風鈴の音に涼を求めて小江戸“川越”の蔵造りの街並み散策!

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川越市のルーとなる川越藩は、徳川家康の関東封入以降、有力な大名が治めてきた北の要所。現在の町の基盤が築かれたのは、3代将軍家光の時代、松平信綱の頃。町割りが行われ、武家地、町人地、寺社地に分かれた城下町が整備されました。また舟運が本格的に開かれ、商業都市としても発展したことから、江戸の粋や文化が新河岸川の舟運によって運ばれ繁栄した「川越」は、往時の面影を残すことから「小江戸」と称されています。都心から50キロ圏内の唯一の国の重要伝統的建物群保存地区に選定された蔵造りの街並みだけでなく、歴史ある古社も点在しています。食べ物も芋菓子に豆腐にうなぎとおなじみのものばかりです。江戸の風情を今に残す趣のある街でフォトジェニックな旅を満喫します。

ちなみに駐車場はGW期間や夏休み期間中は特別に一日駐車の上限は撤廃され時間400円は当たり前600円800円というところまであり、駐車料金がかさみます。ちょっと中心街から離れていますが氷川神社の近く三井リパークがいちばん安く一日800円なので穴場です。観光を考えると市役所駐車場が一時間200円ですので5時間程度ならOKです。

朝一番モーニングを食べに市役所駐車場に車を停め、札の辻まで歩いて、菓子屋横丁にある「川越ベーカリー楽楽」に向かいます。蔵造りを模したレトロモダンな店舗に、和のテイストを取り入れた近隣の名産物を使ったパンが並びます。

菓子屋横丁」の始まりは明治初期、江戸っ子の好みのお菓子を製造したのがきっかけで、石畳や茶色の電柱など景観に配慮された全長80mの風情ある石畳の通りには、香ばしいおせんべいや可愛らしい飴菓子、ハッカ飴などのお店が20軒、軒先に並びます。素朴で香り漂う菓子屋横丁は「かおり風景100選」にも選定されています。川越を舞台にした「神さまはじめました」ではあやかしの世界のモデルになっています。写真右の「玉力製菓」は創業大正3年(1914)の100年を超える老舗飴屋です。玉物や組物、棒つきといった手作りアメが購入できます。手作りにこだわった伝統技法は必見です。

朝7:30から始まる向かいの姉妹店「サンドイッチパーラー楽楽」でモーニングをいただくことにします。木と土壁っぽいぬくもりのある外観は昔からある駄菓子屋横丁になじんでいます。

飲み物は別料金なのが残念ですが、お好みのサンドイッチに+200円でお豆のマリネと自家製のプリンが付いてきます。一番人気はジューシーローストビーフで合鴨のバルサミコスはまだできていなかったのでサーモンマリネを注文しました。

店舗を出て右手の階段をあがると2Fにイートインスペースがあります。窓際の2人掛け3卓と壁側に4人掛け3卓の20名弱の席数にセルフサービスのお水と手洗い場も設置されています。3FはワンちゃんもOKの屋上テラス席になっています。ジューシーで柔らかいローストビーフに卵サラダ、たっぷりの野菜と具たくさんをライ麦パンでサンドしています。

お腹も落ち着きまずは縁結びの神様「川越氷川神社」へ参拝です。このエリアのパワースポットをお参りして御利益にあやかろうと街並み散歩の前に朝一番でお参りすることにしました。2014年から始まった祭事「縁結び風鈴」は川越の夏の風物詩ともいえ、7月7日から9月9日までの期間中2000個以上の風鈴が用意され、旅の気分を盛り上げてくれます。

