白い綿帽子ワタスゲに出会える初夏の志賀高原自然探勝コース

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上信越高原国立公園の中心部を占め、ユネスコエコパークに登録された貴重な自然環境を有しながらも、車で気軽に訪れることができる場所として人気の自然の宝庫「志賀高原」は、標高1500mから2000mに広がる日本屈指のリゾート地。特別な装備がなくても、誰でも簡単に登山気分が味わえ、高山植物や原生林、美しい湖沼の風景を楽しむことができます。

自然をより身近に感じられるアクティビティとして志賀高原には山歩きに不慣れな初心者も楽しめる遊歩道から、上級者向けの本格的な登山コースまで個性豊かな15のトレッキングコースが設定され、目的地やレベル、所要時間などに合わせて、ぴったりのコースを選ぶことができます。なかでも「自然探勝コース」は、6つの池沼、原生林や溶岩台地をめぐりながら、さまざまな動植物の息吹を間近に感じる志賀高原の自然を存分に満喫するコースです。森林浴の効果が科学的に立証された森林セラピーロードにも認定されていて癒しの効果も期待できます。データ全長4.1km、標高差約190m、所要時間約1時間40分

日本屈指のスキーリゾートとして知られる志賀高原。5月下旬からの芽吹きが山を駆け上がり、緑輝くグリーンシーズンに突入したこの季節、夏の姿はどうなんだろう?と冷涼な空気をいっぱいに吸い込みながら、自然の魅力を存分に味わってみたく人気のトレッキングコ-ス「自然探勝コース」を体験します。そこには原生林と湖沼が織り成す大自然の姿があります。見どころが多く、案内看板も充実しているので志賀高原の自然を学ぶのに最適です。周遊コースではないのでバスの連絡などは事前に押さえておきます。

まずは蓮池に隣接する志賀高原山の駅の無料大駐車場に車を停めます。かつて志賀高原ロープウェイの山麓駅「蓮池駅」をリノベーションした施設で、現在は志賀高原のメインバスステーションになっています。館内にはお土産など県内の名品などを扱うショップやレストラン、レンタル用品店などが入り、志賀高原の観光。交通拠点、休憩スポットとなっています。あの「つけ麺」の考案者の故山岸一雄の生まれ故郷が山ノ内町ということから「山ノ内大勝軒」も。地下1階にはトイレもあります。

かつて稼働していたロープウェイ発着所は志賀高原随一の撮影スポットに生まれ変わりました。西館山や東館山や寺子屋山まで見渡せます。

出発時間までまずは蓮池を一巡。夏はスイレンが美しいのですが、この時期は散策路のレンゲツツジが緑の中で映えます。

出発地点の木戸池までバスに乗って向かいます。志賀高原山の駅発渋峠行9:01発のバスに乗って所要時間7分で木戸池バス停に到着します。木戸池バス停横に木戸池温泉ホテルがあり、目の前に白樺やダケカンバの森に囲まれた「木戸池」があります。

季節とともに変わる色合いが湖面に鮮やかに映し出される池は、標高1620m、深さ6m、透明度4m、PH6.5の含栄養型湖沼で酸性度が低く、フナ、ワカサギ、ニジマス等が放養されています。大沼池、蓮池付近の湿地帯、三角池、田ノ原、平床原とともに旧志賀湖のなごりです。

ホテルと木戸池の間から約20分、池を半周し、木戸池スキー場のピークをひとつ越したところに解放感あふれる広々とした「田ノ原湿原」が現れます。標高1620mに位置し、約5万年前の太古の昔、志賀山の噴火によって流れた溶岩が幕岩近くで角間川を堰き止めて造った旧志賀湖の湖底に発達した志賀高原で一番広い高層湿原。江戸時代、松代藩士の佐久間象山が開田研究をしたことにちなんでその名があります。

湿原の緑とシラカバのコントラストが美しく、また四季ごとにさまざまな花が咲きますが、初夏6月下旬から7月上旬にかけて、白くフワフワとしたワタスゲの果穂が一面に群生しています。整備された木道の間からものぞく白綿帽子をかぶったようなワタスゲの中を木道に沿って歩いていると雲の上を歩いているかのような気分です。

木道の向こうには特徴的な形をした笠岳を望めます。

田ノ原湿原からまたひとピークを越して、車道を渡り900m先の長池を目指します。途中にある「三角池(ミスマイケ)」は、標高1630m、深さ8.5m、透明度7m、PH4.4の腐植栄養型湖沼で酸性度が高いため水中生物が少ない。ここからが特別保護区になり、周囲を見渡すと先ほどまでの明るいダケカンバの林から一変、巨木が根を生やす亜高山帯に属する樹林に被われます。池畔は浅根性で日当たりを好むコメツガ、クロベ、アズマシャクナゲの群落が繁茂しています。太古の記憶を宿す原生林の力強い芽吹きの鮮やかな緑が湖面に映り幻想的です。これこそが本来の志賀高原の姿で、ベンチもあるので少し休憩しながら太古に想いをはせます。

