紅葉の隠れ名所「宇治」にて古刹と川面を彩る紅葉絵巻を堪能

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千年の昔、王朝人が都を離れて隠棲した「洛外」宇治。紫式部が著した『源氏物語』五十四帖の、終いの十帖の舞台でもあり、いまもその薫りが残っているようです。徒歩圏内に名所が凝縮された宇治川両岸に広がる紅葉絵巻と抹茶スイーツを堪能します。

 京阪京橋駅で「宇治・伏見1dayチケット」800円を購入します。これで宇治平等院の拝観料が100円安くなります。まずは世界遺産である「宇治平等院」へ向かう。半径数キロの徒歩圏内に多くの社寺や史跡が分布する京の文化が凝縮された、自然豊かな景勝地。『朝ぼらけ 宇治の川霧 絶々に あらはれわたる 瀬々の網代木』藤原定頼が詠んだ宇治川に架かる宇治橋を渡る。宇治川は琵琶湖から大阪湾へ流れ込むことから宇治の地は古くから水上交通の幹線でした。8時半受付け開始にも関わらず8時ですでに50人以上は並んでいた。

そうだ京都、行こうで                                                  人の成功、失敗、1200年ぶん、京都は勉強になります(1993年秋 平等院)                          「なに、ここ藤原さんの別荘だったんだって」「こういうところに住みたいね」
過ごす場所を選ぶだけで、人は そうとう幸せになれるもんだ。」(2003年 平等院)

藤原道長の別荘を、息子頼通が永承7年(1052)に寺に改めて創建。平安貴族が夢見た極楽浄土を形にした国宝の阿弥陀堂は、全体の姿が翼を広げた鳳凰のようであることから「鳳凰堂」とも呼ばれ、10円玉の図案にも刻まれ、その優美な姿は有名である。ミュージアム鳳翔館では、国宝の梵鐘や鳳凰堂の内壁を飾った雲に乗って楽器を奏でる52体の「雲中供養菩薩」が壁に取り付けられているほか、鳳凰堂内部の極彩装飾を復元した展示も見ることができる。鳳凰堂を取り囲む、浄土式の庭園も美しく、阿字池に映る鳳凰堂は2012年9月に始まった改修工事を終え、2014年4月に鮮やかな姿を取り戻している。そして10月にすべての改修を終えて、ついに落成したのです。

8時半の拝観開始と共に内部に入れる受付が9:10から始まります。50人ずつ20分ごとに阿弥陀如来像が祀られている内陣が拝観できるのであるが今回は9:50分の第二陣であった。平安時代の仏師定朝の作であることが確実な現存唯一の仏像である本尊の阿弥陀如来座像をはじめ、雲中供養菩薩像や9通りの来迎を描いた壁扉画など、平安時代・浄土教美術の頂点が集約されていて、天井の二重天蓋の精緻さには驚かされる。

次に「源氏物語ミュージアム」を目指して宇治川沿いのあじろぎの道歩く。平安時代初期の六歌仙の一人・喜撰法師が、『わが庵は たつみしかぞ すむよを 宇治山と ひとはいうなり』と詠んだからなのか、喜撰橋と名付けられた橋のたもとから宇治川の中州(宇治公園)を眺めます。大小二つの島があり、南(上流)の「塔の島」に大きな十三重石塔が立っています。高さ15mで国内現存最古の石塔で建立は弘安9年(1286)、奈良西大寺の僧・叡尊が洪水は魚霊の祟りだとして、その霊を鎮めるために建立したといいます。創建時には塔の下に漁具などが埋納さました。その後石塔は水害による倒壊・修復を繰り返し、現在の塔は明治41年の再建です。その際使われなかった旧相輪が興聖寺の庭園にあります。

その角にある「喜撰茶屋」で「抹茶まん100円」を購入して、少し休憩します。蒸かしたてで抹茶のほろ苦さと甘い餡がマッチしていたように思う。ここではクリームパンで人気の”九十九堂本舗”協力のもと作られた抹茶クリームパンが目をひいたのであるが210円であった。

喜撰橋から塔の島、続いて古くから歴史に登場し、『源氏物語宇治十帖』の舞台としても名高い艶やかな朱色の朝霧橋に目をやりながら宇治川を遡る。その先、宇治発電所から放出される急流に架かる観流橋を渡ると紅葉の名所、曹洞宗の名刹・「興聖寺」です。宇治川縁から白い竜宮造の楼門に向かって200m程の参道が伸びていて、参道脇を流れる谷川の水音が琴の音を思わせることから、琴坂と呼ばれています。琴坂両脇の楓の古木が色づき、参道を覆い尽くすもみじは宇治十二景のひとつにもなっている錦繍のトンネルを作り出してています。また琴坂を下るときは、前方に宇治川の水面が輝き、思わず立ち止まってしまうのです。

