山梨勝沼ぶどう郷!ぶどう畑を縫って個性派ワイナリーを巡る

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近年、欧米でも注目される日本ワイン、国内有数の産地、山梨県甲州市勝沼は、ゆるやかな斜面に広がるぶどう畑と遠くに望む富士山の景観も美しい、魅力的な土地。明治時代に日本初の国産ワイン会社が生まれた町、勝沼には新旧約30のワイナリーが集まり、飲み歩きだけでなく、ブドウ畑をはじめとする自然や歴史文化、ワイン造りに取り組む人との触れあいを楽しむ「ワインツーリズム」という旅のスタイルが広がっています。勝沼のぶどう畑を縫って個性派ワイナリーを巡って、是非お気に入りのワイナリー、お気に入りの甲州ワインを探してみてはいかがですか。第2弾

第1弾「シルクロードがもたらした千年の味わい!甲州勝沼ワイナリー巡り」はこちらhttps://wakuwakutrip.com/archives/14213

甲州種がどのような経緯で日本に渡来したのかは、昔から行基説や雨宮勘解由説の二つの説があります。いずれの説にしても、シルクロードを渡り、遣隋使か遣唐使の時代に大陸から種子の形で日本に持ち込まれたであろうブドウが、日本の気候の中で生き残った場所が山梨であり、そのブドウが甲州であるという事実です。まさに千年以上の歴史を誇る日本固有のブドウ品種なのです。

勝沼では甲州葡萄で様々な風味のワインが造られていて年々醸造技術のレベルアップが図られ、最近では世界のワインシーンにおいてKOSHU(甲州)の名が欧米のブドウ品種と同じ土俵に頭角を現すようになってきました。ユネスコ無形文化遺産として和食が登録されたことからも、今寿司や天ぷらなどの和食に合うお酒として世界的な注目を集めはじめています。

ワイナリーめぐり2日目、一番最初に訪れたのが、アパレルメーカーの「JUNグループ」により1979年に創業した、白壁とオレンジ屋根のプティワイナリー「シャトージュン」です。葡萄栽培家と醸造家が非常に距離が近いワイナリーでより良いワイン造りに日々励んでおられることが醸造責任者の仁林さんから伝わります。過去に日本ワインの代表としてJAL国際線(ビジネスクラス)にシャトージュン甲州採用された経験と自信が今もワインの中に生きています。

山梨県立美術館所蔵のミレーの絵画をラベルと商品名に冠したミレーシリーズ「無原罪の聖母」(白・甲州)や日本固有の葡萄名を名乗るジャパンセレクトシリーズ「巨峰&ピオーネ ロゼ」、「デラウエア 白」の3種を試飲させていだく。ロゼは仄かな色合いの日本的な淡いピンク色ですが、味は結構ドライ。デラウエアの白は後味にデラの甘味が残り、酸味と甘味のバランスが良い。やはり主品種は甲州で、上品な香りと甘味と酸味のバランスがよく、繊細です。おすすめはやはり主品種の甲州で造る「シャトージュン 甲州」です。上品な柑橘系香りで味わいもシンプルながら甘味と酸味のバランスがよく、しなやかです。過去に日本ワインの代表としてJAL国際線(ビジネスクラス)にシャトージュン甲州が採用された経験と自信が今もワインの中に生きています。

ワイン直売所の一画には、アパレルメーカーJUNのシャトージュンオリジナル商品も展示されています。

山梨県のワイナリーの中でも製造量ナンバー1の「マンズワイン勝沼ワイナリー」は、勝沼の北、一番遠い所にあります。「ワインコース1第1便」赤坂バス停9:50発に乗って出発です。そうすれば一番近い「山区」バス停までいけるので5分程度歩くと赤地に黄金色の太陽の中に葡萄が描かれたシンボルマークが目に飛び込んできます。

御存じキッコーマンが手掛ける「マンズワイン」の広々とした試飲ブースには「ルナリス」シリーズをはじめ無料で飲めるワインが並んでいますがやはりマンズワインと言えば国産プレミアムワイン「ソラリス」シリーズです。SOLARISはラテン語で「太陽」という意味。マンズワインのシンボルマークにもあるように葡萄は太陽の恵み、燦々と降り注ぐ陽光を浴びて育つ質の高い葡萄だけをワインに使うというマンズワインの品質主義の象徴です。

