信州の眺望を堪能!リゾートビューふるさとで行く大糸線の旅

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「リゾートビューふるさと」は、JR篠ノ井線と大糸線の長野と南小谷間を走る観光列車です。篠ノ井線で姨捨駅のスイッチバック体験と善光寺平の俯瞰風景を満喫し、大糸線では、穂高岳や白馬岳など天空に連なる雄大な北アルプスの山並みと、水とロマンあふれる安曇野の美しい風景を車窓に楽しめます。鉄道旅好きなら一度は乗りたいローカル線。車両に身を任せ、車窓からゆったりと善光寺平から安曇野、北アルプス山麓へと信州の眺望を堪能してみませんか。

「一生に一度は参詣すべし」と、全国から信仰を集める善光寺の起こりは7世紀頃にさかのぼり、鎌倉時代には将軍・源 頼朝も参拝したと伝えられる。その名を冠する善光寺平は、千曲川と犀川が合流する地で、古くから栄えてきた場所です。その中心部、長野駅から松本駅を経由し、安曇野を北上して南小谷駅へと4時間弱で走る列車が「リゾートビューふるさと」です。

ゆとりとおもてなしのリゾートトレインとして2010年10月から運行する「リゾートビューふるさと」が走る長野から松本までの篠ノ井線と松本から南小谷までの大糸線の沿線沿いには雄大な山々(穂高連峰や白馬三山等)、清涼な川(犀川や姫川等)や湖(仁科三湖)、澄んだ空、郷愁を誘う里山など、日本の「ふるさと」を思い起こさせる美しい風景(View)が次々と広がります。車窓から、駅から、そして訪れた町から、その素晴らしい風景を楽しめる旅を創りだせる列車をイメージした名が「リゾートビューふるさと」です。週末やGW、夏休みなどを中心に、長野~南小谷間を、長野9:04発南小谷13:00着、南小谷15:16発長野18:28着の1往復しています。

「リゾートビューふるさと」はハイブリッドシステムを搭載した列車です。ハイブリッドシステムとは、車のハイブリッド車と同様にディーゼルエンジンとリチウムイオン蓄電池を組み合わせ、駆動力に電気モーターを使用します。発車時に蓄電池充電電力を使用し、加速時にディーゼルエンジンも動作し両方の電気で効率よくモーターを回転させて走るしくみで騒音も少ない。

篠ノ井線は信越本線の長野から4つ目の駅・篠ノ井から塩尻までを結ぶ66.7kmの路線です。急勾配と急カーブが続き、スイッチバックを行うことでも有名です。大糸線は松本と糸魚川の105.4kmの区間ですが、一つの路線ながら松本・南小谷がJR東日本、中土・糸魚川がJR西日本の管轄で「リゾートビューふるさと」はJR東日本の車両なので終点が南小谷までの70.1kmになります。路線は「北アルプス線」の愛称通り、車窓からの雄大な眺めが素晴らしく、県内ローカル線ではピカ一です。このルートは日本海側の新潟県糸魚川から塩を運んだ塩の道(千国街道)にも重なり、人の営みを感じさせる歴史遺産が心を和ませてくれます。

車を運転しての移動では、移り変わる車窓の眺めを堪能することは難しいものの、「リゾートビューふるさと」の車両に身を任せ、頭をからっぽにして、日本三大車窓のひとつ、姨捨駅からの善光寺平の眺めや安曇野の風景、北アルプスの雄大さ、空の青さに浸って過ごすと身も心も浄化されていくような気がします。単なる移動手段ではなく、この列車に乗るのが目的でも十分に満足できますよ。

「リゾートビューふるさと」は、2両編成の車両で1号車44席、2号車34席+車イススペースの乗車券と指定席券だけで乗れる全席指定の快速列車です。窓も車窓を楽しめるように大きくとられ、各車両には4台ずつ車内モニターが設置され運転室からの映像や観光案内DVDが映し出されています。おすすめの座席は往路の2号車D-7かD-8です。大糸線に入って車窓に北アルプスが眺めることができ、先頭車両の展望室にもすぐに行けますよ。

