渓谷の吊り橋から眺める紅葉美!箒川沿いの塩原渓谷遊歩道を歩く

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名湯が数ある栃木県の塩原温泉郷は、爽やかな那須野ヶ原を西へ抜けて「山懐に入ったなあ」と実感するあたりから始まります。車なら西那須野塩原ICから車で20分で温泉郷下橋の大網温泉に着きます。それまでの道すがらにあった平野とは打って変わり、深く切れ込んだ渓谷の底に箒川の白泡が眩しく輝き、赤や黄色の紅葉に心を奪われます。

塩原温泉郷はこの箒川の流域一帯約10kmにわたって11の温泉地からなる渓谷の温泉郷。平安時代の大同元年(806)に発見され、1200年以上もの間人々に親しまれてきました。大網、福渡、塩釜、畑下、古町、元湯など各温泉地からは、162もの源泉が湧き、その豊富な湯量と効能は、明治・大正時代には広く知れわたり、多くのの文人や皇族が訪れたといいます。尾崎紅葉の『金色夜叉』や田山花袋の『山水小記』をはじめ、文豪たちが作品の中に塩原温泉郷を登場させ、その魅力を伝えてきました。小説や歌に詠まれた美しい自然は今も変わりません。真っ赤な秋が今年もやってきました。

遠く眺めるのではなく、紅葉の懐に潜りこんだような景色がいたるところで楽しめるのが塩原温泉郷の魅力で、渓谷沿いにはつり橋や滝も多く、歩きたい道を数えたらきりがありません。なかでも圧巻の紅葉美を見せるのが、温泉街の中心の古町地区にある「紅の吊橋」です。夏目漱石や尾崎紅葉などい、この地を愛した塩原ゆかりの文人たちを紹介する展示室などがある塩原もの語り館の裏に平成15年に完成した全長52mの箒川に架かる橋です。地元の人たちが植樹し、大切に育んできた対岸のイロハモミジが燃え上がるようにはっとするほど鮮やかな紅色に染まることから橋の名が付いたとのこと。

この絶景が山の中に踏み入れることなしに、温泉街のすぐそばの駐車場から歩かずして見られるのが素晴らしい。塩原もの語り館には箒川を見渡せるテラスやカフェもあり、ぼんやり紅葉を眺めるのもよし、観光案内も行って入るので、地図を入手して散策ルートを教えてもらって歩くのも良しです。川のせせらぎを聞き、間近な紅葉を目で追いながら、この吊り橋を渡ります。

川沿いに紅葉のトンネルの遊歩道が、温泉街へと続きます。途中には箒川に面して、湯船の真上に紅葉がある露天風呂「もみじの湯」があります。

ホテルニュー塩原の建物の下から流れだしているようにも見える落差15mほどの滝が「七絃の滝」です。紅葉と滝がコラボして綺麗です。

箒川には複数の吊橋が架かり、吊橋を結ぶように塩原ビジターセンターから蟇石園地までの全長8.5kmの及ぶ塩原渓谷遊歩道が整備されています。それぞれ見どころの異なるやしおコースと回願コースの2区間に分れ、大網の裏山に延びる遊歩道でつながっています。今回はその前半、塩原ビジターセンターから箒川ダムまでの約3.7km「やしろコース」を歩きます。※工事中のため回願コースがう回路になっているため

まずは塩原もの語り館から徒歩5分の塩原温泉バスターミナルから七ツ岩吊り橋バス停で下車し、目の前の全長87mの七ツ岩吊橋をまずは渡ります。橋の上から緩やかな流れの箒川と塩原温泉郷を望むながら渡り、坂道を登り、国道を渡れば塩原ビジターセンターに到着です。

塩原ビジターセンターの周辺も、モミ、アカマツ、コナラ、ミズナラなどの天然林が広がっていて、オレンジ色や茶色のグラデーションが広がります。ここを起点に長短さまざまなハイキングコースも設定されています。

ビジターセンターのある前山国有林を出発し、センター横から遊歩道へ。緑に包まれた野道が足に優しい。

前山の遊歩道分岐T字路を左折し、国有林を200m歩くと、車道に出るので右折します。車道を渡った先にあるのが「天皇の間記念公園」です。大正天皇時代の皇室の別荘であった旧塩原御用邸御座所の見学ができます。