有料試飲であるソラリスシリーズは500円で白赤から4種類選んで試飲ができ、気に入った物があれば購入の際500円が戻ってくるシステムである。早速ソラリステイスティングカードにある銘柄から4つに○印をつけて係に渡す。選んだのは白が「信州シャルドネ樽仕込」「信州小諸シャルドネ樽仕込」赤が「信州小諸メルロー」「信州東山カベルネ・ソーヴィニオン」の4種類。適度な樽香とバランスの良い飲みごたえのある辛口白ワインであり、赤は程よいタンニンと樽香があいまったメルローに軍配が上がり、おすすめは、白が「信州小諸シャルドネ樽仕込」、赤が「信州小諸メルロー」です。とにかく美味しいので是非試飲をしてみてください。

2016年5月に開催されたG7伊勢志摩サミットで昨日訪れた勝沼醸造の「アルガブランカ・ブリリャンテ」とともに提供されたスパークリングがマンズワイン「甲州酵母の泡・キューブ・クローズ」です。キューブ・クローズとはタンク内二次発酵のことで、シャルマ式とも呼ばれます。ブドウのアロマが残りやすいと言われ、仄かな甘みと優しい味わいが洋食の食前酒としてあるいはオードブルに合わせても飲めますし、あらゆる和食にあいます。特に焼き魚に合うので貴重です。『神の雫』40巻で“朝のスパークリング。柔らかい朝の光に包まれた朝霧の向こうに野バラを積みにきた少女がヴェールに包まれたようなシルエットで弾むように歩いていく姿が思い浮かぶ”と表現しています。

大手資本サッポロビールが世界に誇る日本のプレミアムワインを造ろう、日本ワインの星になろうと昭和51年(1976)勝沼の地に設立したのが「サッポロワイン グランポレール 勝沼ワイナリー」です。ここも勝沼の西の端にありワイナリー銀座から離れているのでバスが必需です。最寄の「綿塚」バス停行の便は極端に少なく、「ワインコース2第2便」山区バス停10:51発に乗り、綿塚バス停で降りると赤い屋根が目に飛び込んできます。

山梨、北海道、長野、岡山という自然に恵まれた4つの産地の葡萄の個性を生かしながら造ったワインが楽しめるのがグランポレールの特色です。プレミアムシリーズのラベルに描かれているイラスト画はあのごんぎつねの絵本作家・黒井 健氏による5つの産地の風景が描かれています。(長野とは別に安曇野池田が加わる)

白を基調としたホテルの受付およびロビーを思わせるようなソファーが置かれ、ワイン雑誌を読みながら寛げる居心地のよい空間です。500円で常時10種類のワインの中から3種類を選んで試飲ができます。プレミアムシリーズから「長野古里ぶどう園シャルドネ2012」「山梨勝沼 甲州特別仕込み2014」「北海道余市ピノ・ノワール」を選ぶ。長野古里ぶどう園シャルドネは1975年開園の長野市北東部の自社畑「古里ぶどう園」産ぶどう100%のシャルドネを小樽で熟成させた後、最良のワインだけを選びブレンドしたワイン。パイナップルのようなアロマが豊かで、辛口ワインながらあと口に果実味を感じる。山梨勝沼 甲州特別仕込みは甲州本来の優しい薫りと樽発酵の風味が加わったバランスの良いワインであるが、シュールリーではないので果実味は乏しい。北海道余市ピノ・ノワールは、日本の気候では難しいとされるピノであるが、輝きのあるルビーレッドと華やかなアロマそして柔らかなタンニンとなめらかさはある。

前回お邪魔した際に試飲した「長野古里ぶどう園メルロー2010」や「山梨勝沼 甲斐ノワール特別仕込み2013」のほうが果実味があり、なめらかなタンニンと相まって心地良いワインであったように思う。ということでおすすめは赤の「山梨勝沼 甲斐ノワール特別仕込み」です。甲斐ノワールは、1969年「ブラック・クイーン」に「カベルネ・ソーウ"ィニヨン」を交配、1990年登録品種となった日本の気候に適した本格的なワイン専用種です。小樽でゆっくり熟成し柔らかな香りとなめらかなタンニンが心地よく豚の角煮にあうとのこと。

「ワインコース1第3便」綿塚バス停12:26発に乗り、旧田中銀行前バス停で降ります。お昼は「原茂ワイン」のカフェ「Casa da Noma」に向かう。かつて“原”と呼ばれていた地で生食用のブドウを育てながらワインを造りはじめた、大正13年(1924)創業の小さなワイン醸造所が「原茂ワイン」です。もとは養蚕農家だったという旧家・古屋家歴代の当主の名前が「茂左ヱ門」で、「原の茂左ヱ門」から「原茂ワイン」と名付けられました。

通常のワイナリーとは少々異なり、葡萄棚の奥に明治時代に建てられた築130年の白壁黒瓦の古民家が佇み、土間を改装した一階には、ワインショップとテイスティングスペースを兼ねたウェイティングスペース。一階にふと香る白檀の香り、さらに奥には純和風の畳座敷と奥庭に茂る涼やかな竹林が見え、和のたたずまいをいっそう凛とした表情に引き締めていて、日本の伝統的な葡萄園の面影が色濃く残っています。