仏徳山と号し、慶安元年(1648)、曹洞宗の開祖・道元禅師が中国の宋から帰国して5年後に開いた日本最初の曹洞宗のお寺です。その発祥は(1233)、もとは伏見の深草に庵を結ばれて、のちにここ宇治に再興され、現在日本に14000ほどある曹洞宗のお寺の中で一番古い。道元はここで彼の代表作となる『正法眼蔵』のほぼ半分を書き上げています。見渡せば仏徳山の麓一帯の境内には本堂、僧堂、庫裡などの主要伽藍がコの字形に並び、中央の枯山水の庭が広がります。禅の道場ならではの清浄感が心地よい。法堂は慶安2年(1649)、豊臣秀吉の伏見城の遺構を使って建立されました。伏見落城の際、血に染まった床板が、血天井として供養されされています。また、境内奥深く、宝物殿には源氏物語ゆかりの聖観音菩薩立像が安置されています。

鶯張りに廊下を静かに歩き、霊験あらたかな三面大黒天を拝する。正面に大黒天、左右側面に毘沙門天、弁財天の顔を持つ。

宇治川の輝きに感動しつつ川沿いに戻り、あの”伊右衛門”で有名な「福寿園 宇治茶工房」に立ち寄る。宇治川のほとりに建つお茶の工房で、純和風の建物内では、お茶の販売の他、宇治茶を使った甘味や料理が楽しめる茶寮、茶道体験ができる茶室なども完備されている。中でも目をひいたのが近くにある福寿園宇治茶菓子工房で作られた宇治茶銘菓「宇治のみどり」であった。

宇治川の朝霧につつまれた宇治の風情をほうふつさせる京菓子の技と宇治茶の技が結ばれた、宇治抹茶餡とつぶ餡を白い餅で包み込んだ見た目も上品な一品である。食べると、餅の柔らかい食感に続いて、抹茶の味がしっかり出てきて、そのあとにつぶしたつぶ餡の甘味が追いかけてきて、とても良くできているお菓子です。3個入り500円で通常午前中で売り切れるらしい。

朝霧通りを宇治橋方面の戻ったさわらびの道との合流地点にあるのが「京都巽庵」で宇治川を眺めながらおいしいお団子でひと休みできる。茶処宇治の抹茶はもちろん、黄金色の煎茶、茶色のほうじ茶と三色団子が楽しめるのがうれしい。

手前の石段を上り朱い鳥居をくぐり抜けると「宇治神社」、世界文化遺産の石碑の後ろには「宇治上神社」の紅い大鳥居と紅葉が映えます。お目当ての「源氏物語ミュージアム」に到着です。宇治は紫式部が書いた『源氏物語』全五十四帖の中で、最後の十帖の舞台となりました。観光客や市民に楽しみながら『源氏物語』や平安文化を理解してもらおうというもので、平成10年(1998)にオープンし、全国の源氏ファンにとっては見逃せない施設になっています。寝殿造りをイメージしたエントランスに紅葉が映え、庭には源氏物語ゆかりの植物が植えられています。

もみじのトンネルを経て入ると、観内の「平安の間」では光源氏の栄華の象徴・邸宅六条院を復元した実寸大の模型や牛車などを展示し、光源氏が繰り広げた源氏物語の世界と平安貴族の文化と暮らしを紹介しています。「宇治の間」では宇治十帖の各場面を再現し、平安貴族が親しんでいた香りも紹介していた。映像展示室では、宇治橋に祀られた橋姫が語る土佐光則筆(伝)「源氏絵巻」の立体画像で宇治十帖の物語の紹介や「浮舟」「橋姫」をテーマとした映像で、光源氏の子・薫君と孫の匂宮、そして宇治の大君、中君、浮舟の3人の姫君が織りなす悲恋の物語が日替わりで上映されその世界観に浸れます。たった20分のCG映画にかかわらず、監督は篠田正浩で妻の岩下志麻のナレーション、浮船の声は今何処で何をしているか「葉月里緒奈」であったのには驚きでした。

食事兼食後のデザートを求め宇治橋通り商店街にある「中村藤吉本店」へ。安政6年(1859)に創業し150年の歴史を持つ宇治茶の老舗。本店は明治期の茶商屋敷の代表的な建物で歴史を感じさせる建物も一見の価値がある。

平等院店は江戸期の宇治を代表する料亭旅館菊屋の遺存建物で、近くの平等院店でも良かったのすが、食後のデザートで食べる予定の「抹茶ゼリー」の器が竹筒というだけで本店でとなりました。明治期の茶商屋敷に掲げられた風情ある「まると」の暖簾をくぐって店の奥へ進むと、中庭に面したカフェがあり、木を多く使った落ち着いた店内。席にとおされ昼御飯は冷えた体には温かいものということで、「きつね抹茶そば」を注文。生麺からこだわり、厳選された茶葉を練り込んだ緑の麺はコシもあり見た目も爽やか、関西風のきつねの味付けは懐かしいほっこりしたお味で嬉しい。

食後は待ちに待ったメインの「抹茶ゼリー」をいただくことに。竹筒の器に盛られた白玉、あんこ、そして極上の生抹茶ゼリーと抹茶アイスがこれでもかと入っており、ボリュームたっぷりで大満足。抹茶アイスは、かのハーゲンダッツより美味しいものをという社長命令で作られたとか・・・本店限定メニューです。

 

 

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