春薫る伊豆・河津町で陽光を浴びる早春の河津桜と舟戸の番屋

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海沿いののどかな町伊豆“河津”で、川岸を埋め尽くすように咲く早咲きの“河津桜”を楽しむ平成3年から始まった「河津桜まつり」は、例年2月10日前後から3月10日前後まで開催されます。桜まつりの早春、河津町では河津川河口から約4kmにわたって約800本の河津桜の並木が続き、川岸の遊歩道を歩けば、頭上を覆う桜のトンネルが壮観です。この時期河津川沿いを中心に町が河津桜のピンクに染まり、露店が軒を連ね、花見客でこの小さな町は大いに活気づきます。

イベント期間中は、土・日曜と祝日に伊豆の踊子と記念撮影が体験できるほか、地場産品の販売や名木のライトアップが毎日行われます。また河津浜温泉や谷津温泉、今井浜温泉などの町内宿泊者限定で名木のライトアップ会場へ夜桜シャトルバスが運行され、魅力あふれる温泉に泊まって夜桜見物に出かけるのも一興です。

まだ冬の気配の長野を抜け出し、ひと足早い春の景色を見たくて早咲きで有名な河津桜に会いにでかけます。

河津桜は約60年前に偶然発見された自然交配種で、ソメイヨシノよりも色が濃い桃色や淡紅色の花が特徴です。寒さの中で咲くので開花から満開になるまでに約1ヶ月かかり、最初は寂しげだった木がだんだんと華やかな濃いピンクの花弁をつけていく過程をゆっくり楽しむことができます。しかしながら開花予想が非常に難しいともいわれていて、例年1月下旬から徐々に咲き始め、3月上旬まで長い間楽しめます。

長野からは中央道で山梨へ、大月JCTを山中湖方面に向かい須走で降ります。そのまま国道138号で御殿場ICへ、新東名で長泉沼津ICで降り伊豆縦貫道、修善寺道路、天城街道(国道414号)で南下し湯ケ野で県道14号に入り約360Km河津に到着です。

車で来場した時に悩ましいのが駐車場の確保です。駐車場は実行委員会駐車場(P1~17)と民間駐車場(Pあ~め)があり、どこも終日700円ですが民間は2時間のところもあり注意が必要です。河津駅周辺や河津桜観光交流会館の中心街に駐車場は多いのですが混雑しやすく、河津川の両岸をしっかり見て回るなら一番川の上流、北の峰地区から見学していくのが良いのです。

おすすめの駐車場は峰小橋近くの(P16)か、河津川を渡った反対側、涅槃堂近くの(Pお)涅槃堂駐車場がおすすめです。ここはトイレと飲料自動販売機があり便利ですし、近くには河津桜の名木一本桜「涅槃の桜」があります。このほかにも一本桜があるので地図を見ながら見付けていきます。

河津桜の見学コースは決まっているわけではなく、自由に散策することができます。おすすめの「峰小橋」付近の駐車場からスタートして河津川沿いを河津浜まで往復した場合、約8㎞、所要時間は約2時間半の行程が目安になります。河津川に架かる橋や一本桜を目印に地図を見ながら歩いていくことにします。

車を停めた「峰小橋」からまずは右岸を歩いて500m「かわづいでゆ橋」までいきます。ここから「豊泉橋」までの600mの河津桜並木は幹も太く立派で夜桜ライトアップがなされます。写真は「かわづいでゆ橋」から「峰小橋」方面を写した写真で、地元の方のおすすめの撮影場所です。

途中には写真の名木一本桜の「音蔵の桜」や

花見散歩の折り返しにひと休みにもってこいの日帰り入浴施設「踊り子温泉会館」、その近くに「豊泉の足湯処」があります。峰温泉の河津川堤にあり、夜桜ライトアップ(18時~21時半)が行われる桜並木に近く、また目の前からは河川敷に下りやすくなっています。

そして豊泉橋の袂に「豊泉の桜」が屹立しています。まだちょっと早かったようです。

オレンジ色の豊泉橋から上流を眺めると、川と青い空にソメイヨシノの淡いピンクと違い、やや鮮やかな色あい、淡麗というよりは華美という感じの河津桜の桜並木という美しい風景が一望できます。所々にある川岸の階段を下りてみると、水辺から眺める桜も一味違う風情があります。

「豊泉橋」から「来宮橋」までの500mを楽しんだら橋を渡って反対岸を歩きます。ここから河津駅までは片側しか桜が植えられていないのです。渡った橋のたもとに写真の「上河原の桜」があります。

「来宮橋」から「荒倉橋」までの700mの間には、露天や自宅で喫茶店などを営業しているお店が並びます。通称“菜の花ロード”とも言われる散策路沿いのお店の前には、春の彩りを添える菜の花が咲き乱れ、黄色と河津桜のピンクの対比がより華やかで楽しませてくれます。河津桜まつりの期間中に並ぶにぎやかな露天では、河津と周辺地域の農産物や名産品、菓子やお土産などが売られています。

