新潟を走る「越乃Shu*Kura」はお酒を楽しむリゾート列車!

※この記事で紹介する内容にはPR・広告が含まれています。

「青春18きっぷ」を使っての観光列車を楽しむ鉄旅。今回は2014年5月に登場した地酒王国・新潟が誇る“酒”をコンセプトとした3両編成の観光列車「越乃Shu*Kura」です。越後の酒蔵と豊かな自然をイメージし、(越乃=越後、Shu=酒、Kura=蔵、*=米・雪・花)と命名されました。厳選した新潟県内の地酒の利き酒に地元食材にこだわったおつまみ、車内での蔵元の話を聞きながら試飲が楽しめる蔵元イベントや以外にマッチしているジャズなどの生演奏と、楽しみ満載の新潟が満喫できる列車です。日本海の車窓を肴に、沿線の名物や地酒を味わいながらの鉄道旅と食の気軽な一日贅沢旅を愉しみます。

上越妙高⇔十日町間を走る『越乃Shu*Kura』、上越妙高⇔越後湯沢間を走る『ゆざわShu*Kura』、上越妙高⇔新潟間を走る『柳都Shu*Kura』と上越妙高を起点の3種類のShu*Kuraが走っていますが運行日が決まっています。運行日:3月~11月末の金・土・休日運行で1日1往復で、乗車日によって運行車両が違うので注意が必要です。乗車予定の9/1・2日は越乃Shu*Kuraでした。

国鉄時代のディーゼル機関車キハ40・48形気動車をリニューアルした3両編成の観光列車で、車両には伝統色の「藍下黒」という青味を帯びた黒に白を組み合わせた塗色が施され、凛とした新潟の風土をイメージした列車のシンボルカラーになっています。国鉄時代のディーゼル機関車を改造したとは思えない車両の窓が大きい斬新な列車です。しかしながらキハ40形・48形気動車特有の走行音や揺れは健在ですし、車両の両端に運転台をもつため、2号車と3号車の連結部分に運転台があります。旧型車両ならではの設えを探すのも楽しい。

JR東日本の旅行ツアー専用車両の1号車、地酒や肴を販売するカウンターとイベントスペースがある2号車、そして、普通車の指定席料金で乗車できる36席のリクライニングシートが備わる3号車からなります。を改造したとは思えない車両の窓が大きい斬新な列車です。3両編成となっていて、JR東日本の旅行ツアー専用車両の1号車、地酒や肴を販売するカウンターとイベントスペースがある2号車、そして、普通車の指定席料金で乗車できる36席のリクライニングシートが備わる3号車からなります。

びゅう旅行商品専用車両の1号車の車内は「らくらくボックスシート」といわれるテーブルを囲んでお酒や食事が満喫できるようになっている4人掛けの座席が通路を挟んで両側に設置されています。

1号車のシートアレンジは他にも海側の景色を正面の大型窓から楽しめるウッディな「展望ペアシート

そして山側の「くつろぎペアシート」は海側の景色が見れるように一段高くして山側の窓にもたれるように横並びに配置されています。

 

イベントスペースの2号車は、酒樽をモチーフにしたスタンディングテービルが4基設置されていてお洒落です。また窓際にはカウンターテーブルが設置されていて、車窓から見る日本海を肴に地酒を楽しむことができます。反対側にはバーベンチが設置され、生演奏やイベントなどが実施されます。

奥にはサービスカウンター「蔵守~Kuramori~」があり、新潟の地酒や沿線名物のおつまみ、オリジナルグッズの購入が可能です。

「蔵守~Kuramori~」には、厳選された新潟県りの地酒の“利き酒コーナー”があり、常時5種類の銘柄を楽しむことができます。利き酒の銘柄は定期的に変更され、メニューは座席の前のポケットに配られていますのでお好みの地酒を選んで1種類から注文できます。1銘柄100円~300円ですが、プラスチックですが足つきのカップなのが利き酒の気分を盛り上げてくれます。地酒飲み比べ用のトレイには、それぞれの地酒の特徴が解説されています。

大吟醸越乃Shu*Kura限定は、新潟県妙高市の君の井酒造が、杜氏自ら育てた新潟が誇る酒造好適米「越淡麗」の魅力を最大限に引き出した大吟醸酒500円です。市販されていないので1合瓶1本1000円の購入をおすすめします。爽快な飲み口と旨味が楽しめ、度数が高めなので、氷をひとつ加えるといいとのこと。

