標高3000m級ならではの壮大な展望に感動!日本百名山「乗鞍岳」

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北アルプスの南に続き、約100万年前の火山活動のよってできた、たおやかなコニーデ火山の山容を広げる長野県と岐阜県の県境にそびえる乗鞍岳。誰もがその美しく大らかな山容に魅せられます。主峰の鶴ヶ峰は標高3026mという雄大なスケールながら、シャトルバスでアクセスできる畳平の登山口から整備された登山道が延びていて、約1時間30分で山頂を目指すことができ、初心者でも手軽に3000m越えの山に挑戦できる数少ない山のひとつです。長野県側から見てその姿が馬の鞍に似ているところから「乗鞍岳」と名付けられ、23の峰、7つの湖、8つの平原をもつ、四季を通じて雄大な自然と近しくなれる日本有数の山岳リゾートです。写真は乗鞍高原鈴蘭地区の駐車場から望む乗鞍岳

日本の代表的な山岳公園である中部山岳国立公園の中でも乗鞍岳一帯は最も規制が厳しい特別保護地区に指定されており、そのため畳平への車両の乗り入れは禁止されていて、自家用車は長野県側の乗鞍高原鈴蘭地区もしくは岐阜県側のほおのき平地区で代替バスに乗り換えることになります。※乗鞍高原鈴蘭地区側はシャトルバスが予約制です。今回は乗鞍高原からシャトルバスに乗り込み、下山後は乗鞍温泉郷の名湯で体を癒す計画で出発します。

バスに揺られること50分、木々が、しだいに広葉樹から針葉樹に変わり雲の中へ。森林限界を越え、雲の上にでると、今まで見たことのない景色が迎えてくれ、アルペンムード溢れる景色を車窓に映しながら畳平へと向かっていきます。体力に自信はなくても、バスに揺られて気軽に3000m級の世界を体験できます。

乗鞍高原からは乗鞍エコーライン、岐阜県側からは乗鞍スカイラインをシャトルバスが運行しています。乗鞍スカイラインは岐阜県平湯峠(標高1684m)を起点にし、乗鞍岳畳平(標高2702m)までの標高差1000mを越える全長14.4km、幅員6.5m全線舗装2車線の山岳道路で日本一の標高を走ります。写真は乗鞍エコーラインで、畳平へ至る全長約20kmの道です。自転車で登れる最高地点(畳平)にヒルクライムチャレンジすることだでき、ヒルクライマーに人気です。

畳平に降り立つと、ひんやりとした空気に思わず首をすくめますが、それもそのはずで、畳平バスターミナルの標高はすでに2702m。バス乗り場としは富士山五合目よりも高い標高日本一の地点だといいます。ヨーロッパの山小屋をイメージした畳平バスターミナルには食堂や売店、宿泊施設もあります。

 

登山や周辺ハイキングの起点となっているのが畳平。ここを起点に最高峰の剣ヶ峰以外にも気軽に登れる富士見岳や魔王岳、大黒岳などがあり、またお花畑の木道を一周するだけでも天空の散歩を楽しむことができます。

剣ヶ峰へは、バスターミナル横の階段を下っていきます。乗鞍岳は剣ヶ峰を主峰に23の峰々、7つの火口湖、8つの平原からなります。眼下には木道が延びる平原が広がり、畳平のお花畑周回コースとなり夏は可憐な高山植物が咲き乱れます。奥には恵比須岳(標高2831m)

雷鳥の碑のある木道との分岐は見送り、直進して階段を登ります。

畳平から富士見岳の山腹を横切るように延びている富士見岳西遊歩道に合流し、さらに左手に富士見岳(標高2817m)右手に乗鞍岳の7つの池のひとつ、碧い水をたたえる不消ヶ池(標高2733m)と不動岳(標高2875m)を眺めながらゆるやかに登っていきます。不消ヶ池は、乗鞍岳では唯一の氷食湖で、北風に乗った雪が火口壁に囲まれた凹地に吹き溜まり、その雪が一年中消えないことから名付けられました。乗鞍の夏山の生活用水なので立入禁止です。

登山道から見上げた先には旧コロナ観測所ドームが建つ摩利支天岳(標高2873m)への登山道(通行止め)と左手には富士見岳(標高2817m)に向かう登山道への分岐、そしてその先には山頂の向かう道と、変則的な四差路の摩利支天岳(標高2750m)の鞍部に到着します。畳平より35分

剣ヶ峰山頂へは尾根を越えてゆるやかな下りを進みます。眼前に剣ヶ峰とその手前の朝日岳が迫り、眼下に広がるのは乗鞍大雪渓で、夏でもスキーを楽しむ人で賑わいます。

鞍部から肩の小屋のある地点まで10分ほどで到着です。肩の小屋は乗鞍岳の8合目、標高2770mに位置します。コーヒーや軽食があるのでここで一休みします。

肩の小屋で休憩と用便を済ませて出発します。頂上まではゆっくり登って約1時間です。

その先のハイマツに覆われた登山道は整備されているものの大小の岩がごろごろと連なるようになるので足元に十分注意をして歩きます。

そこを抜けると岩礫の登山道となり、蚕玉岳(標高2979m)へと続きます。

蚕玉岳の右手下には乗鞍岳の7つの池のひとつ、神秘的な権現池(標高2840)が望めます。古い火口に水がたまった火口湖で獅子の曲玉のような形をしていることから曲池とも呼ばれます。日本国内の湖沼としては御嶽山の二ノ池(標高2905m)に次いで2番目に高い場所にあります。天気がよければ池の向こうに白山まで見渡すことができるとか。

