梅が彩る宝登山へ!神話ゆかりの長瀞アルプスハイキング

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秩父の山里に春到来!東京から近い秩父地方の長瀞にある低山「宝登山」では、ロウバイ、梅と続く“花のリレー”が繰り広げられます。ローカル線・秩父鉄道に揺られ、宝登山(標高497m)を主峰とする通称「長瀞アルプス」の山稜をたどる、のんびり早春のハイキングにでかけます。

ハイキングコースは、秩父鉄道「野上駅」から万福寺を経由し、野上峠・奈良沢峠を経て宝登山山頂に至る「長瀞アルプス万福寺コース」、宝登山山頂からは秩父鉄道「長瀞駅」までたどる「宝登山ハイキングコース」の全長9km、約3時間半の行程。

スタート地点の秩父鉄道「野上駅」までは、埼玉県北部の主要都市・熊谷市にあるJR高崎線・上越新幹線が通る熊谷駅から東西に伸びる秩父鉄道で向かいます。荒川をさかのぼるように西へ向かう線路は、寄居、長瀞を経て秩父方面へ。明治32年(1899)に創業した上武鉄道(大正5年(1916)秩父鉄道に改称)を前身としています。

駅改札を出たところには宮沢賢治の歌碑があります。盛岡高等農林学校(現岩手大学農学部)の生徒であった宮沢賢治が大正5年(1916)9月に地質調査研究のため秩父を訪れ9月7日に開業時「本野上駅」であったここをたって盛岡に向かいました。その際に詠んだ歌が「盆地にも 今日の別れの本野上 駅にひかれる たうきびの穂よ」です。

野上駅(標高139m)から正面の道をまっすぐ進むと国道140号。渡ってそのまま住宅地を通り西へ約1km、萬福寺を目指します。秩父十三仏に数えられる脇本尊の不動明王がある真言宗智山派のお寺です。

萬福寺正面を右に見て脇道を山側にまっすぐ歩くと、その先に長瀞アルプス登山口の標識が現れます。ここから本格的な登山道になります。道は整備され途中々々に標識があって分かりやすく「宝登山」方面へ進んでいきます。

長瀞アルプスは多くの私有地を通っていますので環境整備協力金として100円を投函していきます。小銭を用意しておいて助かりました。

坊山分岐にぶつかったら、標識のとおり右側の登山道を「宝登山」方面へ進みます。ここから右側が急斜面になっているので注意が必要です。

このあたりは自然林からの木漏れ日を浴びながら清々しく感じながら進んでいきます。

氷池分岐にぶつかったら、ここも標識のとおり「宝登山」方面へ進みます。ちなみに氷池とは、かき氷で有名な「阿佐美冷蔵」さんの天然氷を作る場所です。

宝登山山頂付近までは、比較的平坦な稜線を歩く登山道となります。小鳥峠は「長瀞アルプス」の尾根上にある小さな峠。空が大きく開けていて開放感を与えてくれます。

気持ちのよい自然林を通り過ぎれば林道本山根線との出合、奈良沢峠に到着です。標識通り右へ、しばらく舗装道路を歩くことになります。足取りも少し軽やかな感じです。

800mほどで宝登山登山口に、「毒キノコに注意」の看板が目印です。ここから宝登山の裏参道で、宝登山山頂まで約600mの距離ですが、途中からコース一番のつらい難所、200段ほどの急登が待ち構えています。

少し長めの木の階段を踊り場を2度はさんで3度登っていきます。途中には岩場のあるところもあり、足元に注意しながらゆっくりと進みます。上り終えれば宝登山山頂に到着です。

山頂は開けていて、ゆっくり休憩することができ、宝登山ロウバイ園へと入っていくこともできます。約3000本のロウバイが咲き、周囲がほのかな甘い香りに包まれます。

展望もよく武甲山や秩父市街を見渡すことができ、天気が良ければ日本百名山に数えられる両神山や甲武信ヶ岳を眺めることもできます。ロウバイ越しに見る秩父の山々の美しさに感動です。

ロウバイは蠟梅と書くので梅の一種かと思いがちですが全く違う種類で、蠟細工のような梅に似た花から「蠟梅」の名になった。また臘月(陰暦の12月)に梅に似た花を咲かせることからともいわれています。芥川龍之介はロウバイの美しさを『小ぶりで、幾重にも重なる黄色い花びらは、まるで蠟細工のように瑞々しく透き通る』と表現しています。

真冬に咲くロウバイは、梅、サザンカ、スイセンと並ぶ「雪中四友」の一つで春を告げる花として画題となり親しまれてきました。晴れわたった青空をバックに黄色の花がきれいに映えます。