呑み比べセット(おつまみ付き)2000円というのもありますよ。枡に入ったお猪口になみなみと注がれた地酒3種(内1杯は古酒)に、新潟の郷土料理・鮭の焼き漬けがおつまみとしてついています。

お食事メニューとしては、直江津名物駅弁「鱈めし」等がありますが、おすすめは柏崎名物「鯛茶漬け」500円です。ごはんに焼きほぐした鯛の身をのせ温かい出汁をかけていただきます。うまさぎっしりのご当地どんぶりです。飲んだ後には締めの茶漬けが最高ですね。

イベントスペースである2号車では、青海川~柏崎と越後川口~十日町間の2回、それぞれ約30分と約20分の生演奏があります。新潟のミュージシャンによるジャズを中心とした生演奏を聴きながら新潟の銘酒を味わうことができます。ほとんどの乗客がこの車両に集まってきていて、ちょっとした走る列車での立食パーティーのようです。音楽と日本酒、そして車窓に酔いしれる時間です。

また往路では柏崎~宮内間で、復路では長岡~越後川口間でそれぞれ約20分、イベントスペース2号車で“蔵元イベント”が行われます。新潟県の蔵元の方々による、酒にまつわる話を聞きながら地酒の試飲が楽しめます。蔵元によっては試飲だけでなくクイズもあり、当たれば蔵元から素敵なプレゼントがもらえたりしますよ。お気に入りのお酒を見つけたら、サービスカウンター「蔵守~Kuramori~」で買うこともできます。

鉄旅の始まりです。長野駅7:46発しなの鉄道北しなの線(830円)妙高高原8:45発えちごトキメキ鉄道妙高はねうまライン直江津行(500円)で上越妙高9:19到着です。ここまでまったく青春18きっぷが使えません。出発まで時間があることから新潟の駅弁を買うために上越妙高駅の改札を出ます。北陸新幹線開通で上越妙高駅も綺麗になり、お目当ての直江津名物駅弁「鱈めし」を購入しておきます。

いよいよ10:02発十日町行き快速電車「越乃Shu*Kura」への乗車です。

座れるのは乗車券があれば指定席券だけで乗れる3号車(7-C席)です。3号車の座席は9列で通路を挟んでA・B席とC・D席の合計36席です。リクライニングシートにはゆとりがあり、リクライニングを一番奥まで倒しても後部座席の人が窮屈にならないよう前後の間隔も広く設計されています。列車の旅でゆったり座れるのはうれしいポイントです。ベストは海側のC席です。

先頭部分にはフリースペースとして自由にくつろげる8人用のソファー席もあり、グループ利用には便利です。

席に荷物を置いたら皆さん2号車に集合です。これからの約2時間半、このイベントスペースの2号車で過ごされる強者ばかりです。まずは呑み比べセット(おつまみ付き)2000円を景気付けに注文します。おつまみとして新潟の郷土料理・鮭の焼き漬けがついています。生鮭を白焼にした後、すぐにダシ醤油に漬け込んだもので、身は厚く、脂がのって食べ応えも満天です。冷えても固くならないのがいいです。

鮭の焼き漬けを肴にいただくこの日の地酒3種は、柏崎・石塚酒造の精撰「姫の井」、小千谷・新潟銘醸の雪蔵九年貯蔵「越の寒中梅」純米大吟醸原酒、上越・代々菊醸造の「吟田川(ちびたがわ)」純米吟醸でした。新潟の郷土料理に郷土の酒、合うにきまっています。こちらのセットは定期的に変更されます。

「越乃Shu*Kura」の停車駅のホーム上には、オリジナルの酒樽をイメージした駅名標が設置されています。駅名標には、水(波)、大地(稲穂)、ジャズの3つのテーマがあしらわれているほか、各駅ごとの観光名所や特産品など3点が駅名のすぐ上にある菱型のマスの中に描かれています。記念撮影にもってこいなので停車時間の合間に探してみるのも楽しみです。

上越妙高を出発した列車はえちごトキメキ鉄道はねうまラインを走り、高田、直江津と停車して行きます。この間別途170円払います。直江津から先、柏崎手前の鯨波駅まで日本海の海岸を肴に酒と音楽が楽しめるのです。

直江津駅を出て日本海にそそぐ関川を渡ります、鉄道橋と並行して日本百名橋「直江津橋」が架けられています。森鴎外の「山椒大夫」で知られる安寿と厨子王の物語の舞台の一つが関川の河口付近に位置する直江津となっていて。デザイン高欄には物語のレリーフがはめ込まれています。

