平安時代より下野の薬湯として親しまれた那須の名湯板室温泉

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那須七湯のひとつに数えられる板室温泉は、茶臼岳に近い湯本温泉付近から南西へ10kmほど離れた那珂川上流、源流部の人里離れた山あいにあり、古くは塩沢温泉と呼ばれ湯治場として賑わいました。開湯は平安時代まで遡り、後冷泉天皇の御代、康平2年(1059)3月、下野国那須郡の領主である鹿那須三郎宗重が狩りのために山奥に入り発見したと伝わります。効能の素晴らしさは「下野の薬湯」と称され、近世では那須七湯に数えられる湯治場として知られるようになりました。昭和46年(1971)には環境省が優れた温泉を指定する「国民保養温泉地」に指定されている歴史ある温泉地です。現在も歓楽的な要素は一切なく、那珂川の清流沿いに宿が点在する湯治場らしいのどかな風情です。

板室温泉で一番那珂川の下流、県道369号(板室街道)沿いにあるのが奥那須・大正村幸乃湯温泉です。那須連峰を望む広大な敷地に建つ一軒宿です。日帰り温泉も10時~21時まで受付ていて曜日別で入替わります。

訪れた日が木曜日でしたので内湯の檜の大浴場へ。pH9.5のアルカリ性ナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉が湯船にたっぷりとかけ流しで注がれています。奥が浅くて寝湯になっています。

高さ4mから源泉が落ちる豪快な打たせ湯がある大滝野天風呂。山際の竹筒からダイナミックに流れ落ちる滝に頭や肩などを打ち湯するのも格別です。

一段高いところに石組で造られている鮫川石の湯は半露天風呂で、奥に恵比寿・大黒天の石像が置かれています。鮫川石は福島県の鮫川村からいわき市南部に流れる鮫川で採取される青みがかった角閃岩の玉石が鮫川石です。庭石のブランド品とのこと。

2022年6月11日(土)TV東京「大久保・川村の温泉タオル集め旅in栃木」で紹介された板室温泉名物「綱の湯」はこの日は女性の日でした。昭和40年代まで板室温泉街にあった古くから伝わる板室温泉特有の入浴法で、持ち手となる綱は温泉小屋の梁に結わえて湯船上に垂らし、湯治客はこれを握って腰以上の深度のある湯船に浸かって湯治を行います。これが関節痛に効くとされ、初めは杖を必要とした湯治客も湯治の後には杖が不要となるほどに回復したと云い、このことから板室温泉は“杖いらずの湯”とも呼ばれるようになったといいます。そして湯治の後、不要となった杖を板室に鎮座する板室温泉神社に参拝し置いていくのが慣習であったそうです。

幸乃湯では伝統を復活させ、立湯となる浴槽は深さが1,25mと1.4mの2段階になっているので身長に合わせて綱をつかんで入浴します。

板室温泉「百村の湯 ホテル板室」は、敷地内に自家源泉「百村の湯」、別名「杖忘れの湯」を所有し、無色透明の湯はぬるめの湯は時間を忘れて浸かることができ、体も心癒されます。湯治を兼ねたお客様が多く、格安料金というのも頷けます。

大浴場はpH8.5、泉温は若干低めの40.5度程度とオーバーフローする自家源泉の天然温泉にゆっくり浸かれば、日常の疲れが癒されていきます。

露天は実は洞窟のような半露天で、空を見上げて浸かれます。

 

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