座席は通路より一段高く、ゆとりのある回転式リクライニングシートが配置されています。座席の間隔が120cmと広く、ゆっくりと足を伸ばして寛ぐことができます。回転式なのは松本で篠ノ井線から大糸線に乗り入れる際に進行方向が変わり、座席の向きを変える必要があるからです。

運転室の後方は展望室として、腰掛やソファーが設置されていて、運転士になった気分で前方を見ることができたり、側面の大型の窓から広い眺望を楽しむことができます。

長野駅9:04に出発した列車は信越本線を南下し、ほどなく川中島駅を通過する。武田信玄と越後の上杉謙信が5回にわたり合戦を繰り広げた舞台。リクライニングシートにゆったり座り、しばし戦国の歴史に思いを馳せる。

風林火山を巡る!信州「川中島の合戦」伝説の地歴史散策」はこちらhttps://wakuwakutrip.com/archives/4358

篠ノ井駅から篠ノ井線に入ると善光寺平の南縁にそって雑木林の中に引かれた線路を徐々に高度を上げて登っていく。25‰(1000m進む間に25m登る)という蒸気機関車の時代は難所だった急坂が続く。次第に眺望が開け、見晴らしのよい高台に出る頃、車内放送による案内が流れます。「まもなく“日本三大車窓”のひとつ、姨捨駅に到着します。全国でも珍しいスイッチバックを体験いだだけます」 と。姨捨駅では一度入込線に入線し、駅に着いたかと思うと行き過ぎて一旦停止し、いきなりバックで走りだします。驚きますが、これが姨捨駅の魅力「スイッチバック」で、バックしながらあらためて姨捨駅に入線します。

蒸気機関車の時代、給水や列車の行き違いかの必要から、水が豊富なこの地に姨捨駅が建てられました。現駅舎は昭和9年(1934)建設で、擬洋風建築駅舎の姨捨駅周辺は、善光寺平とそこを縫うようにゆったりと流れていく千曲川、右手に丸尾芭蕉らが「田毎の月」と詠んだ有名な棚田など、日本三大車窓光景と言われるほどに美しい眺めが広がっていますが、標高は551mにある姨捨駅のホームがそのまま善光寺平が一望できる展望台になっています。田毎の月とは、棚田に映り込んだ月が刻々と移りゆくことを言い表したもの。善光寺平の夜景が楽しめる「ホームの向こうに善光寺平の街灯り!夜景列車ナイトビュー姨捨」はこちらhttps://wakuwakutrip.com/archives/315

17分ほどの停車時間が設けられていて、ドアが開くと一斉に写真撮影タイムになります。あたかも展望台のようなホームからは、姨捨駅のもう一つの魅力である千曲川に沿った善光寺平が一望でき、冠着山や斜面に三峰山を背に斜面に切り開かれた大小約2000枚という棚田が広がる風景が美しい。自然が刻んだ地形に、長年の人々の営みが調和して作り出した日本の景観を眼下に、アテンダントに記念写真をとってもらったり、眺めたりしているとあっという間に発車の時間になりますよ。

姨捨駅を出た列車が、長い冠着トンネルを抜けて下りていくのが松本平(松本盆地)で、10:27松本駅到着です。松本駅からは大糸線に乗り入れるので進行方向が変わります。その為それまで先頭車両は1号車でしたが2号車が先頭になり、座席も回転させます。その準備のため10:41の発車までの14分を利用して車内販売では売っていない駅弁を買いにいきましょう。信州のローカル線のガタンゴトンと揺れる車内で駅弁を食べる、これぞ最高の楽しみです。

