
視界に収まりきらないほどの大展望でこの標高でこの眺めという山が、長野県塩尻市と辰野町の境にある霧訪山です。日本のほぼ中央に位置し、「日本のへそ」とも呼ばれ、北は信濃川、南は天竜川の分水嶺にあたる霧訪山は、標高1305.7m、日本百低山にも選定され、日帰りが出来、頂上から360度の絶景が見渡せる大パノラマの山。下西条コース、小野コース(かっとりコース)、中央分水嶺コースの3つの登山コースがあり、それぞれ違った魅力が楽しめます。今回は、BS朝日『そこに山があるから』で2025年5月28日放送され、南野陽子さんが登山した山ノ神自然園からの下西条コースをピストン登山します。霧訪山登山で最も人気のあるポピュラーコースです。
霧訪山の名前の由来は、かつて山頂にかかる霧によって天気を占ったり、雨乞いが行われたりしたためと言われています。また年間を通じてこの山の谷間(信濃川島と小野の間)によく霧が発生するからという説や、北隣の大芝山との鞍部(切戸キリト)に位置するという説があります。
出発地点は、霧訪山の北にあたる下西条から登ります。山ノ神自然園駐車場からは所要時間1時間45分。駐車場から矢沢川沿いの自然をそのまま活かしてつくられ、“たまらずの池”まで続くいくつかの径はそれぞれ違う景観が楽しめます。たまらずの池とは、梅雨前や真夏など年に何回か水が枯れ、名前の由来になっています。
途中「山ノ神」が祀られている雄床山神社で登山の安全を祈願します。祠の背の大岩は磐座といわれ、大昔から神が宿るといわれています。
たまらずの池から5分ほどで登山口に到着し、いよいよ登山開始です。下西条コースは、急坂が続くわけでもなく、なだらかでもなく、適度のアップダウンのあるコースです。
最初は少し急なつづら折りの山道を登っていきます。登山道は比較的整備されており、登りやすい。山道を登りきると開けた尾根筋にでます。
少し進むと鉄塔があります。ここでしばし、水分補給を兼ねて休憩です。
さらに傾斜の急な木の根道の山道を進むとブナの別れに到着。「左善知峠/右霧訪山山頂」の看板。
ここで右に向かい山頂を目指します。同じ山ノ神自然園をスタートし、洞の峰~大芝山~たきあらしの峰を経由してブナの別れで下西条コースと合流する大芝山コースとの合流点でもあります。下山コースに選ぶ登山者もおられます。大芝山まで1時間です。
山頂目指してアカマツ林を縫うように尾根筋の登山道を辿ります。
山頂まで20分とう看板があり、その先に「男道」「女道」の分岐がある。
直進の「男道」はロープを使うような急な斜面を登っていきますが、頂上が分かりやすく、体力があるうちにと急登を選択します。
男道を登りきり、左手に少し進むと間もなくひょっこりと山頂にでます。
目を引くのが麓の小野神社の境外社で、伊弉諾命、伊弉冉命を祭神として祀る会地社の小さな祠。雨乞いの神様と信じられてきて、ここで雨乞いの儀式もしていたそうです。麓にある塩尻市に属する小野神社と辰野町の属する矢彦神社は古くは1つの神社でした。小野盆地において飯田城主毛利秀頼と松本城主石川数正の領地争いがあり、天正19年(1591)豊臣秀吉の裁定によって盆地を流れる唐沢川を境に北小野村と南小野村に分けられたことに伴い、神社境内も分割されました。現在は塩尻市北小野と辰野町小野という二つの地名があり、合わせて両小野と呼びます。神社は同じ敷地内に隣り合って立ってていて矢彦神社が辰野町の飛び地になっています。
おもしろいのは頂の標柱や方位盤の他にいろいろな看板があること。道標に、何かの鐘に、小林一茶の句まである。一茶の句は「八朔や 犬の椀にも 小豆飯」と記されています。里山である霧訪山が親しまれている証拠です。
しかしながら一番は山頂からの360度の大パノラマ。松本、伊那、諏訪地域が一望でき、北アルプス、中央アルプス、南アルプスに加え、御嶽山、八ヶ岳に、はるか遠くは妙高山などの雄大な山々も一望できます。展望広がる頂上に置かれた方位盤には、「日本のへそ」から望む山がいかに多いか、あらためて驚かされます。
頂上はそれほど広くなく、ベンチに腰掛けてしばらく休憩してから下山します。下山時は「女道」を選択。頂上付近は少し急ですが、全体的になだらかなつづれ折れの道で分岐に到着です。
駐車場まで降りてくると往復で3時間半程度と登頂の達成感と適度な運動でまた登りたいと思わせてくれる山で、信州の里山・総選挙『冬山編』で1位になったのも頷けます。山頂の風景や木標などを撮影し、JR塩尻駅前の塩尻市観光センターで画面を提示すれば、1部500円で霧訪山登頂証明書を発行してもらえます。記念にいかがですか。
登山で疲れた身体を癒すのは温泉ということで今回も日帰り温泉施設・扉温泉桧の湯を目指します。扉温泉は「西の白骨、東の扉」と称される名湯で、標高約1050mの渓谷にあります。扉とは天の岩戸を運んだ天手力雄命が、この地の峠で休んだ神話に由来する名です。どっしりとした和風木造の建物で男女別の大浴場と大きな岩を配した野趣あふれる露天風呂を完備。
地元で採掘した山辺石を使った庭園風の露天風呂には、毎分400ℓ自噴するアルカリ性単純温泉の湯が源泉かけ流しで注がれています。少し硫黄臭のある湯温40度ほどのぬるめの湯は、優しい肌触りでトレッキングの後の身体に染み渡ります。神経痛、関節痛、消化器病などに効能があり、飲泉も可能で、飲むと胃の調子がよくなるとのこと。
