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五所川原と能代を結ぶ路線というのが路線名の由来の、JR五能線は青森県の川部駅と秋田県の東能代駅の全長147.2km、43駅を結ぶローカル線。海と山の間を縫うように日本海の沿岸ぎりぎりを走ることで人気の路線で、特に五所川原から先の6駅目の鯵ヶ沢から秋田県との県境近くの大間越駅間は、打ち寄せる波を車窓のすぐ向こうに感じながら、海岸線に沿って進みます。奇岩に彩られたダイナミックな海岸線、沈む夕日、緑なす世界自然遺産の白神山地や岩木山など、車窓からの風景は変化に富み、見る者を飽きさせることがない旅情豊かな風景が望めることから、「おすすめローカル線ランキング」で必ず上位に入る鉄道ファン憧れの路線です。秋田・青森の西の端、まだ見ぬ美しい風景が待っています。

明治41年(1908)に奥羽線の支線として開業した能代線と大正7年(1918)に開業した陸奥鉄道を買収し延伸した五所川原線が合わさり、昭和11年(1936)に全線開通して五能線に改称されました。この五能線の旅をさらに便利に快適にする快速列車が、平成9年(1997)に風光明媚な五能線にデビューした「リゾートしらかみ」です。車窓の風景をより楽しめるように窓が大きくデザインされた車両や、車内イベントなどが人気を呼び、2003年に「橅」編成、2006年には「くまげら」編成が登場し3編成となりました。2010年には「青池」編成が自然環境に優しいディーゼルハイブリッド車両に変わり、2016年にはさらにアイディアあふれる新型「橅」編成が登場しました。写真は「青池」編成

今回はリゾートしらかみ2号の弘前発8:44に乗車し、秋田を目指します。静けさ漂う冷たい空気が残る早朝のホームに、日本海と十二湖の青をイメージした青と白のツートンカラーが爽やかな「青池」編成が滑り込んできました。プシューと開く扉の向こうに一歩足を踏み入れれば、展望列車の旅が始まります。

車両は、非電化区間の五能線は基本的にディーゼル車で運行しますが、これにリチウムイオン蓄電池をを組み合わせたハイブリッド気動車HB-E300系とキハ40系気動車改造の専用車両の4両編成で、2号車がボックス席、その他は普通車指定席となっています。座席は通路より一段高くなり、車窓からの風景を充分に楽しめるように座面ギリギリまで大きく広がっている窓が特徴です。座席はすべてゆったりとしたリクライニングシートで、快適なシートでくつろぎながら、ワイドな車窓の向こうに流れる景色が堪能できます。

2号車のボックス席は家族やグループでの旅に最適なコンパートメントタイプ。座席はテーブル付きで、お弁当を広げるのにも便利です。座席はフラットにすることができ、ゆったりとくつろげます。

車両先頭は展望ラウンジとなり、景色を眺めたり、仲間とおしゃべりを楽しんだり、誰でも利用できるフリースペースです。ここで沿線の郷土芸能を楽しめるイベントを実施しています。

1号車が先頭車両で奥羽本線弘前駅に入線してきた列車は秋田方面に向かって4号車が先頭車両になり、そのままバックで川部駅まで進み、川部駅から五能線に入ります。その間座席は後ろ向きに乗車することになりますが、五能線に入れば前向き乗車に変わります。海側は常にA席ですので、予約の際は気を付けてください。

川部駅で進行方向が変わった列車は五能線に入り五所川原駅に9:26に着きます。12月中ですと津軽鉄道9:35発津軽中里行きストーブ列車に接続できます。車内には、ダルマストーブが置かれ、その上で焼くスルメなどを販売してお酒とスルメで旅情気分が盛り上がります。途中の金木駅は『走れメロス』等の作品で著名な太宰 治の生家・旧津島邸(現太宰治記念館 斜陽館)があり、太宰ファンの聖地になっています。

車内では、沿線の郷土芸能を楽しめるイベントを実施しています。リゾート白神2号では川部駅~陸奥鶴田間で津軽弁「語り部」実演。五所川原駅~鯵ヶ沢駅間では津軽三味線生演奏が3号車先頭展望室・イベントスペースで開催されます。津軽弁「語り部」実演は、津軽に古くから伝わる昔話を、地元の言葉でやさしく語ります。雄大な岩木山を望みながら聞く津軽弁は、貴重な旅の思い出になります。「よぐきたねし~(ようこそ)」と話し始めるともうそこは津軽の世界です。

