恋愛のパワースポットを渡り、信州戸倉上山田の美肌の湯に浸かる

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善光寺詣りの精進落しの湯として、また県都長野の奥座敷として親しまれてきた戸倉上山田温泉。昭和の頃には長野の香港とも言われたほど県内屈指の温泉歓楽街として栄えた名残を残し、レトロな空気が漂っています。時代は移り、喧騒は去りましたが、多くの人の愛された湯のよさは今も全く変わりません。開湯から100年超の信州では比較的新しい温泉地ですが、優良豊富で、肌あたりのよい美肌の湯が、旅館にも銭湯にもこんこんと溢れ出しています。古き良き温泉街の魅力を残す湯のまち戸倉上山田温泉をぶらり歩きながら堪能します。

しなの鉄道戸倉駅でおりて雄大に流れる千曲川を渡れば戸倉上山田温泉です。左岸に突出した八王子山(現在の佐良志奈神社鎮座地)が千曲川まで至っており千曲川左岸の交通が遮断されていたため、古くは北国街道戸倉宿と千曲川左岸を結ぶため若宮の渡し(渡船)がありました。その後戸倉駅の開業にあわせて大正3年(1914)に架設された千曲川に架かる橋が大正橋です。現在の橋は景観に配慮し大正ロマンをテーマにした設計で平成14年(2002)完成しました。欄干には中山晋平作曲の千曲小唄の歌詞とともに、昭和4年(1929)に竹久夢二が温泉に滞在した際の美人画がレリーフとしてはめ込まれています。

またこの地には「恋しの湯伝説」があります。その昔、お政という女性が赤い石を100個集めたら、江戸に出たまま行方知れずにいた夫が無事に戻るという夢枕の観音様のお告げに従って毎日石を探します。やがて99個の赤い石を得るも最後の一つが見つからないそんなある身も凍る冬の日、こんこんと湯が湧き出る不思議な場所から輝くような100個目の赤い小石を見つけました。そうそうに観音様に奉納するとほどなく夫が無事に戻ってきたといいます。この話を聞いた村人たちは、この湯を「小石(恋し)の湯」と名付けました。これは戸倉上山田温泉の昔の湯とのことです。素敵な恋の物語にあやかって、橋の両側の歩道に全部で99個の赤い石が埋め込まれています。温泉街の片隅にある100個目の石を見つけたら、貴方の想いも成就するかもしれません。

漁夫によって偶然発見された河原のぬるま湯は、明治元年に温泉発見祭を行ってもなお相次ぐ洪水被害によって本格的な利用はされないままでした。明治24年(1891)に掘削に成功し翌年に戸倉温泉が、少し遅れて明治30年(1897)に上山田温泉が開湯式をあげ、やっと天然資源としての温泉を存分に活用できるようになったといいます。現在では、50余りの源泉からは毎分8000ℓを超えるお湯が湧出し湯量は豊富、その泉質は無色透明の硫黄泉がほとんど。様々な効能があることに加え、肌の角質を柔らかくする成分も含まれていることから「美肌の湯」の誉れ高く、名湯百選に選出されています。笹屋ホテルには竹久夢二が滞在し多くの作品を残した他、「千曲小唄」を作詞しました。また志賀直哉も笹屋ホテル滞在中に短編小説『豊年蟲』を執筆し戸倉温泉での穏やかな日常と千曲川の幻想的な情景を描いています。

しなの鉄道戸倉駅からバスに乗れば、降りたバス停前にあるのが木造りの「カラコロの足湯」です。水と緑と潤いのある公園内の無料で楽しめる源泉かけ流しの足湯。早速、足を浸してひと休みしてから今回の宿「ホテル亀屋本店」に向かいます。

戸倉上山田温泉の開湯とともに創業され、当温泉地最古の老舗宿がホテル亀屋本店です。現在はセルフ&スマートホテル亀屋本店となり、極力人手を省いた営業スタイルになっています。しかしながらその温泉力は創業時から何も変わっていません。温泉三昧な時間を楽しむことができます。

