四つの山頂を踏破し眺望と尾根歩きを楽しむ縦走コース弘法山

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気軽に登れる低山がブームです。BSNHKでも『にっぽん百低山』という番組が組まれ、俳人・エッセイストの酒場詩人・吉田類さんが挑戦しています。首都圏から日帰りで行ける低山に登り、山頂で絶景を眺めたら、温泉で汗を流してリフレッシュ。適度な運動の後はビールなど飲み物のおいしさも格別です。ストレス解消にもなる低山&温泉で充実した休日を過ごすべく、日帰りで低山に出かけます。

低山登山の条件は3つ。眺望がよいこと、日帰りで行けること、近くに日帰り入浴施設があること。ということで今回向かったのは。登山の醍醐味である尾根歩きの縦走登山が日帰りでできると人気の神奈川県秦野市の弘法山(弘法山公園)です。縦走登山とは、山頂から下山せずに尾根や稜線をつないで、隣の山へ歩くスタイルで、浅間山・権現山・弘法山・吾妻山と4つの山をハイキング気分で歩けるミニ縦走コースです。弘法山は弘法大師が修行したという伝説が残る信仰の山で、周辺には大師ゆかりの史跡が点在しています。また浅間山・権現山・弘法山の三つの山を総称して弘法山公園と呼び、春には園内に1400本の桜が咲く、神奈川県内でも有数の桜の名所です。権現山の展望台からは秦野市街と富士山が一望でき、弘法山の展望デッキからは江の島やスカイツリーが望め、低山ながら見所満載。小田急秦野駅から弘法山公園を通り、吾妻山を経由して鶴巻温泉へと下る歩行距離7.5km、歩行時間約2時間半のコースです。  写真は秦野市のナンホール蓋。市の花「なでしこ」をデザイン化しています。

小田急線秦野駅をスタート。駅の近く、歩いて6分程のところに、全国名水百選に選定された「弘法の清水」があり、年間を通して水温は16℃前後、水量は日量100トン前後で安定して今もコンコンと湧き出ています。昔は井戸の形が臼に似ていたため、臼井戸とも呼ばれていました。弘法大師に関する伝説があり、『ある夏の日に旅の僧が水を恵んでもらおうとあり農家を訪ねたところ、その家には水がなく、娘が水を求めて遠くまで行ってくれたことに僧は大変感謝し、持っていた杖を地面に突くとそこから水が湧き出たといいます。』この旅の僧が弘法大師とわかり、この井戸を弘法の清水と呼ぶようになったとのこと。ペットボトルを持参しておくといいですね。

登山口へ向かって水無川沿いを歩きます。途中江戸時代初期に建立された茅葺き屋根の古い薬医門形式の山門のある天台宗の寺、玉宝山命徳寺に登山の安全を祈願のため参詣。本堂は慶安4年(1651)頃に再建されたとのこと。山門脇の笠掛地蔵の赤が映えます。

弘法山公園入口の大きな看板が目に飛び込んできたら小さなコンクリートの橋を渡り登山口へ。

最初の目的地は標高196mの浅間山です。いきなり九十九折れの急な階段道が続き、じわじわと足にきます。

途中で木々の間から富士山が顔をのぞかせる度に元気をもらいながら山頂へ。ここまで秦野駅から約2.2km、約50分の行程です。

眼前に富士山の絶景が広がり、最初の登頂の御褒美をいただいたようです。

次はコース最高峰・標高243.5mの権現山へ向かいます。森林セラピーロードにも指定されているなだらかな尾根道が続き、木漏れ日を浴びながらのんびり歩けます。弘法山公園は2020年に認定された「はだの表丹沢森林セラピー基地」の代表的コースで、途中車道を横切りますが、森林浴を楽しみながらフィトンチッドを含む香りでリラックス効果が期待できます。権現山までは約500m、約12分の距離。

大きな八角形の展望台が見えてきたら権現山に到着です。山頂には別名「千畳敷」と言われる広々とした広場があり、その一角に展望台があります。

2階建ての展望台からは富士山はもちろん、丹沢の山並みや江の島、相模湾の彼方に房総半島まで一望できます。「関東の富士見百景」に選定された360度の大パノラマにしばし時間を忘れてしまうほどです。

絶景を堪能したら「馬場道」と呼ばれるなっ直ぐな道を歩きます。以前はここで草競馬が行われていたとかですが、今は桜のトンネル時期を想像しながら稜線伝いの山道を進み、標高235mの弘法山の山頂へ向かいます。弘法山までは約800m、約15分の距離

