雪山初心者が挑む蓼科山は、美しい樹氷と八ヶ岳ブルーの絶景

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八ヶ岳連峰の最北端にある蓼科山(標高2531m)は、円錐形で富士山のように美しい山容から「諏訪富士」とも呼ばれる日本百名山の一座です。七合目登山口から登るルートは山頂までの距離が八ヶ岳の中でも比較的短く、グリーンシーズンだと往復4時間程度なので八ヶ岳入門としては初心者にもおすすめの山なのです。またこの7合目登山口ルートは道がよく整備されていて、小中学校の学校登山としてもよく登られているそうです。そんな蓼科山に登頂すべく気象状況を確認してでかけます。

茅野駅で準備を整え大門街道(国道152号)を北へ、大門峠でビーナスラインに入り、蓼科牧場からは蓼科スカイラインを利用して蓼科山七合目登山口を目指します。蓼科スカイラインは長野県の林道大河原線、林道唐沢線、立科町道夢の平線からなる延長36.8kmの道路で、佐久市側の端は洞源湖、立科側の端は女神湖で、全線無料通行可です。※令和5年(2023)11月20日午前12:00から通行止め。

前日に雪が降ったとの気象情報でしたが、標高1830mの御泉水自然園前の道路には積雪があり、走行に注意しながら七合目登山口駐車場に到着です。駐車場には休憩舎とトイレが設けられていますが、辺り一面雪化粧で天候は快晴ながら雪山登山に挑戦することになります。

通常蓼科山への登山口は、冬季は蓼科スカイラインが閉鎖されるためビーナスライン沿いのすずらん峠園地駐車場(女ノ神茶屋の前)になり、そこから往復するのが冬の定番ルートですが、偶然にもまだ閉鎖されていない七合目登山口からの出発になります。

蓼科山は雪山初心者向けと言われるのには理由が3つあるとのこと。ひとつは冬でも入山者が多くトレース(踏み跡)がしっかりついていること。二つめは気を付けてあるけば大きな危険個所がないこと。三つめがコースタイムが往復5時間程度で日帰り登山が可能であることです。とはいえ天候によって難易度も大きく左右されることから気象予報を確認することが大事です。

蓼科山七合目登山口に立つ、蓼科神社の扁額が掛かる大きな一の鳥居をくぐって出発です。

クマザサも雪で覆われた雪の登山道を先行の入山者のトレースをしっかり踏みしめながら登っていきます。

登り始めは緩やかな傾斜ですが、ほどなくし30分ほどで「馬返し」という地点に到着します。その少し先から大きなS字を描く九十九折れになり、緩やかな坂道からだんだんと急な登りになっていきます。

斜度のある登山道の途中「天狗の露地」と呼ばれる開けた場所があります。ここからは立ち休みを繰り返しながらの登りになります。

さらに登っても登っても終わりのない登りという感じのきつい坂が続き、気持ちも身体も折れるところですが、踏ん張りどころです。足元に集中して、一歩一歩トレースを踏みしめて歩みを続けます。立ち休みした際に振り返ると遠くに女神湖が見下ろせる美しい景色が見られ、元気が回復します。

出発から1時間半ほど、稜線に出るのかと思った途端、上方が明るくなり蓼科山荘が突然姿を現し、「将軍平」と呼ばれる場所に到着です。蓼科山荘も冬季休業で閉鎖されていますが、広場になっているので暫し休憩を取ります。ここは夏場に蓼科山北側の登山道が交差する場所。蓼科スカイラインを七合目登山口から更に進んだところにある大河原峠からスタートしてなだらかな稜線を歩くとこの将軍平に到着します。

ここからいよいよ山頂までの急登が始まります。樹林帯に延びる石が堆積した道です。ほんの少し立ち休憩でのどを潤していざ出発。目にも鮮やかな美しい樹氷と八ヶ岳ブルーが少し疲れた体に元気を与えてくれます。

本来なら鎖場やロープがあるのですが、雪に埋もれて見えません。先立のトレースを追っていきながら、足下に注意しつつ岩を掴んで登っていきます。両手両足の総動員です。

森林限界を超えれば山頂まで雪と岩のミックスゾーン。転倒や捻挫に気を付けながら、慎重にトレースを追っていきます。

ここでも振り返ってみると、蓼科山の北側にある前掛山の雪に覆われた広々とした稜線が、樹氷の海から浮かび上がったように見えます。

雪と岩と戦いながらほどなくすると、黄色の字で岩に書かれた頂上まで五分のペイントが目に止まります。もう一息と気力をふりしぼり、油断禁物でひたすら登っていきます。途中からトレースは左手にトラバースしていきます。山側に重心を置きながら足元を踏みしめて進みます。本当に先行してラッセルしていただいた方に感謝です。

岩の急登の傾斜が緩み、“ようこそ!心のふるさと 蓼科山山頂ヒュッテへ”の看板が見えればもう少しで山頂です。蓼科山頂ヒュッテは冬季休業になり、これからもっと雪に埋もれていきます。

蓼科山頂2530mの案内図を見ると山頂はここから50mほど先を登ったところとのこと。あと標高1m登ります。

標高2531mの山頂は噂通りの広大な山頂です。三角点もあります。

山頂一帯はゴツゴツした溶岩台地になっていてその上を雪が覆い、一面荒涼とした銀世界でまるで異世界にいるような感じです。少し先の蓼科神社の鳥居と祠が見え、向こうの先端のところまで行くとさらに北アルプスの大展望が開けているようですが、トレースがなく見送ります。

蓼科山頂ヒュッテ横で八ヶ岳を見ながら、カップ麺の昼食とコーヒーとで休息と暖をとります。快晴といえど山頂の気温は低く、長居をすると体がどんどん冷えていくので、食事を終えればソッコーで下山です。

下山は来た道を戻るだけのピストン行程ですので詳細は割愛しますが、下山の直後に見下ろした角度に驚きです。上からみると結構怖く感じます。

急な岩場をお尻から滑るように下っていきます。将軍平に戻ってきて振り返ってみると、あの急坂を登ったのだと改めて下山してきたことに感動です。

下山後半は雪も多くの登山者で踏みしめられ、また溶けだしていることもあり、浮石や岩が転がり少し歩きづらく感じて、長い登山道をくだっているような感じです。

往復5時間ほどで雪山登山が楽しめる蓼科山は登山者が多く安心して歩くことができます。美しい樹氷と青い空、山頂の寂寥とした雪の溶岩台地、360度見渡すことのできる大展望など快晴に恵まれたダイナミックな景色に圧倒された雪山登山でした。

 

 

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