古き良き日本の原風景を露天で愛でる里山の一軒宿「嵐渓荘」

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清流五十嵐川と八木ヶ鼻に守られたのどかな山里風景が広がる山紫水明の里、旧下田村(現・三条市)「しただ郷」。その里山の渓流沿いの一軒宿が、「渓流館」「緑風館」「りんどう館」と館を3つ持ち客室は17室ある日本秘湯を守る会会員、新潟県しただ温泉郷 越後長野温泉「嵐渓荘」です。

のどかな山里の風景が、越後山脈の名峰・守門岳から流れる守門川に沿って3000坪の敷地が広がり、涼やかな風が渡り、スイスイとトンボが飛ぶ。敷地内には清冽な山水を引き入れた堰が設けられ、瀬音に混じって水車が音を立てています。水車の脇には石置き屋根の東屋や炭窯もあり、いかにも郷愁を誘う情景がそこにあります。

広大な敷地に囲まれて立つ玄関がある木造3階建ての風格ある建物の緑風館は、昭和8年頃に建てられた燕駅前にあった料亭小川屋を移築したもので、往時の粋を尽くして造られており、入母屋造り妻入りの風格あふれる玄関や屋根に今も飾り窓やちょこんと載った望楼などハイカラな作りが残り、ノスタルジーを醸しています。1階がフロントやロビー、2階と3階に客室が5部屋あり、それぞれ意匠の異なる客室に泊まれ、国の登録有形文化財に指定されています。料亭造りのため洗面台やトイレは廊下に出たところに設置されていますが、大正ロマン漂う客室の人気は高いようです。宿泊棟は他に緑風館の裏に隠れるように建つ平成4年建築の鉄筋3階建ての渓流を望む渓流館8室と渡り廊下で連絡する山側の平屋建てりんどう館4室があります。

嵐渓荘には水道が通っておらず、全館で「真木の清水」を利用しています。真木とは土地の一番上手の意で宿の裏手の机山(標高222m)の麓から溢れ出す湧水です。机山を天然のろ過装置として湧出した天然水は、一年を通して水温も水量も変わらず、調理を含めて嵐渓荘内全ての飲料水として使われています。

前庭に植えられた銀杏は秋になると絨毯うを敷き詰めたように辺りを黄色に染め、雪に包まれる冬は、例年2月頃に灯される雪行燈のほのかな明かりが本館をやさしく彩ます。

開湯は大正15年(1926)のことで、初代大竹保吉が井戸を掘り始めたことに端を発する。湧き出したのは塩辛いぬるい水で、泉質は源泉温度15.5度のナトリウム-塩化物泉でしたが、強烈に塩辛く、それが皮膚病や切り傷によく効くと評判になったといいます。当初は八木鑛泉の名で樽詰めにして東京に送り、八丁堀の薬屋で霊泉として売られていたこともあります。殺菌力が強く、医者に行けない庶民の間でキズ薬などとして珍重されたようです。宿の始まりは昭和2年(1927)、湯治場としてスタートし「真木の湯小屋」と呼ばれて親しまれてきました。お風呂は緑風館と渓流館の間に男女別露天風呂のほか、渡り廊下で連絡するりんどう館の奥にも男女別の内湯と露天風呂があり、日帰り客でも日中男女別で利用することができる。

瀬音が届く場所に設えた貸し切りもできるりんどう館の奥にある二つの露天風呂「山の湯」でその源泉を浴びると日本屈指の濃厚な塩分とヨードを含有する効能豊かな強食塩冷鉱の湯は肌にまとわりつき、良く温まる。今回は入浴させていただいた深さが約130cmある「山の湯 深湯」は立ったまま入る湯船です。ふわふわと体が浮き、湯の感触も相まって独特の心地良さです。

木のぬくもりを感じる内風呂

内風呂からは窓ごしに黄色く色づいた銀杏を眺めが心を和ましてくれます。

「山の湯 石湯」は湯船が五十嵐川のころんとした丸石で造られ、縁に頭をもたせるのにちょうど具合がいいとのこと。泉質はナトリウム塩化物冷鉱泉でph7.5、泉温は約16度、効能は神経痛、筋肉痛、冷え性に効果があります。

湯上りに利用できるお休み処。庭の眺めも気持ちがいい。

 

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