おすすめは「アルプス道づれ おむすび弁当」です。小梅と野沢菜・やまごぼうの2種のおむすびが入った竹籠風の容器に入ったお弁当です。人参、里芋の煮物のほか、焼き塩鱒、鶏の山賊焼、などさまざまに詰まっています。渦状のだし巻き玉子が花を添えています。自分の膝の上に掛け紙をとった駅弁を乗せて、何種類もの具をひとつひとつ口に運びがら、その土地のならではのおかずに舌づつみをうつことは至高の喜びです。

松本駅を出発し、進行方向を変え大糸線に乗り入れた列車は、しばらく住宅の多い郊外の風景の中を走り、梓川を越えると安曇野。南豊科あたりから安曇野らしい田園風景が広がり始め、車窓の左手には青空に冠雪した雄大な北アルプスの山々の稜線が映えます。広い車窓には燕岳や常念岳や有明山といった名山が迫ってくるスケールの大きな景色が飛び込んできますよ。

右手には梓川に奈良井川が合流した犀川が流れ、列車は山麓に広がるのどかな田園風景の中を走る。

安曇野観光の玄関口、穂高駅に10:59到着です。穂高駅は穂高神社の社殿を模し、瓦屋根の駅舎に風格があります。傍らには五穀豊穣や子孫繁栄、無病息災などを祈願し、村人たちが道の辻に祭った守り神「道祖神」の石の表面に彫られた寄り添う男女が穏やかな表情で佇んでいます。往路の穂高駅では27分の停車時間があり、この間にボランティアガイドによる歩いて5分のところにある安曇野の古社・穂高神社への参拝ミニツアーに参加できます。

海神族として北九州で栄えた安曇族が海を渡り、一部が安曇野を安住の地としました。一説には糸魚川のほうから翡翠を求めてさかのぼってきたとも。安曇族の始祖・穂高見命を祀った穂高神社は、延長5年(927)の延喜式神名帳に「名神大」として記載が残り、交通安全・産業の守り神として知られています。本殿には3柱の神様が祀られ、穂高見命を祀る中殿の屋根にだけ千木と鰹木がある。それを釣り竿に見立てる説があり、屋根上に竿を掲げた=海を離れた地に根を下ろすよいう決意の意味だとも。穂高岳を御神体として仰ぐ里宮で、穂高岳の方角に向いて本殿は建てられています。奥宮は上高地の明神池の畔に、嶺宮は奥穂高岳山頂にあり、日本アルプスの総鎮守の異名を持ちます。

少し時間があるので、澄んだ空気の下、ホームから北アルプスの眺望を思いっきり深呼吸しながら堪能します。11:26穂高駅を出発します。

進行方向左側(西側)の車窓には田園風景の向こうに低い里山が見えます。ときおりその低い山々の向こうに北アルプスの険しい山並みも見えてきます。大糸線はこのあたりから終点の南小谷まで北アルプスに沿って北上していきます。天気が良ければ北アルプスが良くみえます。

穂高駅を出発した列車の車内では、次の停車駅である信濃大町までの時間を利用して、展望室で地元の方々による民話の語りや、尺八ほか邦楽の演奏などおもてなしの車内イベントが行われ、車窓風景とともに楽しむことができます。この日は地元の“信濃大町もんぺの会”の方々による民話を聞くことができました。小太郎が自らの母親である竜と共に安曇野を開拓する物語「犀竜と泉小太郎」の話でしたが、このような民話が大北地域にはたくさん残っています。

車窓には高野川を渡る鉄橋からは、蓮華岳、爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、など2600mを越える北アルプスの山並がどんどん大きく迫ってきます。

11:47信濃大町駅に到着です。12:02の出発時間までの15分を利用して往路時にふるまいが行われます。おもてなしの内容は運転日によって異なりますが、この日は地元アルプスロマン館の“黒部おやき”に北安醸造のグランプリ受賞“甘酒”の試飲といったおもてなしがありました。