境内の入口に大きくそびえ立つ大鳥居は木造の鳥居としては日本一といわれ、高さは15mもあります。扁額の文字は勝海舟の筆によるものです。

川越氷川神社」は1500年前の創建と伝わる古社で、お祀りしている五柱の神様をもって縁結びの神様として信仰されています。五柱の神々とは主祭神が素盞鳴尊でその妃神である奇稲田姫命、さらにその両親である脚摩乳命(あしなづちのみこと)と手摩乳命(てなづちのみこと)の夫婦神様、そして素盞鳴尊と奇稲田姫命の夫婦神様のお子様ともご子孫ともいわれ、出雲大社の縁結びの神様としても知られる大己貴命(おおなむちのみこと別名大国大神)です。これらの神々はご家族であることから「家族円満の神様」ふた組のご夫婦神様が含まれていることから「夫婦円満・縁結びの神様」として信仰されています。室町時代の長禄元年(1457)、太田道真・道灌父子によって川越城が築城されて以来、城下の守護神・藩領の総鎮守として歴代城主により篤く崇敬されています。

本殿は江戸後期に川越城主松平斉典公の寄進と氏子の寄付によって建立されました。御本殿には名工嶋村源蔵・飯田岩次郎が7年の歳月をかけた江戸彫と呼ばれる関東特有の精緻な彫刻が全面に施されています。

本殿左手からは3万以上の絵馬がかけられた「絵馬トンネル」があります。絵馬は仲良しの馬が幸せそうに顔を寄せ合って、馬が合う人と出会えるようにという意味を込めたイラストが描かれ、縁結びに御利益があるとされています。絵馬の間から差し込む光がとても幻想的で綺麗なトンネルをくぐってみましょう。

境内には多くの御神木がありますが、とりわけ本殿裏手の御神木は樹齢600年を超える欅です。周囲を8の字を描くように回るとよいとのことで歩きやすいように石の道が設けられています。また周囲一帯の風鈴が頭上をシャワーのように吊られています。

さらに歩くと丁度本殿をはさんで反対側には夏季に実施される「縁結び風鈴」の棚が設置されています。境内に吹く風は昔から人の思いを運ぶといわれ、涼やかな風鈴の音色とともに、素敵な縁を結んでくれそうな風鈴回廊です。

川越市役所まで戻り、菓子屋横丁ある札の辻から仲町までが蔵の町並みのハイライト、一番街通りです。電線が地中化された約430mの通りの両脇に黒く重厚な店蔵やレトロな西洋建築がずらり並ぶ光景は圧巻です。川越は寛永15年(1638)1月の大火を機に、翌年に川越藩主となった松平信綱が川越城の拡張と城下町の整備を行い、現在の川越の基礎を築きました。松平信綱は島原・天草一揆を鎮圧した功績により寛永16年(1639)6万石で川越藩主となります。新河岸川の舟運の開設や川越街道を整備したことで江戸への流通経路を持ち、周辺農村地帯から物資を集めて大消費地、江戸へ送り出しました。問屋・仲買業が富み栄え、大店が軒を連ねて、川越は「江戸の台所」とも呼ばれる商人の町として繁栄しました。江戸との太いパイプができ、江戸の文化、学問、芸能なども流通するようになり川越は小江戸と呼ばれるようになったのです。

現在、川越でサツマイモを使ったスイーツが名物なのも、18世紀末頃から江戸で焼きイモが流行し、川越地方のサツマイモが舟運で江戸に運ばれたことで産地として定着したからです。日本橋から13里(約52km)の距離にある川越のサツマイモは「九里(栗)より旨い十三里」と呼ばれ大人気だったとのことです。

ところが明治26年(1893)3月、俗にいう川越大火で町の3分の1、1300戸以上が焼失してしまいます。目抜き通りの焼け跡の中に、忽然と焼け残ったのが大沢家住宅など土蔵造りの耐火建築だったことから復興に際して、人々は競って火事に強い土蔵造りの店舗を建てたのが、蔵の町並みのもとになったといいます。

