信州「鹿教湯温泉氷灯ろう夢祈願」は氷の炎と湯の温もり

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凍える寒さに空気は+がピンと張り詰める夜。氷のキャンドルに灯された明かりがやわらかに辺りを照らす。寒ければ寒いほど美しく輝く信州の氷の世界をご案内します。1997年から始まった「氷灯ろう夢祈願」は、手作りの氷灯ろうにロウソクの明かりを灯す幻想的な信州・鹿教湯温泉のイベントで、冬の風物詩として定着しています。願いを込めて灯されたロウソクの明かりが、澄んだ空気の中で輝くとても幻想的な行事です。雪景色の中の冬の夜を煌めきに変える明かりと一緒に温泉が楽しめる「鹿教湯温泉」に出かけてみませんか。

鹿教湯温泉に行くには、上田市街を抜け、塩田平から松本平に抜ける国道254号線を鹿教湯トンネル手前から内村川にかかる鹿教湯橋を渡ります。その昔、鹿に化身した文殊菩薩が、信仰厚い猟師に霊験あらたかな湯を教えたと伝わる、四方を豊かな自然に囲まれた「鹿教湯温泉」は、万葉集に「那須の湯」と記された古湯で800年の歴史を誇ります。1954年に始まった環境庁指定国民保養温泉地に選定されており、歓楽街的要素を持たない静かな温泉地は、周囲の山々の頂きは1500m前後と信州の中では低めで、あたりの自然は里山の風景を残しています。「鹿教湯来る時や/杖ついて来たが/今日は薬師の広場で踊る/鹿教湯小唄のほがらかさ」 西条八十による「鹿教湯小唄」の一節に、この温泉の持つ魅力が詠われています。全国でも数少ない国民保養温泉地に指定されていることから湯治客も多く見かけますよ。

信州上田にある鹿教湯(かけゆ)温泉では、毎年12月末から翌年1月末の間、約200個の氷灯ろうに灯された火が、やさしく幻想的に町を包む冬の恒例行事「鹿教湯温泉氷灯ろう夢祈願」が行われています。山間の厳しい寒さで作ってできた氷を灯ろうにして街中に飾られるのです。均等に並ぶ灯ろうは温泉街街から湯端を抜け、五台橋の屋根の下をくぐり、そして文殊堂への46段の階段を上るように並び、薬師堂周辺までこの灯籠は続いています。

特に見て頂きたいおすすめの場所が、温泉街から背後に鹿教湯富士を頂く旅館街のある湯端通りを抜け、公共の湯『文殊の湯』へと続く湯坂を下ったところ、内村川に架かる『日本のマディソン郡の橋』と呼ばれる珍しい屋根付き木造橋の「五台橋」の屋根の下、そして文殊堂へと続く46段の石階段から薬師堂周辺まで続く均等に並ぶ氷灯ろうです。イルミネーションとは違った温かみのある光の路が出来上がっています。期間中毎日、まだ辺りが明るい夕方の4時半頃からは、松明で約200個の灯ろうの中のロウソクに一つひとつ火が灯される灯火式が行われています。一般の参加者もその頃までに外湯の「文殊の湯」の前に集まると、誰でも無料で参加できるのが魅力です。暖かい服装で出かけてください。

内村川に架かる「五台橋」の正確な築造年は定かではないですが、書物によると、元禄15(1702)年には既に修繕の記録があり、300年以上はここに橋が架けられてきたことになります。

昔から「現世と神の世界を結ぶ橋」としても知られ五台橋付近は、木々が生い茂り、川のせせらぎが心地良く響き、大自然にくるまれているような静けさと安らぎに満ちている神聖な趣のある場所です。五台橋より向こう側(川を挟んで反対側)は、仏様の住まわれる浄土といわれ、智慧を司る菩薩「文殊菩薩」を祀る文殊堂と医薬を司る仏・医王「薬師如来」を祀る温泉薬師堂が高台に肩を並べて建っています。

願いを込めて明かりが灯された直径25cm、高さ20cmほどの円筒形の氷灯ろうが、五台橋から薬師堂に向かって急な真直ぐの階段の両側に並び、まるで浄土に通じる道標のようです。

その先にあるライトアップされた温泉薬師堂は、瑠璃光によって照らされる瑠璃光浄土の如く輝いています。ライトアップされた温泉薬師堂のお堂の中には病苦から救ってくれる薬師如来と仏法の守護者である仁王が共に祀られています。薬師堂の周りには病気平癒の願いとお札に千羽鶴やわらじが飾られていて、今も厚い信仰を集めているのがわかります。薬師堂の傍らには、温泉を訪れた人々がそれぞれの願いを託して奉納した数多くの石仏が林立しています。五台橋から薬師堂周辺まで続く灯りを辿って、急な階段をゆっくり歩いて上ります。

もう一つの屋根付の橋「寺沢橋」をはさんで佇む文殊堂には、その文殊菩薩が祀られています。奈良時代行基が巡錫でこの地を訪れた時にただならぬ霊気を感じ取り、ここを霊地と悟ったとのこと。奈良に戻り三体の文殊菩薩を彫ったうちの一体を弟子円行によって安置させ創立されたと伝わるのが文殊堂です。現在の文殊堂が建ったのは江戸時代中期の元禄14年(1701)に着工し、宝永6年(1709)に竣工したといわれ、屋根に特徴のある入母屋造りの建築様式を用い、欄間や向拝などに多くの彫刻が施されています。またお堂の天井には江戸時代後期の日本画の大家・谷文晁作と伝わる竜の絵があり、夜な夜な川の水を飲みに石段を下ったという伝説が残っています。その折に切られたという首の傷跡があります。

温泉街を見下ろすように佇む文殊堂からは、夫婦杉の間を通り抜け、両側に並ぶ氷灯ろうに照らされた46段の階段を下って川沿いに五台橋に戻ります。

五台橋すぐ近くの外湯「文殊の湯」露天風呂からこの氷灯ろうを眺める風情ある楽しみもあります。

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