信州飯山線を走る観光列車「おいこっと」で行く信越自然郷の旅

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千曲川沿いにのどかな田園風景が連なる、信州・長野と新潟・十日町を結ぶ飯山線には、観光列車「おいこっと」が走っています。ふるさと=田舎をイメージしてもらうため、東京の真逆にあるという意味でTOKYOの英語表記を反対にした「おいこっと」とひらがなで表現されています。大都会とは正反対のゆったりのんびりした時間を提供したいという意味が込められています。大きな窓やボックス席、駅への立ち寄り停車、指定券があれば普通運賃だけで乗れる快速観光列車です。ふらっと気軽に楽しめる信州・飯山線の車窓を楽しむ列車の旅はいかがですか。

コンセプトである“日本人のこころのふる里”を代表するローカル線として、訪れる人すべてにやすらぎと癒しを提供したいという思いと、田園風景や山、川など日本人が描くふるさと(田舎)をイメージにした列車が「おいこっと」です。土・日曜・祝日を中心に飯山線(一部しなの鉄道)の長野~十日町間を約2時間半で結び、1往復しています。長野県では千曲川、新潟県に入れば信濃川と名を変える川沿いを走ります。

長野駅のホームに入ってきた車両はクリーム色とえんじ色のツートンカラー。

1号車の車体は、クリーム色(アイボリー)とエンジ色の専用塗装。写真の2号車は、正面~ドアにかけても色が反転してエンジ色ベースになっています。

車両の正面等に描かれているアイコンは、「雪ん子」をイメージしたキャラクターと「おいこっと」が組み合わされ親しみのあるデザインで表現されています。

外観デザインは、「ふる里」や「おばあちゃんの家」を連想する茅葺屋根の民家の襖や障子などをイメージしたものです。また唱歌「故郷」(作詞・高野辰之:長野県中野市出身)の歌詞『兎追ひしかの山、小鮒釣りしかの川・・・』に登場する「兎」「山」「小鮒」などを、ふるさとをイメージした影絵風のマークが車両の内外に描かれていて、民話の世界観が楽しめます。

内装も子どもの頃、夏休みに遊びに行っていたおばあちゃんの家のような、懐かしさ、楽しさを感じさせる「古民家」風のこころ落ち着く内装デザインになっています。床が板張りであったり、座席のシートが座布団のようなかすり生地風の和風柄だったりと温かみのある雰囲気を出しています。車内の上部に備え付けられたモニターテレビかからは、沿線の観光地を紹介するDVDが流され、旅の気分を盛り上げてくれます。

座席の配列は、赤茶色の布地の4人掛けボックスシートと通路を挟んで紺色の布地の2人掛け対面シート、そして端の両側にロングシートという配置。ロングシートは2席ごとにテーブル収納を兼ねた肘かけで区切られています。全席指定なのですが、えきねっとでは、予約の際座席指定ができないので注意してください。

座席の種別の間仕切りや窓と窓の間の柱には、外装と同様「兎」「山」「小鮒」などの影絵風のマークがあしらわれています。

ボックス席では1号車、2号車ともに2人掛けシートのほうが千曲川側になります。車窓からの眺めは千曲川側がおすすめです。写真を撮るのも朝方は逆光気味ですが問題ありません。反対に午後からは車体が影になってしまい手前に影が映り込んでしまいます。

長野駅で駅員さんに見送られ9:15出発です。発車して間もなく始まった車内放送の声の主は、沿線の木島平村出身の俳優、常田富士男さんのナレーションが流れます。『まんが日本昔ばなし』などでおなじみの名調子は、おいこっとの雰囲気にぴったりで沿線の魅力を語ってくれています。飯山線のキャッチフレーズ「いいかわ、いいそら、いいやません」が聞こえてくると一気に心が和んでいきますよ。

「おいこっと」には「おいこっとあてんだんと」が一人乗務しています。昔なつかしい「もんぺ姿」で、車内での観光放送、記念撮影の補助、車内販売などの旅のお手伝いをしてくれています。豊野駅を通過すると列車はしなの鉄道北しなの線からJR飯山線に入り、おいこっとあてんだんとが席を回ってきます。

手渡されたのは野沢菜漬けで、おいこっと恒例の「ふるまい」だそうです。ふるまいのおもてなしとしては、木島平米のふるまいや飯山市内にある酒蔵の日本酒のふるまい、中野市産のりんごジュースのふるまいなどが日替わりで行われています。とりわけ、車内のおもてなしとして信州のお茶うけの定番「野沢菜漬」は毎回ふるまわれますよ。日によってはこの他に、地元の人たちによる食、演奏、語り、観光案内などのおもてなしもあるという。

長野駅から飯山駅までは列車に揺られて雄大な千曲川沿いの里山の景色をぽりぽりと野沢菜をつまみながら車窓を楽しむ。写真の山は標高1351.5m、中野市・山ノ内町・木島平村の境界に位置する「高社山」で、別名「高井富士」とも呼ばれています。