ホームには、登山者や黒部ダムの作業員などに扮して、それぞれに見合った背景をバックに記念撮影ができる「写交場」が設けられています。この付近からは鹿島槍ヶ岳、五龍岳など峻嶮な山が間近に見えます。

信濃大町駅を発車すると、木立に視界をさえぎられることが多くなりますが、信濃木崎駅を過ぎると木立の間から突然清らかな湖面が顔をだします。“北アルプスの鏡”と呼ばれる仁科三湖(木崎湖・中綱湖・青木湖)の東の端を巡るように線路が延びていきます。山岳風景が続いた後、にわかに現れる高原の静謐な湖はとても新鮮です。

いくつも並ぶ小さな無人の駅舎のすぐ向こうに湖が見え、湖の向こうには平地がなくいきなり山になる珍しい風景が見られます。不思議なやすらぎを感じることでしょう。これら仁科三湖と呼ばれる湖のあたりでは、旅人の心をくみ取るかのように速度を緩め、「稲尾」「海の口」「簗場」の無人駅には一時停車するという嬉しい一ときをプレゼントしてくれます。

海の口駅は「おねがいティーチャー」というアニメの舞台になった味のある駅舎です。主人公が宇宙船を隠した湖が目の前木崎湖ですが、そんな設定にも肯けてしまいます。

仁科三湖の最も北側に位置し、最も大きく深い青木湖は透明度が高く“思索の青木湖”と呼ばれます。気象条件が揃えば静かな湖面に映る白馬三山の姿が美しい。

仁科三湖の最も北側に位置する青木湖が車窓から消えてしばらく北上すると12:40、白馬駅到着です。このあたりが大糸線が北アルプスに最も接近するところでこの上ない絶景です。展望室には沿線の秀麗な風景や車窓から見える山の名称を紹介するアルバムなどが置かれています。春から初夏にかけて、北アルプス山腹の雪が消えていくのにともない、様々な形が現れる雪形の写真もある。古来、種まきや田植えなど、農作業の目安とされ、白馬岳は馬の雪形が名称の由来になったといわれています。また白馬駅隣の信濃森上駅からの眺めも八方根や岩岳を真正面に見えこの上ない絶景です。もっとも大糸線の車窓はすべて北アルプスの大パノラマなのですが。

白馬駅からは渓谷美をつくり出す姫川の清らかな流れと絡み合いながら大糸線はゆきます。茅葺きの大屋根をトタンに葺き替えた民家の集落をいくつも過ぎ、4時間弱の13:00、列車は終着駅、山あいの小さな駅・南小谷駅で静かに旅を締めくくります。全区間を通じ変化に富んだ絶景車窓の旅でした。

山中にふさわしくひっそりと駅舎が佇ずむ南小谷駅は、大糸線の途中駅ですが、JR東日本と西日本の境界駅であり、電化、非電化の境界駅でもあります。南側のJR東日本区間は電化されていて、北側のJR西日本区間は非電化のローカルです。

このまま片道1時間、単線の気動車に乗り日本海側の糸魚川に抜けることもできます。今回は折り返しの「リゾートビューふるさと」15:16で長野に戻ることにし、近くの温泉で身体を温まることにします。駅前からタクシーに乗り約5分(タクシー代1400円)下里瀬温泉「サンテインおたり」に向かいます。

国道148号、糸魚川街道沿い、姫川の清流を望む温泉宿。クアハウス内の浴場では、寝湯に圧注湯、泡沫湯、源泉の冷泉古代ひのき湯、サウナなど6種類のお湯を楽しめます。少しぬるめの温泉は良く温まり、美肌の湯としても好評です。泉質がナトリウム炭酸水素塩・塩化物泉で泉温は31.8℃で加温しています。効能は神経痛、筋肉痛、冷え性、きりきずに効きます。

温泉のあとはご当地サイダーである栂池高原の雪どけ水で作られた「栂池・雪どけサイダー」をいただきます。炭酸強め、甘さ控えめ、すっきり爽快な味わいが人気です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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