客室はスタンダードな10畳和室。

部屋で寛いだ後、お楽しみの温泉へ。湯船は総御影造りと総檜造りの大浴場が2つ、併設の檜と岩の2つの露天風呂も四季折々にさまざまな風情を感じさせてくれます。さらに自慢の4つの貸切露天風呂を備えています。日量400トン超えの湯量を誇り、天然温泉100%源泉かけ流しのお湯がどの湯船にも溢れています。泉質は硫黄泉で美肌や疲労回復、肩こりなど効能も豊かです。総檜大浴場「乙女の湯」は檜の木の香りやぬくもりも嬉しい。午後(14:00~24:00)は女性用、午前(0:30~10:00)は男性用です。

隣接して「庭園風露天檜風呂」があります。

総御影石大浴場「龍宮の湯」は、午後(14:00~24:00)は男性用、午前(0:30~10:00)は女性用です。

隣接してある「庭園風露天岩風呂」には、東屋があるので雨降りでもゆっくり入浴ができる。庭園の緑と岩肌の美しさが楽しめます。

貸切風呂は4種類で、2階にある陶器風呂と御影石風呂は大きな全面ガラス戸のついた全天候型の半露天の貸切風呂、6階のたる風呂とひのき風呂は最上階にあり、湯船に浸かりながら千曲川を眼下に望める絶景の眺望を誇る貸切露天風呂です。※1室45分間利用で使用料2000円。今回は2階の御影石風呂を利用。御影石で作られた浴槽寸法約170×121×51の湯船はゆったりとした大きさで段差の少ないフラットな構造。夜にかけて7色にライトアップされるお風呂で贅沢三昧に過ごせ、湯上り処もある。

夕食は豊かな信濃の自然に育まれた選りすぐりの素材にこだわった品々がテーブルの上に所狭しと並ぶ信州会席膳。人手を省いているので配置済の卓上コンロの料理3品は自分で火を点け、ご飯と汁物も自身でよそうセルフ方式。自分のペースで料理がいただけるのでありまも。睦月の信州会席膳は、信州銘醸の梅酒で乾杯し、信州サーモン等の刺身、信州福美鶏の陶板焼きや信州アルプス牛と信州ポークの二色しゃぶしゃぶ、きのこ鍋と信州食材です。

朝食もコンロが3台。目玉焼き、湯豆腐等に焼鮭、サラダに香の物、果物とオーソドックスなメニューです。

お隣の坂城町の特産品に、「信州の伝統野菜」に認定されたねずみ大根という辛味大根があります。下膨れした形と尻尾がネズミに似ているのが特徴で、青首大根に比べ小さくて水分も少なく、強烈な辛味の後にまろやかな甘味が残る「あまもっくら」とした風味を持ちます。特にこの辛み大根をおろし、それを布巾で包んで絞った汁に味噌を溶かしてつけ汁としてうどんを食べるこの地方独特の郷土料理「おしぼりうどん」が有名です。

坂城町はもちろん戸倉上山田温泉街にも数軒あり、うどんやみそにひと工夫し、特色を競っています。大鍋でゆであげた熱々のやや太めの手打ちうどんをまずはそのまま味噌を入れずの食べてみましょう。一口食べると初めは大根の甘さが口に広がるが、そう思った途端にものすごい刺激の辛さが喉をヒーヒーと駆け抜けていきます。あとは味噌を加えて辛さを調節しながらいただきます。ほんのりとしたかすかな大根の甘みと裏腹に、口の中にピリっとくる辛味がクセになります。あまりに素朴だけれども一度食べたら病みつきになるさわやかな味です。ふーふー、ヒーヒーしながら釜揚げで食べるのが美味しい。

月を愛でるために姨捨を訪れた松尾芭蕉は、『更科紀行』のなかでこう詠んでいます。身にしみて大根からし秋の風

 

 

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