次の停車駅「潟町」は、「鵜の浜温泉」の最寄駅です。小川未明の「赤いろうそくと人魚」のモデルとも言われる佐渡の娘と雁子浜の若者の悲恋物語が残り、駅も人魚をモチーフにした駅舎です。

カッパがいたと伝わる付近の「鵜の池」にちなみ命名された温泉は、1950年代後半、天然ガス掘削中に湧き出た温泉で湯ざめしにくく「熱の湯」とも呼ばれます。泉質はナトリウム塩化物泉、弱アルカリ性でお肌がすべすべになります。

温泉の目の前には砂浜が広がり夕日の美しさで有名です。

潟町を過ぎ米山福浦八景と呼ばれる美しいリアス式海岸の途中にある、この沿線景気のハイライト「青海川」に到着します。

車窓に日本海が広がると歓声が上がりますが、とりわけホーム下がすぐ渚になっている停車駅の「青海川」は、日本海の波打ち際に建てられた小さな無人駅です。ここが『日本で一番海に近い駅』だと知らなければ通り過ぎてしまいそうですが、「越乃Shu*Kura」では15分程度停車してくれます。駅の開業は1899年、駅の裏は崖になっていて2007年の新潟県中越沖地震では土砂崩れが起きて駅舎やホームが被災しました。今の曲線を帯びた白い駅舎は、翌2008年に完成しました。青海川駅が有名になったきっかけは、教師と生徒の禁断の恋をテーマに描いた1993年に放送された人気TBSドラマ「高校教師」(真田広之主演)の最終回のロケ地となったことです。最終回の視聴率は30%を超え、その後しばらく青梅川駅はファンでごった返したといいます。

プラットホームに立つと潮の匂いがして、目の前に広がるのは一面の海で、まるで駅のホームが海に浮かんでいるかのようです。実際、駅の柵から下をのぞくと、すぐ足元まで波がうち寄せていました。天気がよければ、180度広がる水平線のはるか向こうに佐渡島が見えます。

駅のすぐ東側には見上げる高さの米山大橋がかかり、歩いて20分ほど先には恋愛成就のスポットで有名な「恋人岬」があります。

紺碧の海が間近に迫る日中はもちろん、復路では運が良ければ、太陽が水平線に沈み真っ赤に染める夕暮れもまた絶景です。酔い覚ましに外に出て日本海の潮風を感じましょう。「越乃Shu*Kura」随一の記念撮影スポットです。

青海川駅をでたあたりから1回目の生演奏が約30分始まります。車両の揺れなのか酔いの揺れなのか、ジャズ演奏に合わせて体をスイングしながら楽しみます。続いてこの日は「松乃井酒造場」の“蔵元イベント”が開催され、社長さんの面白いトークといっしょに試飲ができ、トークに引き込まれて杯がすすんで困ります。

長岡駅ではそれまでの信越線から上越線に入るためスイッチバックを行い進行方向が変わるので、座席も回転させます。

いよいよ乗車時間もあと1時間程度となり、日本酒三昧のラストスパートです。メニューは座席の前のポケットに配られているメニュー表から、大吟醸越乃Shu*Kura限定は500円をいただきます。

越後川口からは単線非電化の飯山線で速度もぐっと遅くなり、晩夏の空の下に点在する沿線の棚田も一段と美しい。

2回目の生演奏も始まり、今度は20分程度で周知の歌謡曲もあり、思わず口ずさんでフィナーレを迎えます。

東川口付近信濃川と合流するのが「魚野川」です。「魚沼を流れる川」が訛って魚野川になったという説もあります。

12:32終点「十日町駅」に到着です。

十日町では名物の「へぎそば」を食べるため、駅からゆるやかな坂を登っていきます。目指すは地元の方が行く名店「田麦そば」です。同じへぎそばの店「本家 小嶋屋」と違いお客は地元の方が多いお店です。

へぎに入ったへぎそばは2人前からなので普通のざるそばを注文しました。こちらではそばの薬味といえばわさびですが、わさびのとれないこの地域では昔から和ガラシが薬味とする食文化がありました。そばにカラシとは以外な組み合わせですが、海藻つなぎのそばにはぴったり合い、これが出し汁に溶けて蕎麦湯が美味しくなっていることにびっくりです。しかも値段が750円と安い、地元に愛されるわけです。

JRののってたのしい列車はほかにも新潟から出発する「海里」や新津から出る「SLばんえつ物語」長野駅出発の「おいこっと」など座席指定券さえ買えば18きっぷで乗車できる観光列車はあります。いろいろ乗ってみたいものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おすすめの記事