360°の大パノラマを堪能!旧中山道で巡る三峰山登山コース

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三峰山は長野県松本市、長和町、下諏訪町の境にある標高1887mの山です。南北に日本百名山の霧ヶ峰と美ヶ原があり、車を利用して気軽に登れることから両方とも登山者や観光客で賑わっていますが三峰山は静かな山歩きが楽しめます。主要登山口の三峰展望台駐車場へはビーナスライン経由でアクセスでき、駐車場からは往復1時間程度で登れます。今回はビーナスライン手前の西餅茶屋から旧中山道を通り、古峠(和田峠)を経由して草原の山、三峰山を目指します。往復9km、所要時間4時間半のコースです。

国道142号沿い、新和田トンネルの手前の駐車帯に車を停め、旧中山道に入って行きます。

中山道は江戸の板橋宿から近江の守山宿まで67宿ですが、京都までの69宿、132里10町(約520km)を言う場合もあり、1日7里(28km)とすれば、17日の行程です。木曽路を通るので「木曽街道」とも呼ばれ、信濃には26宿ありました。和田宿は江戸板橋宿から28番目の宿場で、幕府の公用旅行者の継ぎ立て業務を取り扱うところであったが、参勤交代で中山道を通行する34家の大名や一般旅行者が休泊する場所でもありました。天保14年(1843)の「中山道宿村大概帳」によると、宿の長さ7町58間(約870m)、人数522人、家数126軒、うち本陣1、脇本陣2、問屋2、旅籠28(大12、中4、小12)となっています。和田宿は下諏訪宿まで中山道随一の長丁場であるうえ、上り2里半、下り2里半という和田峠の難所をひかえ、継ぎ立てにあたる伝馬役、歩行役の苦労は並大抵ではありませんですた。

西餅屋茶屋跡の西餅屋は江戸時代中山道下諏訪宿と和田宿の五里十八丁の峠都路に設けられた「立場(人馬が休憩する所)」であった。中山道は江戸と京都を結ぶ裏街道として重視されていました。ここは茶屋本陣の小口家と武居家、犬養家、小松家の四軒があり、藩界にあったので、ときには穀留番所が置かれました。幕末の砥沢口合戦の時には、高島藩の作戦で焼失されたが、すぐに再建された。現在は道の「曲之手」と茶屋跡が残っています。写真左奥の解説版の立っているところが西餅屋茶屋跡でここから第一到着目標古峠まで2.9kmです。

茶屋跡から中山道を上っていき、約160m先とその後約400m先で国道を2度横切り、峠沢橋で再び中山道へ。中山道という案内板に沿って進みます。

石小屋まで約160m手前から道が細くなります。荷物取次場の解説版があり、「牛・馬による運搬はこの場所迄で、これよろ上は人足に頼らざるを得ませんでした。道幅はここまでは5尺5寸、これより上は3尺と決まられ、手入れがされていた」とのこと。

中山道の古峠は標高1600mの峠で難路で知られていて、下諏訪側の峠近くは急坂で風雪の時は旅人も人馬も難渋しました。大雪の時には雪割り人足も出動したほどで、下原村4の名主藤五郎は、安政2年(1855)に避難場所と荷置場を造ろうと郡御奉行所に口上書を差し出し、馬士の出金、旅人等援助を乞うて、50両ほどで石小屋を築きました。石小屋は、山腹を欠いて高さ約2mの石積みをし、この石積みを石垣壁として片屋根を掛けたもので、石垣からひさしの雨落ちまで2.3m長さ55mという大きいものでした。人馬の退避所や荷置場には絶好の施設でしたが、現在は石垣の一部を残すのみです。峠まであと420m

中山道呑み水石仏 第一の曲がりを過ぎれば古峠はすぐです。峠越えをする人や牛馬の喉の渇きを潤してきた場所です。

出発地点(標高1280m)から約1時間で旧中山道が越える古峠(標高1600m)に到着。中山道設定以来、江戸時代を通じて諸大名の参勤交代や一般旅人の通行、物資を運搬する牛馬の往き来などで賑わいをみせた峠です。頂上に遠く御嶽山の遥拝所がある。冬季は寒気も強い上に、降雪量の多く、冬の和田峠越えの厳しさは想像を絶するものがあったと想像できます。明治9年(1876)東餅屋から旧トンネルの上を通って西餅屋へ下る紅葉橋新道が開通したため、この峠は殆ど通る人はなくなり古峠の名を残すのみとなりました。写真奥の石柱辺りが御嶽山遥拝所です。遥拝所からは遠くに中央アルプスを望めます。

案内板を見て、中央分水嶺のトレイルに入ります。中央分水嶺トレイルとは、長野県の中信高原、霧ヶ峰・美ヶ原高原に連なる日本列島の中央分水嶺を踏破できるトレイルコースで、信州長和町の長門牧場から白樺湖、霧ヶ峰、和田峠を経て美ヶ原高原に至る全長38kmが公式ルートです。またジャパントレイルのコースの一部でもあり、道は整備され、全体的になだらかな勾配で、誰もが楽しめるコースになっていて、道中日本百名山のうち41座を眺めることができます。要所には道案内の標識があるので迷うこともありません。

唐松に覆われた道を進み、前方の小ピークへ向かいます。

小ピークを登っていく途中振り返ってみると、遠くに八ヶ岳連峰が望め、蓼科山のお椀を伏せたような山容が美しい。小ピークをひとつ超えて右へと尾根をたどれば左手の笹原の中に和田峠山北峰(1722m)がありますが、少し分かりづらく素通りしても問題ありません。

和田山北峰を過ぎたら見晴らし良くなり、この先からは、笹原の中の一本道を進みます。

来た道を振り返ってみると、登山道のすぐ横をビーナスラインが通っているのがよく分かります。

その先で緩やかに下れば展望が開け、三峰山の山頂への緩やかな稜線が望める。

小さなピークを右に巻いて緩やかに登ると、道脇には火山性と思われる大きな石がいくつかみられる。

ビーナスラインにニアミス。ビーナスラインを走るバイクの排気音が耳障りなのは仕方なく、日差しは強いものの、笹原を吹き抜ける涼しい風のおかげで清々しい。

緩やかに稜線を笹原が覆い、周囲の展望がさらに開ける。

レストハウスがあり三峰山茶屋からの道との合流地点に着く。

あとはやや広めの道を笹原の中、登っていきます。

その先には三峰山の標柱がある。三峯山は玄武岩質・安山石の地質を持つ笹原に覆われた独立峰。山頂からは360度の大パノラマが堪能できます。

山頂からの360度の展望を楽しみます。写真は美ヶ原方面で、奥の平な稜線に王ヶ頭の鉄塔が見えます。

北アルプス方面は、稜線付近に雲がかかっていますが確認できます。三峰山山頂の奥(石の先の二本の木)から、二ツ山へ5.6km、鉢伏山へは9.9kmと行くことが出来ます。

帰路は来た水戸を戻りピストン登山ですが、山頂の三等三角点から登ってきた道を見れば、笹原の中に一本道の稜線をたどる中央分水嶺を登ってきたことを実感します。

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