途中の笹倉公園には、観光案内パンフレットコーナーや「さくらの足湯処」もあり、しばしの休息をとります。桜並木と菜の花のコントラストが美しい、菜の花ロードが目の前です。

「荒倉橋」からさらに300m、伊豆急の高架をくぐりと「館橋」です。ここから「浜橋」までの300mが、夜はライトアップされる河津桜並木が続きます。このあたりの桜もしっかりとした見事な花を咲かせていますよ。

「浜橋」まで出たら“谷津”の交差点を渡って、少し河津浜海岸から海を眺めてみるのも心が落ち着きます。

途中で対岸に見た足湯が気になり戻りは対岸を歩きます。

河津川沿いの散策路には3ヵ所足湯処がありますが、中でも河津浜近く、浜橋の手前にある足湯「河津三郎の足湯処」は、3つの足湯の中で、施設的にも、景色的にもおすすめです。

赤い足形が並ぶ真ん中に青い“ゆ”の文字が目を引きます。谷津温泉と書かれた建物の2階に上がって座ると、右を見れば河津浜、左を見れば桜並木の眺めに、身も心も疲れた足も癒されます。河津三郎祐泰は曾我兄弟の仇討ちで知られる曾我祐成・時到の父です。

帰りは河津駅から町道を通ります。河津桜観光交流会館向かいの「かじやの桜」に是非とも立ち寄ってみて下さい。河津町の名木一本桜のなかでも樹形といい鮮やかさといい横綱の河津桜です。近くに行けば見事な花はこんもりと密集して咲いているのですぐにわかります。河津桜原木が発見されて苗の生産が始まり、河津町内の関係者に配られれた桜の一本で、一期生と呼ばれています。

さらに河津町役場近くの「河津桜原木」も必見です。河津桜並木のマザーツリーともいえる原木は早咲きのオオシマザクラ系とピンクのヒガンザクラ系の自然交配種といわれるもので、樹齢約60年、樹高約10mです。昭和30年(1955)頃の2月、河津町田中の飯田勝美さんが河津川沿いの冬枯れの雑草の中に芽吹いていた桜の苗を偶然見つけ、現在地の庭先に植えたのがこの原木です。この木から後に川岸などへの植栽が進められ、河津桜の輪が広がっていったと思うと感慨深いものがあります。

再び豊泉橋に戻り、行きとは反対の川岸を歩きます。かわづいでゆ橋まで戻ったところで少し寄り道をして「車の桜」をみます。ほかにも「大宮瀬の桜」といった名木一本桜がまだまだありますので寄ってみてください。

また川岸に戻る際にあり材木工場の近くの橋からは地元の人おすすめの河津桜並木がみれます。駐車場まで戻れば片道3km、往復6kmで所要時間休憩しながら4時間のコースです。

ここから足の疲れを癒しに温泉に向かいます。国道135号沿い、河津浜海岸の浜区無料駐車場を過ぎ河津浜トンネルを越えると今井浜です。伊豆急なら一駅の「今井浜海岸駅」から徒歩5分の距離にあるのが「舟戸の番屋」です。廃業した今井浜温泉の日帰り温泉施設「サンシップ今井浜」の跡地に新築された海が目の前の体験型総合観光施設です。サザエや伊勢海老などの生簀があり、海鮮バーベキューを楽しめる食事処が有名ですが、ワカメなどの海産物に地元の農産物の直売所もあり、干物や塩つくりの体験教室もあります。目的の露天風呂を利用するには、番屋建物の入口を入ったところで格安料金入浴料300円を払い入口から一旦外に出ます。露天風呂は建物から150mほど離れた崖の上にあるので、右手階段を登って下った所、木立の中に湯屋が見えます。

男湯の引き戸を開けるとシンプルな脱衣場があり、その先にキラキラと輝く大海原の水平線が広がります。波飛沫が湯船に届きそうなほどに、まさしく海と一体化しているような解放感のある絶景露天風呂です。今井浜温泉は峰温泉と谷津温泉からの引き湯の源泉掛け流しで、源泉温度が高く、弱アルカリ性の塩化物泉はクセがなくあっさりとしたお湯です。遮るものを最小限に抑えた湯船から見える青い空とどこまでも続く大海原の絶景は時のたつのを忘れるぐらい酔いしれながらお風呂に入ることになります。岩に当たって砕け散る波音を聞きながらリラックスできます。

番屋の前には、海を見ながら入れる無料の足湯があります。晴れた日には絶好の日なたぼっこができる気持ちのよい場所です。心地よい潮風を感じながらジワジワと足元から身体が温まっていきます。

 

 

 

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