五所川原駅~鯵ヶ沢駅間で行われる津軽三味線生演奏では独特の早いテンポで叩きつけるようにバチを弾き、「津軽じょんがら節」「鯵ヶ沢甚句」など代表的な民謡を演奏します。左手に岩木山を望み、リンゴ畑を突き進む中、勢いのあるバチさばきをBGMにして車窓を堪能できます。その音色は、荒れ狂う日本海のようにうねり、ただただ圧倒されるだけで、自然と拍手が沸き起こります。

9:52到着の鯵ヶ沢駅は、かつて“ブサかわ”な表情が愛くるしかった秋田犬「わさお」が観光駅長を務めた駅。大相撲の舞の海関出身の相撲と津軽三味線の町、津軽藩の御用港として栄えた由緒ある港町・鯵ヶ沢町です。ここから深浦にかけて車窓に日本海が現れるビューポイントになります。

五能線では、岩木山や白神山地も楽しめますが、やはり日本海の海岸線が印象的です。山が海に迫る合間の平坦な土地を、空を飛ぶ意カモメと同じくらいのスピードで、リゾートしらかみは走りますが、鯵ヶ沢駅~深浦駅間、特に千畳敷駅付近の絶景ポイントでは速度を落として運転されます。荒涼とした磯浜と穏やかな砂浜が交互に現れ、変化に富んだ車窓が楽しめます。そして岩舘駅~大間越間も圧巻です。

リゾートしらかみ2号では千畳敷駅10:15着10:30発で15分ほどの停車があり、海岸ミニ散歩が楽しめます。発車3分前に汽笛で知らせてくれるので安心です。寛政4年(1792)の大地震で地盤が隆起した千畳敷海岸は、津軽藩主が岩棚の上で畳千枚を敷いて、2000間の幕を張り酒宴を催したとの伝説が残ります。岩の上を歩くことができるので、その広さが実感でき、潮風が心地よく吹き抜けていきます。起伏が激しい岩場を歩く感触は、車内では味わえない旅の醍醐味。天気が良いと、水平線の向こうに北海道松前町が見えるらしい。

事前に沿線のおいしいお店の商品を、五能線モバイルオーダー「ごのたび」で事前に予約・決済し、乗車当日に駅のホームなどで受け取れるサービスもあります。今回は深浦駅に10:55着、10:59発で秋田駅13:29着までの旅路の伴にお弁当を注文しておきました。深浦駅で受け取れる商品は、深浦駅のほど近くに店を構える、海の幸から山の幸まで味わえる料理店「食べ物屋セイリング」の海彦山彦弁当とセットで同時購入できるお土産用のふかうら雪人参ビーフシチューです。

海彦山彦弁当は、深浦の旬な商材満載の特製弁当で海の幸、山の幸を楽しむことができます。新鮮なサーモン、マグロのマリネや魚のフライ、郷土食豊かな紅生姜入り稲荷寿司、野菜の肉巻きフライ、雪人参入りのビーフシチューなどが含まれ、ボリューム満点です。

ふかうら雪人参ビーフシチューは野菜とは思えないほど、フルーティーな味わいの「ふかうら雪人参」を使用したビーフシチューです。食べ応えのある牛肉とともに自宅でいただきます。ふかうら雪人参は北国の厳しい風雪と寒さで熟成された甘い人参で、一般的な人参よりも鮮やかなオレンジ色で生で食べてもおいしいフルーティーな味わい。サラダや野菜スティックもおすすめです。

11:13着のウェスパ椿山駅は、秘湯ファンにはたまらない「黄金崎不老不死温泉」の最寄り駅。波打ち際のワイルドなひょうたん型の露天風呂で絶景の入浴が楽しめます。泉質は含鉄-ナトリウム・マグネシウム-塩化物強塩泉で茶褐色の源泉をかけ流しで注がれています。熱くてしょっぱく、神経痛、腰痛、アトピー等に効能があります。