特徴的な高い屋根は、かつてこの地域で盛んだった養蚕業を営んでいた名残で、20年ほど前に2階の屋根裏の庫を梁を生かしたワインの飲めるカフェに改装し、2階のカフェへと続く階段は漆黒に光り、頭上には太い梁、建物が経てきた年月を感じさせます。「日経プラス1何でもランキング 地産地消 食事もできるワイナリー(2014年11月15日)」で第2位だったのが原茂ワインCasa da Nomaでした。カフェ名の「カーサ・ダ・ノーマ」は、ポルトガル語で家のカーサに家族の頭文字ノとマから名付けた名前です。三方の窓の向こうにはぶどう棚が広がり爽やかな葡萄棚の景色を眺めながらゆったりと昼食が楽しめます。

通された席はテラス席で、丘陵地の上から吹いてくる風が涼やかで、眼下一面に広がるブドウの葉の海とあいまって、日常の喧騒を忘れ去ってしまえる場所です。オススメのワインは「ハラモ・ヴィンテージ甲州シュール・リー」。色合いは濃く、味わいはふっくら、葡萄のエキスが濃い辛口です。テイステイングはしなかったが、山梨でしか採れない葡萄、アジロン・ダック種の「原茂アジロン」は「神の雫39巻」で「甘い香りに誘われて飲んでみると、意外とキリッとしていて軽い肘鉄をくらうハニートラップみたいなワイン」と評されていました。

ワインと一緒におすすめの「パンのきまぐれブランチ」(1750円)を注文する。自家製ソーセージにその日に地元農家から届いた食材が持つ味わいを生かした総菜10種類が並ぶ。本日は焼き舞茸、トマト風味の自家製ソーセージ、新玉葱に新じゃがのソテー、たたきごぼうのアラビアータ、レタスのシザードテッシングかけ、こごみの豆乳マヨネーズ、トマトのマリネ、クレソンのコンソメスープ、グリッシーニと3種のパンとプレートを飾る色とりどりの小品に仕上がっていた。


お腹も気分も心地よくなり、さてここからは、のんびり旧甲州街道を等々力地区まで歩いて、等々力の交差点近辺にある4つのワイナリーを巡ります。最初は「中央葡萄酒グレイスワイナリー」。壁から天井まで蔦が絡まる建物が歴史を感じさせる「グレイスワイナリー」の創業は大正12(1923)年、勝沼を代表する歴史あるワイナリーです。ワイナリー名は、ギリシャ神話の三美神“ザ・グレイスズ”に由来します。四代目当主三澤茂計氏により、国際コンクールでの度重なる受賞や世界の著名なワインジャーナリスト達の間での「グレイス甲州」への評価の高まりなど、国産ワイン新世紀への第一歩を確実に踏み出しています。JALのファーストクラスでサービスされるワインに選ばれたり、ワイン王国ヨーロッパへ輸出された第一号の国産ワインもグレイスワイナリーでした。

特に甲州種のフレッシュで繊細な味を最大限に引き出したワイン造りの可能性を追い求めるワーナリーとして知られていて、ぶどうの味を高めるために垣根式を採用。2004年には白ワイン醸造家の権威、ボルドー大学醸造学部教授「ドゥニ・ドゥブルデュー」氏をコンサルタントに迎え、世界の銘醸ワインと肩を並べ、産地個性が光る様な日本ワインを目指している。2004年、ロバート・パーカーJr氏が同ワイナリーを訪問。その際「甲州2004」をテイスティングし、「前途洋洋、国際的なワイン市場で日本発の最初のドライな白ワインになりうる」と絶賛し、ポイント87~88という高い評価を受けています。またロンドンで開催された世界最大級のワインコンクール「Decanter World Wine Awards 2014」において日本初の金賞を受賞しています。

小さな扉から階段を登って2階へ上がると、ショップ兼テイスティングルームになっていて、中は広く、ゆったりくつろぎながら試飲ができます。グレイス甲州の産地別シリーズは「鳥居平畑」「菱山畑」「茅ヶ岳」「明野」とありますが、産地の個性を引き出すため、葡萄本来の力を生かし、果実味を重視したシュール・リー製法を基本に、自然の味わいを大切にした凛として澄んだ繊細なワインを基本コンセプトに醸しています。オススメは「グレイス甲州 鳥居平畑」です。勝沼町の俗に山路と呼ばれる斜面の区画「鳥居平」の甲州を用いたワインで、テロワールを表現するため、シュール・リーは控えめで、メリハリの効いたドライスタイルのワインです。ちょっと気になるワインが「周五郎のヴァン」です。作家の山本周五郎が生前、ここの甘口ワインを気に入り、随筆「暗がりの弁当」に取り上げられたマディラタイプの甘口ワインで、芳香な香りとコクのある甘さ、深い味わいが特徴のこれぞブドー酒というお酒です。