商人の町として古くから賑わってきた川越は、「明治の大火」を教訓に防火に優れた蔵造りの街並みとなりました。土蔵造りというと倉庫に使うための蔵が多いが、川越の蔵は店舗、店蔵であることが特徴で現在では23棟の蔵造りの建物がずらりと表通りに面して並び、「重要伝統的建物建造群保存地区」に認定されています。白壁に黒瓦ではなく、黒壁に黒瓦、黒漆喰の壁は、「江戸黒」と呼ばれる江戸の町並みを模したとされ、厚い観音扉が付いた窓、鬼瓦の周囲を漆喰で盛り上げた影盛など、当時の旦那衆のこだわりがにじむ豪壮な建物をゆっくり見て回ります。

川越で最も賑わう観光ストリート「川越一番街」の南端、仲町交差点角にある「川越まめや」から散策が始まります。

龜屋 本店」は天明3年(1783)創業の川越藩御用達を代々務めた老舗です。妻蔵(袖蔵)を備えて堂々たる構えの重厚な店蔵で歴史を感じさせる見事な鬼瓦に注目してください。川越の芋菓子発祥の店で、伝統的な最中やこがね芋のほか、いもシューはクリームの舌触りが絶妙です。

菓匠右門」は大正期の建物を利用した芋おこわ専門店ですが、サツマイモを使った和洋菓子も人気です。なかでもモチモチ食感の生地の中にしっとりとしたつぶ餡と輪切りされたサツマイモのバランスが絶妙の「いも恋」は大人気で、店の外には蒸し上がった「いも恋」の甘い香りが漂っています。町のあちこちでサツマイモのお菓子が売られています。

青緑色のドーム屋根が印象的な建物は、現役の銀行として営業中の「埼玉りそな銀行 川越支店」です。東京・丸の内三菱レンガオフィス街を手がけた保岡勝也氏の設計により、大正7年(1918)、第八十五銀行本店として建てられたルネサンス様式を基調にした鉄筋コンクリートの3階建て洋館です。

通りの中間あたりにある信号が「時の鐘入口」で、ここを右に入ると「鐘つき通り」になります。

名前の通り小江戸川越のシンボル「時の鐘」があります。寛永年間(1624~44)に川越藩主・酒井忠勝が建造し、明治26年(1893)の川越大火の翌年に再建されたものです。蔵の街に時を報せる美しい音色が6時、12時、15時、18時の4回響き渡る様子は、残したい「日本の音風景100選」に選ばれています。高さ16m、木造トタン屋根の鐘楼は間近で見ると迫力十分で、鐘楼の奥には薬師神社があります。

表通りから一歩路地に迷い込むのも楽しく、道は鈎の手、丁字路、袋小路など城下町特有の佇まいを見せます。亀屋栄泉と1893年築で店蔵の瓦が装飾的で重厚な陶舗やまわの間の細い道は鎌倉時代創建の長喜院の参道で、石畳が続き風情があります。

札の辻交差点近くにあるのが「大澤家住宅/民芸品小松屋」です。建造は寛政4年(1792)、蔵造りの建物としては最古で、もとは豪商・近江屋半右衛門が呉服太物(木綿)を商う店舗として建てられました。明治26年の川越大火での焼失を免れ、川越の商人たちに耐火建築として多くの多くの蔵造りの店舗を建てさせるきっかけになったといわれます。大火後に建てられた蔵造りが重厚で装飾的なのに比べ、あっさりとシンプルな外観が特徴です。2階窓の格子は木を芯に漆喰を塗ったもので火災にも強いです。

周囲を川に囲まれた川越ならではの川越名物・栄養満点の“うなぎ料理”を食べるべく来た道を戻り、川越駅に向かう途中、道をそれて「大正浪漫夢通り」へ。一番街とは趣が異なり、石畳に店蔵をはじめ町屋造りの日本家屋、ハイカラな洋風建築など川越を代表する店が並ぶ商店街です。映画などのロケ地にも使われています。

そんな通り沿いに「小川菊」があります。江戸後期、文化・文政年間の創業。

川越市内でも珍しい大正時代の木造三階建ての建物は四方に窓を設け、夏でも涼しい造りです。店内は一階がテーブル2卓と小上がり3卓、黒光りした階段で2階の座敷に行くこともあり、店内の自然なレトロ感がいい味を出しています。