三角池から長池までは、腐敗した倒木の上に次世代の若木が育つ「倒木更新」が多く見られます。針葉樹の森では複雑な形をした「倒木更新」が多く見られ、注目スポットの根上りの木が目の前に立ちはだかります。地元の子どもたちから「ゾウさんの木」と呼ばれるコメツガの木は、岩の上に成長し、雪の重みで象の鼻のように下向きに伸びた幹が光を求めて上向きに枝を伸ばしています。

志賀山の渦巻状溶岩流が流れた裾野にあたる探勝路には、溶岩が運んできた岩がゴロゴロしています。その岩の上に生えたコメツガがタコ足みたいな根で岩を掴んでいたり、樹の根元が積雪でぐねりと曲がっていたりと、どんな過酷な環境でも懸命に光を求め根を張るその生命力に圧倒されていまいます。

蓮池方面に下っていく途中、クロベ、コメツガの原生林の中に突然小さな湿原が現れます。標高1600mにある日影湿原で、湿原の周囲には水路があり、そのためミズバショウがよく育っています。

さらに原生林を進むと「根上りの木」がたくさん見られます。

原生林を抜けると上の小池に出ます。標高1510m、深さ4.9m、PH4.9腐植栄養型湖沼で池畔にはシュレーゲルアオガエルの卵塊が見られます。周辺は古い街道沿いにあったため針葉樹が伐採されシラカバやダケカンバ等の二次林が生育していて静かに水面に映り込む木々が素敵です。近くを車が通るのでちょっと騒音が気になりますが。

上の小池から長池畔の杣クラブヒュッテ前のチェアに座りしばしの休憩をとります。

長池は標高1584m志賀火山の新しい溶岩台地(おたの申す平)と古い溶岩台地(ツツジヶ丘)のくぼ地にできた志賀高原では3番目に大きな池です。流れ込む川はなく、雪解け水や雨水、地下水がたまったもので、南側はコメツガなどのお針葉樹の原生林、北側は伐採後に伸びてきたダケカンバなどの二次林となっています。長池を眺めながら散策路を進んでいくと、その先には信州大学自然教育園があります。

一帯は志賀山の噴火でできた国内で類例がない渦巻状溶岩流で、南には複雑な地形で一度迷うとなかなか出られないとされる「おたの申す平」が広がります。そのおたの申す平の展望ができる原生林の「まが玉の丘コース」までここから3.5kmの自然観察路になっているのですが、かなり急なところもあるので体力に自信がないのでまたの機会にしておきます。信州大学自然教育園の入口から再び車道を渡ります。

ワタスゲが咲く小さな湿原の木道があり、重い足取りも軽く感じながら次のミツガシワが水面を覆う下の小池(標高1610m、水深3m、Ph4.6)に進みます。

蓮池スキー場のゲレンデ上部のヤマドリゼンマイの群生地を歩きそのままゲレンデを下っていきます。。

その下方部「ワタスゲ平湿原」へ。標高1530m、昔は池でしたが次第に周りからミズゴケなどが茂りその死骸が腐らずに堆積して湿原に変わったとのこと。特に多くのワタスゲが一面に美しく咲くのでこの名があります。

最後に国道をくぐると蓮池です。車道をくぐるトンネルには、セメントが乾く前に歩いたであろう小動物の足跡がきれいに残っています。

蓮池に戻ってきたら一周できる遊歩道を歩きます。池畔には蓮の花に似たコウホネをはじめ、ヒツジグサなどの水生植物が見られます。

志賀高原山の駅の駐車場にに戻って来れば完全踏破です。時間はちょうど11時すぎで、トレッキングの汗を流しに出発地点の木戸池温泉やその奥の熊の湯温泉に浸かるのもいいです。お腹が減っていれば少し下った丸池ホテル内のレストラン モンテ・モアで俳優の神田正輝が志賀高原んい来ると必ず食べるという名物のソースカツ丼はいかがでしょうか。

ドライブするなら木戸池の先、平床大噴泉を目印に右折し県道66号(豊野南志賀公園線)で笠岳を左手に見ながら山田牧場そして信州高山温泉郷へと車を走らせ、ランチと温泉というのも愉しみです。因みに写真は山田牧場にある食事と温泉が楽しめる「レッドウッドイン」です。

温泉はお隣の奥山田温泉「セルバン白雲館」で極上の白濁湯に身を鎮めます。牛がのんびり草を食べている牧場風景を見ることができる一風変わったロケーションの標高1500mの山田牧場に建つ高原のホテルです。内湯・露天風呂とも男女各一つずつ、計4つの浴槽があります。源泉かけ流しの湯が浴槽にあふれ、内湯は熱湯とぬる湯の二槽に仕切られています。

なにより特筆すべきはその良質の湯です。県外にもその名の通る信州高山温泉郷にあって、団体客がほとんど訪れることのない最上部の奥山田に湧き出る湯は、知る人ぞ知る美人の湯で奥山田温泉の特徴である白濁の硫黄泉が肌を優しく包んでくれます。

 

 

 

 

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