向かいにある「麻屋葡萄酒」を訪れる。大正10年(1921)創業の老舗ワイナリーで「麻屋」という屋号の由来は、創業者である雨宮高造が、当時の丁稚奉公先である酒屋の屋号を暖簾分けして頂いたことにある。明治10年(1877)にワイン醸造のためにフランスに留学した土屋龍憲に直接指導を受けてできた老舗ワイナリーで、車道からは工場のような建物の壁面に大文字で書かれた「あさや葡萄酒」が目印です。ワイナリーに到着したら案内看板に沿って事務所を訪ねます。その先の細い路地から木製ドアを入った2階がショップ、ティスティングルームです。

ダウンライトに照らされた木質感あふれる2階は昔のコンクリート製タンクの上に建てられており、ホールと見間違うほどに広く、アーチ窓に映る外のブドウ畑の緑が鮮やかである。室内にはスタンド式のテーブルの他、ソファも置かれ、思い思いにくつろぎながらテイスティングができるようになっている。「花鳥風月」シリーズや「麻屋シリーズ」そして「麻屋ももいろスパークリングワイン」の試飲ができ、どれも飲みやすいワインと感じる。白は大半を甲州種が占め、辛口ワインのスタンダードといえば「勝沼甲州シュールリー」が筆頭です。

続いて「ロリアン白百合醸造」は、昭和13(1938)年に創業し、現在は3代目となる内田多加夫氏を代表とするファミリーワイナリーです。ロリアン(L’ORIENT)は「東洋」を意味するフランス語で、ヨーロッパに劣らぬ高水準のワイン造りを目指し名付けられたとのこと。平成24年にリニューアルし、白を基調としたお洒落な建物で醸造行程、グラッパ蒸留、ガラス工房等がバリアフリーで見学でき、オリジナルのラベル作りや生ワインのボトル詰めといったちょっと変わった体験もできます。

ワイナリーに入ると、正面には試飲用のカウンターテーブルがあり、また奥の樽にのった試飲用ワインは常時8種類、自分で好きなだけ注げるという方式です。オススメの看板商品「ロリアン勝沼甲州」というワインは、味わいが丸く優しいニュータイプで、人気漫画「神の雫」40巻に登場し、「童話の中の人懐こい白兎を抱きあげるようななんとも優しく温かみもあるワイン」と表現されています。

オーストリア・ハプスブルグ家で使用された130年前の手作り煉瓦で再現されたドーム型セラーは必見です。ワイン1300本が貯蔵されているとのことです。

斜め向かいの細い道を入ったところにあるのが「大和葡萄酒」です。萩原家は庄屋とともに油屋を営んでおり、当主は代々右八と命名していました。明治の当主(保太郎)が、農地を利用して葡萄作りを始めたのが大和葡萄酒のルーツで、大正2年(1913)創業の老舗であり年間生産本数50万本を誇ります。赤ワインの“十二原メルロー”は長野県の松本市四賀の大地で育ったブドウで春に四賀ワイナリーで仕込まれるワイン。また右八シラーは、代々の当主が名乗った名を銘にしています。

日本古来の品種へのこだわりもかなりのもので、「甲龍」は日本のワイン産地勝沼町で独自に根付いた甲州葡萄で、その歴史は古く約1280年前に勝沼で栽培が始まったとされています。その樹齢約130年の甲州の古木「甲龍」より枝分けした甲州種の厳選された葡萄の実だけを使用した辛口白ワインを、より深い味わいを出すため樽でじっくり熟成させたワインが「古代甲州」です。「神の雫31巻」で「古里を描いた素朴な水墨画のようで、伝統と信念が息づいたワイン」と表現しています。

また他の古来品種についても研究し、最近では大阪紫葡萄という日本古来品種として大阪に古くから根付いており、歴史上では1592年頃、太閤秀吉の時代に大陸より持ち込まれたとされているブドウを使ったワインも販売されている。カウンター越しに試飲できるショップを併設し、カフェのような雰囲気です。

ぶどうコース2第6便等々力公民館前16:44発で勝山ぶどう郷駅に戻ります。

今回紹介したワイナリーの近くにも大小さまざまなワイナリーが点在し、甲州というブドウに想いを込めて、理想のワイン造りを目指しています。是非多くのワイナリーを巡ってみてください。日本ワインブームと言われる今、甲州ワインは、外せません。

 

 

 

 

 

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