標高が上がるほどに景色は広がりを見せ、目指す剣ヶ峰の赤茶けた岩肌が圧巻の様相で迫ってきます。蚕玉岳付近の風の通り道でもある鞍部から山頂を眺めれば、鳥居が見え、山岳信仰の聖域であることがわかります。

鞍部からその岩場をひと登りすれば、ついに乗鞍本宮の建つ山頂に到着します。鞍部から先は二手に分かれていて、右のほうが山頂への近道になります。左に行くと頂上小屋を経て山頂へいくことになります。

山頂直下の岩場は特に足元に注意が必要です。最後の登りを終えてたどり着くのは、剣ヶ峰の岐阜県側の山頂です。

乗鞍岳最高峰剣ヶ峰の山頂に鎮座する「乗鞍本宮頂上本社」は、日本百名山の頂に立ち、登頂した達成感とともに参拝できる、まさに“天空の神社”です。古くは「鞍ヶ嶺神社」と呼ばれ、古来より山岳信仰の対象として多くの人々の祈りを集めてきました。

鳥居と社が建つ標高3026mの剣ヶ峰山頂。気が付けば辺り一面まっ白なガスで覆われていて3000mの高さから日本を代表する山々を一望できる眺望は残念ながら見れませんでした。時たまガスが晴れる間には標柱の向こうに大日岳(標高3014m)の頂が望めます。

山頂で安全祈願をしてそのまま往路を戻ります。肩の小屋を目指し、奥の摩利支天岳の山裾の登山道を辿ります。

富士見岳分岐から富士見岳山頂(標高2817m)を越えて鶴ヶ池の脇を抜けて畳平に戻ることができます。所要時間は20分程で、足腰に問題なければ頂上まで登れます。天気が良ければ畳平の全景が眺められ、夏であればコマクサの群生が出迎えてくれます。

富士見岳を下山してきた場所ですが、こちらから剣ヶ峰山頂を目指すこともできます。

乗鞍岳の7つの池のひとつ、鶴ヶ池大黒岳(標高2772m)の斜面から流れ込んだ土砂によりS字形の湖面となり、その形が鶴に似ていることから名付けられました。この日は水量が不足していました。

また畳平バスターミナルの向かい、北側すぐの所には魔王岳(標高2763m)への登山口があります。道は階段が整備されていて歩きやすい登山道です。名前とは裏腹に乗鞍岳の中でも一番気軽に登れる山で10分~15分ほどで山頂に到着します。

今回は往路と同様、富士見岳西遊歩道から雷鳥の碑が立つお花畑周回コース分岐まで戻ります。畳平バスターミナルの南側に木道が整備され一周40分のお花畑が広がっています。不動岳と魔王岳に挟まれた標高2680mの高地に咲く花園はまさに“天空の楽園”といえます。7月上旬から8月中旬にかけては色とりどりの高山植物が一斉に花開き、短い夏を鮮やかに彩ります。

またこの一帯は国の天然記念物「雷鳥」の生息地で、推定100羽ほど暮らしています。運が良ければ木道を歩いている最中にその姿を目にすることができるかもしれません。緑鮮やかなハイマツは、雷鳥が身を隠す場所になり、芽や種子は餌になっています。

乗鞍岳登山を満喫した後は、畳平バスターミナルから乗鞍高原鈴蘭地区へシャトルバスで戻ります。乗鞍岳東山麓一帯の標高1200m~」1800mに広がる乗鞍高原には、乗鞍岳中腹から自然湧出する湯の花が咲き誇る美しき乳白色の温泉を引く温泉宿が約100軒あり、乗鞍温泉郷を形成しています。湯の河原から約50℃の湯が毎分1500ℓ湧き出しており、乗鞍高原まで約7km、高低差544mにわたって引湯されています。乗鞍温泉の起源ははっきりしておらず、温泉郷としての歴史も古くありませんが、山の中腹に温泉が湧いていたのは古くから知られていました。なかでも昭和44年創業時より「湯の宿」「食の宿」として乗鞍高原で営業を続けている乗鞍岳山麓の宿「山水館信濃」で乳白の濁り湯を堪能します。

白樺林に囲まれたロッジ風の外観ですが、一歩館内に入ると落ち着いた和の設えに意外性と嬉しさを感じます。男女別の浴場はそれぞれ内湯と露天風呂を有し、乗鞍岳中腹から自然湧出する、全国的にも希少な乳白色の硫黄泉「乗鞍高原温泉」を引き湯していて、源泉100%かけ流しの濁り湯が内湯、露天風呂で楽しめます。木造の浴槽には湯が滔々とかけ流され、湯煙に包まれています。

硫黄成分がたっぷりの白濁の湯で体の芯まであたたまり、登山の疲れを癒してくれます。

次回は高山植物が咲き乱れる時期に再度乗鞍岳に来てみたいものです。

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