部の旧寺域に分れていて、これらは明暦から元禄年間に長清法印により基盤がつくられたのち宝暦から安永年間にかけて大造営が行われてさらに整備されたものです。参道は県道に面した一の鳥居(昭和49年)からご本社のある神域までほぼ一直線に延びています。

鳥居をくぐり急坂を上り詰めると「総門」があります。関東一の壮大さを誇る鮮やかな朱色の総門は高さ12m、切妻造りの八脚門で安永2年(1773)の建立。明治の廃仏毀釈により廃寺となった白雲山石塔寺の仁王門だったため、妙義神社の総門となった現在も左右に仁王像が祀られています。

その先の石段を上がった右手側は明治期以前に石塔寺がおかれていた旧寺域で現在は社務所と御殿が置かれている。青銅製の灯籠には美しい細かな装飾が施されています。

妙義神社の社務所で標高476m。妙義神社のパエワースポットは樹齢500年の三本杉に囲まれた三角形の空間だと言われており、それが社務所前とのこと。

妙義神社は斜面に作らているため、境内は急勾配です。そのため妙義山から採れた安山岩で作った高さ数十メートルの旧御殿下の石垣をはじめとする各所の石垣は其の技巧の巧なること比類ないです。

石段を上がると、旧寺域と同じ高さに銅鳥居(嘉永6年)がありこれをくぐった右手奥に旧御本社の「波己曾社」が鎮座します。本殿・弊殿・拝殿からなり、三百数十年前の明暦2年(1656)に建造されたと推定されています。

銅鳥居から参道を進み石造りの太鼓橋を渡ると上部神域一直線に延びる165段の石段があります。ここは2005年大河ドラマ「義経」で、牛若丸が修行する鞍馬寺という設定でロケ地になりました。右手の水路脇の道は脇参道で楽に本殿に登ることができます。

これを登り切った神域の入口に「隋神門」があり、北側に袖回廊が連なります

隋神門をくぐると参道は左にいったん鈎の手に折れ進み、右手の階段を上ると神域上段部の入口となる「唐門」があります。宝暦6年(1756)建立の全国有数の趣向を凝らした装飾は一見の価値あり。

唐門を反対側から撮ったもので遠くに周辺の街並みも見えます。

門をくぐった正面には拝殿、幣殿、本殿からなる御本社が鎮座します。宝暦6年(1756)黒漆塗り権現造りで、日光東照宮の彫刻師はここにきて彫り上げたと伝わるぐらい上毛の日光といわれるほど見事な彫刻があり、柱の金箔の龍や羽目板壁の鳳凰は圧巻です。また借景庭園としても有名で春はしだれ桜、秋は紅葉の絶景がつくり出されます。

本社からはスロープ側の遊歩道を歩いて下ります。途中には妙義山登山道入口があります。今度は石門からここまで歩いて来たいものです。

疲れた体を癒してくれるのが温泉です。国道254(通称コスモス街道)沿いに奇岩怪石が連なる景勝・内山峡の手前、街道から道を逸れること約15分、車がやっと通れるほどの狭い山道に、この先宿が本当にあるのか不安になってきた頃、ようやく見えてくるのが湯治場の風情を残す一軒宿「初谷温泉」です。荒船佐久高原国定公園内の初谷川に寄り添うように佇む初谷温泉の開湯は明治18年、初代増野定八が栗拾いに行って赤い水が湧いているのを見つけ、持ち帰って病弱な母に飲ませたところ快方に向かったのが創業の由来です。当時は簡易小屋で薪を使った沸かし湯でしたが、現在の建物は昭和63年(1988)に改装したもので、純和風の落ち着いた建物です。華美な装飾はありませんが、シンプルな木造の空間は懐かしい時代のやすらぎに満ちています自然に囲まれた環境はストレスがたまった体に良いとのこと。

源泉は宿の裏手、初谷沢の縁からに湧き出る約14度の冷鉱泉の「宝命水」。鉄分を多く含んだ茶褐色も湯で胃腸に良いと言われています。岩肌の底にたまった水をすくって飲むと、しょっぱく苦い複雑な味にからまって微妙な炭酸が下をくすぐります。天然サイダーと呼ばれるこの水は無料で持ち帰ることも可能です。

浴槽は2槽に分れ、壁際が温泉湯で手前がさら湯です。まずさら湯に入って体の汚れを落とし、温泉の成分を吸収しやすくなったら温泉湯に浸かります。鉄分を含んだ温泉湯はタオルを入れると赤褐色に染まるほどです。宿が用意してくれたペットボトルに宝命水を入れて、温泉湯の浴槽に浸かりつつ飲むと胃腸病にさらに効果があるといいます。

静かな山あいに今も昔ながらの風情が残る親しみやすい温泉宿です。

 

 

 

 

 

 

 

 

おすすめの記事