登山コースから少しそれますが、寶登山神社奥宮に参拝していきます。第12代景行天皇の皇子日本武尊が東国平定の折、山頂を目指すと、山火事に遭遇。そのとき山犬が現れ火を消してとめ尊一行を無事山頂へ導きました。尊は山犬が山の神の「神使」と悟られ、山頂に神籬を立て祖先にあたる神武天皇・大山祇神(山の神)・火産霊神(火の神)を祀り、山の名を「火止山(ほどやま)と定め宝登山神社の基としたところと伝わります。

コースに戻り、ロウバイ園の隣に位置する宝登山梅百花園は、昭和61年(1986)から植栽が始まった関東一の数と言われる170品種、約470本の梅が紅、白、ピンクの色とりどりのグラデーションで見事に山肌を染めています。まさに百花騒乱、梅園には香しい梅の香が漂います。

麓から宝登山山頂までロープウェイが運行しています。山麓駅から山頂駅までの全長832mを宝登山小動物公園の人気者、ニホンザルとシカにちなんで名づけられた「ばんび号」と「もんきー号」の2台のゴンドラがつるべ式に往復する四線交走式システムで運転されています。体力に自信がなかったり、時間を気にされている方はロープウェイを利用すると所要時間5分で下山することができます。

ロープウェイ山頂駅の正面にある歩道から下山ルート「宝登山ハイキングコース」に入っていきます。すぐに「長瀞駅遊歩道」の標識が見えてくるのでここから2.4km、約1時間ほど下っていきます。

最初は狭い道ですが、すぐに広い登山道に出るので寒桜を眺めながら、標識の従って長瀞駅方面に進みます。

宝登山ロープウェイ入口からすぐに寶登山神社に到着です。寶登山神社は秩父三社の一つに数えられる立派な神社でその歴史は古く、景行天皇41年(111)創建と伝わります。現在の社殿は資金調達に苦労しながらも江戸末期の弘化4年(1847)から明治7年(1874)にかけて再建されたもので本殿・幣殿・拝殿より成る権現造りです。平成2年の改修により再建当時の極彩色の彫刻が再現されています。

欄間には「二十四孝」や出世を意味する「登竜門」など江戸期から明治初期にかけて活躍した熊谷在武州明戸の彫刻師・飯田岩次郎による装飾が施されています。

参拝を終えれば秩父味噌のタレを使った宝登山神社売店の名物「黄金だんご」に気持ちが揺らぎながらながらも帰路に着きます。

寶登山神社から神社秩父鉄道「長瀞駅」までは参道を歩くこと約1km。桜の季節になると「長瀞桜まつり」が開催されます。参道の途中には氷池があった「阿佐美冷蔵」があるので立ち寄って天然氷を賞味するものいいでしょう。

阿佐美冷蔵 宝登山支店」は。天然氷でつくるかき氷が有名なお店で本店同様の人気店です。平安時代から続く伝統の製法で、明治23年(1890)の創業以来継承し続ける天然氷専門店。一番人気のかき氷は、シロップに天然果汁を使用。ジャズが流れるモダンな雰囲気の中、歩き疲れて火照った体を癒すべく冷たい氷をほお張ります。※車の場合は駐車場がお店の裏側に8台スペースがありますが、宝登山神社からくると看板が見えませんが「松風」さんの駐車場内にあります。

オーダーした“いちごミルク”は山盛りの氷にいちごシロップと練乳をまぜたものをかけていただきます。氷はふわふわでさっぱりした甘さです。

阿佐美冷蔵を過ぎるとすぐに、大きな鳥居があり国道140号にぶつかります。国道を渡って真っすぐ進めばゴールの秩父鉄道「長瀞駅」です。

長瀞駅は明治44年(1911)宝登山駅として開業、その後大正12年(1923)に長瀞駅に改称しています。赤いトタン屋根が印象的な駅舎は開業当時のままで残された歴史を物語る木造建築の駅として関東の駅百選の第一回選定駅になっています。

長瀞駅では、大ヒットアニメーション映画『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(通称:あの花)』、『心が叫びたがってるんだ。(通称:ここさけ)』を手掛けた長井龍雪監督の秩父3部作『空の青さを知る人よ(通称:空青)』のラピング車両を見ることができました。

体力や時間があれば、長瀞駅から線路を越え荒川の畔の長瀞岩畳に向かいましょう。秩父は日本における地質学発祥の地といわれ、日本の地質百選に選ばれたジオスポット、隆起した結晶片岩がまさに岩畳状に広がっています。川幅は狭く、水は濃いブルーで美しい荒川の急流を下る長瀞ライン下りにも挑戦できます。

秩父三社「三峯」「秩父」「宝登山」をめぐるパワーチャージの旅」はこちらhttps://wakuwakutrip.com/archives/286

 

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