「おいこっと」は快速電車とありますが、長野駅から十日町駅までの間約86kmを約2時間半かけて走ります。途中「替佐」「飯山」「北飯山」「戸倉野沢温泉」「森宮野原」「津南」の6駅に停まりますが、特に飯山駅で15分、新潟県に入る手前の森宮野原駅で15分と発着に時間があります。長野から40分程で2つ目の停止駅「飯山駅」に到着します。北陸新幹線の停車駅でもあり、新幹線なら10分です。15分程度の停車時間がある飯山駅では「おいこっとまるしぇ」をのぞいてみましょう。おいこっとの運転日にあわせて、飯山駅改札を出た所で地元ゆかりの品を販売しています。きゃらぶきや笹餅、長野名物のおやき、一番人気は飯山の郷土食、笹ずしです。笹の葉に酢飯を置き、ゼンマイやシイタケをのせたすしは彩りも美しく、いかにもおいしそう。

さらに駅構内には「信越自然郷アクティビティセンター」があり、周辺のアウトドアアクティビティなどの情報を入手することもできます。

列車はやがて飯山盆地の開けた平野部に出て、田園風景の中を走りる。停車駅である北飯山駅と戸狩野沢温泉駅の間に「信濃平駅」があります。通過駅なのですがこの駅の駅舎は、貨物列車の車両を待合室に使ったもので、無人駅のホームの向かい側には菜の花畑が広がり、春には黄色の花絨毯が迎えてくれます。また飯山線を走る「おいこっと」との風景は撮り鉄の絶好のポイントになっています。

戸狩野沢温泉駅ホームでは、野沢温泉に伝わる木造りの夫婦道祖神が迎えてくれます。八衛田毘古(男)神、八衛田毘賣(姫)神と伝えられる縁結び・子宝の神さまです。野沢温泉道祖神火祭りにゆかりの深く、野沢の火祭りは、「無病息災」「家内安全」「五穀豊穣」を願い、毎年1月15日に行われる国の重要無形民俗文化財に指定されている日本三大火祭りに数えられる祭です。停車時間が1分しかないので写真を撮ったらすぐに近くドアから車内に飛び込みましょう。

戸狩野沢温泉駅を過ぎると、千曲川も川に沿う線路も、山を縫うように走る。常田さんの車内放送では「千回曲がるから千曲川」だそうですが、おいこっとも右へ左へ、次々と現れては後方へ過ぎていく山景色、川模様、時にトンネルに入り、スノーシェードをくぐり、山あいに開けるわずかな平地に出れば、田んぼがあり、人家が見え、駅に着く。そして再び山と川の風景の中へ入っていきます。

新潟県との県境近くにある「森宮野原駅」は日本有数の豪雪地帯・栄村にあります。駅で圧巻なのは、昭和20年(1945)2月12日に7.85mの積雪を記録したという「日本最高積雪地点」の標識。標柱には50cmづつ目盛がうたれていてホームから日々の積雪量がわかるようになっています。3階建ての家ぐらいあるのかと考えると驚きですね。

車内や停車駅では日本の雪国で古くから用いられていた防雪具「すげぼうし」をかぶって写真を撮影することが可能です。この停車駅では15分の停車時間を使って、日本の雪国で古くから用いられていた防雪具「すげぼうし」をかぶって写真を撮影することが可能です。誰でも可愛く写る「雪ん子」に変身、おいこっとキャラクターもかぶっています。

車内では、乗車記念に写真のプラカードを持って記念撮影を「おいこっとあてんだん」に撮ってもらったり、連結部近くに置いてある乗車記念スタンプカードにスタンプを押すこともできます。また車内販売では車内限定グッズとして、コースター(2枚入り)500円・ピンバッチ540円・キーホルダー750円・クリアファイル(2枚入り)500円を販売しています。

森宮野原駅からトンネルを抜けるとそこは雪国・新潟県に入ります。

千曲川は新潟県に入ると名前を信濃川と呼ばれるようになります。ちなみに全長367kmの信濃川のうち千曲川は上流の長野県内部分214kmをいいます。

さて、ずっと川を右手に見て走ってきた列車が橋を渡って右岸に出れば、終着の十日町駅はもうすぐです。約2時間30分の観光列車の旅があっという間に感じられるのは、変化に富んだ車窓風景ゆえか、温かいおもてなしのおかげか、それとも車内の不思議な居心地のよさのせいだろうか・・・と思いをめぐらせているといよいよ終点十日町駅に到着です。

この駅は新潟を走る、お酒を楽しむリゾート列車「越乃Shu*Kura」の停車駅でもあります。「新潟を走る「越乃Shu*Kura」はお酒を楽しむリゾート列車!」はこちらhttps://wakuwakutrip.com/archives/4243

列車を降りたら、ちょうどお昼時、十日町といえば「小嶋屋総本店」、ふのりをつなぎに使うへぎそばの老舗です。織物に使われていたふのりにヒントを得て初代がつくり上げた味は、そば粉100%なのにツルっとした咽越しでシコシコの歯ごたえが特徴的です。

手繰りで1口分ずつ盛り合わせたへぎそばは布の目のように美しく、織物の里としての長い伝統を感じさせます。

帰りのおいこっとの時間まで間があり、列車を降りたらもう少し足を延ばしてみてはどうでしょう。美人林や星峠の棚田など十日町市の観光名所は数多くありますよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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