11:23着の十二湖駅は白神山地の一角に位置する十二湖の最寄り駅。江戸時代・宝永元年(1704)この地を襲った大地震によって谷口が堰き止められ、地盤が陥没して形成された33の湖沼が点在するブナの森に囲まれた美しい公園です。崩山の中腹(大崩展望所)から見下ろすと、小さい池は森の中に隠れ、大きな12の湖沼だけが見えことから「十二湖」と呼ばれます。標高150m~250mに広がる自然林の中に個性的な湖沼をめぐる散策路が整備されていて、気軽に楽しめます。なかでも青池は湖の底の倒木が見えるほどの透明度を持ち、神秘的な光景が見られます。

12:19東能代駅に着きますが、ここで奥羽本線に乗り換え、1時間半で弘前に戻ることもできます。東能代駅で進行方向が再度変わり、1号車が先頭車両になりますので、ここで座席を回転させる必要があります。

奥羽本線途中の大舘駅のある大館市は秋田県北部に位置し、周囲を山々に囲まれた秋田県のルーツの町。その山間部で、古くからマタギと暮らしていた土着犬が秋田県のルーツです。大舘犬とも呼ばれる土着犬は中型の犬でしたが、江戸時代に武士の士気を高めるに闘犬が盛んになると、より強い、体格のいい犬を求めて交配が行われるようになりました。このままでは純粋な秋田犬の血統が途絶えてしまうと考え、純血種保護に乗り出したのが当時、鉱山で栄えていた大舘の「旦那衆」でした。かろうじて山奧のマタギの元に残っていた土着犬を探し出し、「立ち耳」や「巻き尾」など秋田犬の特徴を残す犬と交配させることで、元の姿を取り戻していきました。渋谷駅で亡き主人を待ち続ける忠犬ハチ公が話題となり、「主人に忠実で賢い」という秋田県の魅力を世に知らしめることにつながっています。

JR大舘駅近くにある観光交流施設「秋田犬の里」は、令和元年にオープンした大正時代の渋谷駅をモデルにした建物で、ガラス張りの部屋でくつろいだ姿を見せてくれる秋田犬展示室やミュージアムの他、秋田犬グッズや地元の名産品が揃うお土産コーナーもあります。

大舘の駅弁といえば花善の「鶏めし弁当」です。昭和22年(1947)の発売以来、甘辛い鶏肉とご飯のバランスが絶妙で、多くの駅弁ファンに指示され、「東の横綱」の呼び声も高く、駅弁コンテストで上位に入る人気弁当です。※はあきたこまち100%で、比内地鶏を独自に品種交配させた鶏肉のスープで炊き上げています。ほのかに甘い味付けが特徴です。ご飯は秋田杉のおひつに移し、風味をつけてから容器に盛り込む。おかずは醤油で柔らかく煮たぶつ切りの鶏肉、厚焼き卵、かまぼこなど。ご飯の上の炒り卵の白と黄色のコントラストが美しい。

五能線リジートしらかみの旅も13:29秋田駅着で終わります。

秋田駅駅ビル正面入口の真横という好立地にあるのが「あきたくらす」。旅人も地元の人も一緒に肩を並べ、秋田の美酒に酔えるバーです。ロゴの◎と点々は、利きちょこの蛇の目と米を表現し、「山本」「雪の茅舎」「一白水成」など全国に知られる秋田の銘酒の他、店こだわりの銘柄を常時入れ替えながら10種ほど提供しています。つまみは5種類あり、いぶりがっこをはじめ郷土の味で楽しませてくれます。グラスも器も秋田県内で活躍する若手作家のもので店の細部にも秋田愛が宿っています。

五能線沿線には魅力ある観光体験がいっぱいです。いったん下車して観光し、次の電車でさらに先へと、時刻表を見ながら、自分だけの旅をプランニングしてみてはいかがでしょう。五能線沿線の詳しい沿線スポットは「白神山地と津軽西海岸の絶景スポット!JR五能線沿いの旅」を参照してみてください。https://wakuwakutrip.com/archives/7747

※JR東日本大人の休日倶楽部CM「五能線」編『青森から秋田へ 日本海沿いを走る五能線 目的地は車窓からの景色 そんな旅もいいものです。』とリゾートしらかみ「」に乗車しています。「橅」の車体はグラデーションでブナ林を描いているのが新しく、車両デザインはJR東日本のクルーズトレイン四季島を手掛けた奥山清行氏です。

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