少し寄り道をしていきます。箒川沿いには吊り橋の名になっている青緑の凝灰岩が七つあることから名付けられた「七ツ岩

箒川渓谷の中で100人が上に乗れるほどのひときわ大きな巨石で、蒲生氏郷の子、宇都宮藩主蒲生秀行が会津出兵の際、塩原街道を通りこの岩で野宿したことが名前の由来となる「野立岩

更に対岸の奥に見える大きな三角岩山は、その昔、悪事を働いていた天狗が住みついていたことが名前の由来の「天狗岩」です。旅の途中に通りかかった弘法大師に、ひどく懲らしめられて悪さをしなくなったといいます。

福渡橋の対岸の袂から階段を降りて箒川沿いに下ると、綺麗に整備された歩きやすい歩道が福渡の川沿いに続いています。

しばらく行けば2本目の吊橋「福渡不動吊橋」へ。吊り橋を渡り、箒川の対岸に歩道が続きます。

岩の湯(※閉鎖)、不動の湯(※休業中)と不動の足湯があります。土と鉄分が混ざったような独特の臭いのする濁り湯ですが、疲れた足を癒すには丁度よい泉温です。野趣満点の露天風呂、不動の湯は渓谷歩道を歩いた箒川の支流、不動沢の脇にあります。

不動の湯を過ぎるとアカマツの大木が自生する錦帯岩園地につきます。福渡不動吊橋からこのあたりは福渡温泉になります。文豪田山花袋は「水の美しさは塩原の谷も多くこれ(日光の大谷川)に譲らない。入勝橋から福渡戸に行くあたりは殊にすぐれている。しかも箒川の谷は何方かと言えば女性的である。奔端急瀬の壮よりも、むしろ清浅晶玉の美である。」『山水小記』と明治33年(1900)、柳田国男と塩原を訪れ、福渡温泉の「松屋」に泊まり、箒川が削った塩原の渓谷美を誰よりも高く評価しました。

塩原グリーンビレッジの敷地を左手に見ながら歩くと、下塩原バイパスのアーチ型第2橋梁が見え、さらに第2蟇石トンネル「潜竜峡トンネル」出口の上を通ると「布滝観瀑台」の分岐に着きます。ここを左手に少し下ると布滝観瀑台です。落差は7m程で塩原十名瀑のひとつです。箒川の水の流れがここで一本にまとまり、岩の間を豪快に流れ落ちる様は、岩肌に白い布をさらしているようにみえます。

箒川ダムに近づいていくと、ブナ・ミズナラなどの原生林が現れ、ゆっくり休める園地もあり、森林浴が楽しまます。箒川ダムは東京電力箒川水力発電所から約8km上流に設置されたダムで国道400号からの、その満々と水をたたえた眺めは四季を通しても塩原でも一級の景勝地となっています。

大網温泉・湯守 田中屋前のバス停・塩原大網まで10分程歩き、バスに揺られながら塩原門前バス停まで箒川沿いに長く連なる温泉郷を見ながら戻ります。「妙雲寺」の創立は寿永3年(1184)平重盛の妹・妙雲禅尼が源氏の追手から逃れてこの地に草庵を結び、釈迦如来像を安置したことに起因し、正和元年(1312)妙雲寺と改め甘露山の号を付した840年の歴史を誇る平家ゆかりの臨済宗のお寺です。

境内には「文学の森」があり、漱石、紅葉、茂吉などの文学碑が三十基近くも立ちます。塩原が文学の温泉郷と言われる所以です。

妙雲寺門前の温泉街には塩化物を含んだ門前温泉があり、旅館街の中にひときわ目立つ木造の巨大な混浴足湯「湯っ歩の里」がありここで足の疲れを癒します。池を囲むように回廊の連なる建物は、全長60mの足湯の屋内回廊で、敷地内に湧き出る温泉が注がれ、湯滝、間欠泉、庭園などが鑑賞できます。

足湯の底には、種類の違う底石が敷き詰められ、踏みしめて歩くと足の裏のツボが押されて気持ちよい。ベンチの+に腰掛け足湯を味わうと、ほんのりと汗がにじみ出ます。池の中央から間欠泉が噴き出す演出や飲泉所もあり、小一時間のんびりと過ごせます。(入館料200円)

今度は塩原渓谷遊歩道の後半、回願コースを歩いてもみじ谷大吊橋を目指します。それにしても塩原高原大根は美味い。

 

 

 

 

 

 

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