弘法山公園には木製のピクニックテーブルが設置されていて、富士山や、江の島方面を見ながらお弁当を広げたり、休憩したりと思い思いの寛いだ時間が過ごせます。

弘法山山頂には大師堂(釈迦堂)や鐘楼があり、厳かな雰囲気が漂います。

弘法大師がこの山で修行を行ったとされる故事から古くより福泉庵という堂がありました。江戸時代の中頃に龍法寺の僧馨岳永芳はこの荒廃を嘆き、新たに堂を建て釈迦如来像と弘法大師像を祀って釈迦堂としましたが、明和3年(1766)に焼失し。関東大震災や昭和7年の七五三台風被害を経て昭和39年(1964)現在の釈迦堂が完成し、弘法大師像が安置されています。また弘法山には「乳の井戸」と呼ばれる井戸があり、現在は使われていないようですが、昔、この井戸からは白く濁り、乳の香りを漂わせる水が湧き出ていたそうで、赤ちゃんを持つ母親がこの水を飲むと、乳の出がよくなると伝えられていました。

弘法山山頂の展望デッキは2024年に設置されたばかりで、右手の湘南平から江の島、三浦半島まで一望できます。

弘法山公園としてはここまでで、その先は大師堂の裏手からゆっくりと下っていきます。緩やかなアップダウンを繰り返しながら進んでいきます。何度か分岐点がありますが案内標識があるので迷うことはありません。木々のトンネルが気持ちいいい。

また途中善波峠で矢倉沢往還へとの分岐があります。善波峠は秦野市と伊勢原市の境にあり、矢倉沢往還が通っていました。矢倉往還は東京都港区の赤坂御門から川崎、厚木、伊勢原を経て秦野に入り、曽屋、千村を経て矢倉沢の関所を越え、静岡県沼津市に至る道のことです。参勤交代でにぎわう東海道の脇街道で、物資の輸送や富士・大山への参詣路として多くの人に利用されました。吾妻山へは関東ふれあいの道の石柱があり、弘法大師とさくらの道から続いています。

さらにこの先、鶴巻温泉に直接下っていく分岐もありますが、四つの山の登頂・完全踏破を目指して吾妻山を目指します。吾妻山の頂上には吾妻神社の石碑が建っています。日本武尊が、東国征伐に三浦半島の走水から舟で房総半島に向かう途中、海が急に荒れ出し難渋してしまいました。そこで妻の弟橘比売は、「私が行って海神の御心をお慰めしましょう」と言って海に身を投じられました。すると不思議に海は静まり無事房総に渡ることができました。征伐後、帰る途中相模灘・三浦半島が望める所に立ち今はなき弟橘比売を偲ばれ「あずま(吾妻)はや」と詠まれた場所がこの吾妻山だと伝えられています。標高125mの吾妻山からは、平塚や茅ヶ崎の街並み、江の島や湘南の海が見渡せます。弘法山から吾妻山まで距離約2.9km、約50分です。

最後は鶴巻温泉に向かって一気に下ります。民家が見えてきたら下界、高速道路のガード下をくぐり、住宅街を抜ければ鶴巻温泉です。

小田急線鶴巻温泉駅前にある鶴巻温泉は、明治~大正時代に住民が飲料水を求めて掘った井戸から塩分濃度の高い地下水が発見されたことから始まります。戦後は東京の奥座敷として発展し、陣屋と光鶴園が二大旅館として親しまれてきましたが、近年は駅前住宅地の中の小さな温泉街となっています。平成13年(2001)光鶴園の跡地にオープンしたのが弘法の里湯です。吾妻山から鶴巻温泉まで約900m、約13分の距離です。

鶴巻温泉 弘法の里湯は、二つの源泉を持つ日帰り入浴施設。泉質はカルシウムイオンが牛乳並みに多く含まれる弱アルカリ性塩化物泉で、体の芯まで温まり、ハイキング後の疲れた身体を癒してくれます。足の筋肉痛にも効果抜群ですよ。露天風呂やサウナもあり、風呂上りの食事のできるレストランや休憩所も備えています。

ゴールの小田急線鶴巻温泉駅まで約200m、約3分の距離。冠雪の富士山を眺めながらの充実感いっぱいのミニ縦走コースでした。

 

 

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