川越は川に囲まれた土地なので、新河岸川などで昔はウナギがとれました。また江戸と水運で結ばれていた歴史があり、当時としては貴重だった砂糖が川越に入ってきて、ウナギに合う若干甘辛のタレが広まったといいます。その日のウナギはその日に裂き、脂っこさを全く感じさせない味です。江戸時代から変わらぬ製法と秘伝のタレを使ったうなぎはふんわりよ口のなかでほどけるようにやわらかいです。

一日数量限定のきも串も美味い。

県道15号に出てを西へ歩くと熊野神社のある中央通りとの交差点仲町に到着します。

川越は蔵造りで知られますが、江戸、明治、大正、昭和とそれぞれの建物が現存するのも魅力で、その象徴ともいえるのが、蔵造りの街並みや喜多院などの観光地と西武新宿線・本川越駅や商業施設の中間に位置する「江戸蔵里」です。明治8年(1875)この地に創業し、2000年まで続いた「鏡山酒造」の跡地に明治、大正、昭和の計4棟の蔵を、「おみやげ処 明治蔵」「まかない処 大正蔵」「ききざけ処 昭和蔵」「つどい処 展示蔵」として改装した複合施設して活用しました。

麹室があったおみやげ処の「明治蔵」は川越の名物みやげが約1000点も集まっています。明治蔵の一角には小江戸鏡山酒造の店があり、利き酒がグラス1杯200円~楽しめます。埼玉県には現在35の酒蔵があるが、2000年に鏡山酒造が廃業し、川越に地酒がないことを惜しむ声から新たに託されたのが小江戸鏡山酒造です。飯能市の五十嵐酒造の弟さんが立ち上げた県産米「さけ武蔵」を使った大吟醸は、香りふくよかで濃厚、舌から鼻へ伝わる吟香や返り香が好まれるところです。

地産地消グルメが味わえる、まかない処「大正蔵」は大正期に建設された貯蔵タンクが並んでいたところ。当時の姿そのままに残っていてレストラン「八州亭」では関東地方の典型的な酒蔵の雰囲気を楽しみながら食事ができます。

重厚かつ長大な景観の蔵、くら市場「昭和蔵」は昭和6年(1931)に建設された酒母やもろみの仕込みを行っていた所です。2018年春新たに「ききざけ処 昭和蔵」としてリニューアルオープンしました。

重厚感のある屋根や白壁が特長で、天井の梁や建物を支えている店内の中央の直径55cm以上もある杉柱が酒蔵当時の面影を残しています。

メインとなるのは埼玉県内すべての蔵元の地酒を一堂で試飲できる施設で、埼玉県で初となります。埼玉県は清酒出荷量全国で5本の指に入る酒処で現在は35の酒蔵で良質なお酒が作られています。

店内でまず目に入るのが日本酒がずらりと並んだ自動販売機。これはメダル式の「有料試飲機」で、日本酒を飲み比べできるシステムです。まずは500円ワンコインで4枚のメダルと交換。好きな日本酒がお猪口で4種類試飲が可能です。試飲機の注ぎ口にオリジナル(非売品)のお猪口を置き、メダルを一枚入れて日本酒をセレクトすると自動でお酌してくれるという仕組みです。常時35蔵の日本酒と季節限定のものが5種並びます。試飲機には品名や辛さなどの基準も記されているので、お酒選びのヒントになります。

一日で飲みきれないほどのラインナップです。メダルは持ち帰ることもできるので毎日1枚ずつ使うのもよし、4枚を数名で分けて感想をシェアするのも楽しい。お気に入りの味を見つけたら、その場で購入できる物もあります。セルフサービスなので一人酒にも気楽でいいです。

殿様が住んだのはこちら!“御殿のある城”川越城下町を歩く」はこちらhttps://wakuwakutrip.com/archives/13170

 

 

 

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