那須・沼ッ原湿原は手軽に楽しめる穴場のハイキングスポット

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湿原の多くは人里離れた山奥に存在し、那須「沼ッ原湿原」もそんなひとつです。那須連山の主峰・茶臼岳の南西に広がる日の出平(1786m)と南端白笹山(1719m)、その西にそびえる西ボッチ(1410m)に囲まれた標高1230mに位置する東西約250m、南北約500mに広がる亜高山湿原です。昭和44年(1969)、湿原の南端に沼原発電所の調整池(上池)が完成し、道路や駐車場が整備されました。昭和天皇のお気に入りの湿原として知られ、誰でも気軽に行ける亜高山の湿原を訪れます。

栃木県那須板室温泉街から県道266号、沼ッ原湿原入口から市道を走り、湿原の手前約1km、湿原や隣りの調整池を見下ろす位置に駐車場があります。100台は停めることができる広い駐車場で無料なのがうれしいです。市道に入ると店がないので、飲料水や食料は県道17号(那須街道)や県道266号沿いの店で購入しておきます。また湿原にトイレはありませんので駐車場のトイレを利用しておきます。※12月上旬頃から翌年4月下旬までは駐車場までの市道が閉鎖されますので注意です。

駐車場から見下ろした調整池に汲み上げられた水は、500m下の深山湖に流され発電しています。

駐車場右手奥に湿原入口があります。秘湯三斗小屋温泉や南月山、白笹山(至茶臼岳)といった那須連山の登山口にもなっています。熊出没の表示板もありますので、できれば熊よけの鈴を用意しておきたいところです。熊出没の表示板にびびりながら森の中を抜ける山道を500m、15分ほど下って湿原に入っていきます。

駐車場から湿原までは、森の中の山道を500m、15分ほど下ります。最初は緩やかな下り道で、鼻歌交じりで散策できますが、最後の100mは、一段約20cmの階段が約100段と急な階段となっていて、足元に注意です。帰りのことを考えるとちょっと気が重くなるかもしれませんが、湿原のエリアはほぼ平らな場所なので頑張りましょう。

森の中の道を下りきり、湿原の周回道に突き当たったところにあるのが「子守石」です。言い伝えでは、安澤の萬屋という呉服問屋の太郎兵衛の家に一夜の宿を求めて女が訪ねてきました。女を気に入って一緒に住むことになりやがて男の子が生まれるのですがこの女が沼の主の大蛇の化身だったのです。いなくなった母親の姿を求めて子供を背負って沼ッ原まできて子守をしたといわれる石がこの「沼ッ原の子守石」です。

分かれ道を左へ進むと、湿原の上を歩けるように整備された一周約30分程度で周回できる木道が現れます。と同時にそれまで頭上を覆っていた樹木も途切れ、気持ちのいい大空が現れます。

沼ッ原湿原には約230種類の亜高山植物が確認される高山植物の宝庫。春は小さな青色のハルリンドウ、初夏のニッコウキスゲが咲くと湿原一面が黄色と緑色に埋め尽くされます。秋には写真のように湿原は見事な草紅葉となり、色とりどりの景色が、半年間にわたりハイカーの目を楽しませてくれます。

小川が流れている場所には、たくさんのオタマジャクシやクロサンショウウオ、モリアオガエルも生息しています。湿原の向こう側には、栃木と福島の県境に位置する流石山・大倉山・三倉山の尾根筋が見え、これらの山に積もった雪も沼ッ原湿原の貴重な水源となっているのでしょう。遠目で見ると濃淡入り混じった緑の山並みもとても美しいです。沼ッ原湿原は、昭和天皇が何度も足を運ばれたお気に入りの所として知られています。

木道から離れて子守石を右手に進んだ道と合流します。ここから旧会津中街道の三斗小屋宿跡方面へ続く道や、距離はありますが三斗小屋温泉へ行くこともできます。

歴史的には天和3年(1683)に起こった日光山地震により会津西街道の代替街道として元禄8年(1695)に幕府の出資で板室宿からこの地を通る会津と下野をつなぐ街道“会津中街道”が開かれ、参勤交代にも4度使われたとの記録があります。鎌倉時代に発見された那須七湯のひとつ、三斗小屋温泉は隠居倉火山の熱を泉源とし、街道筋に近いため、江戸時代は湯治場として賑わいました。。また那須岳の西側の山腹の泉源を信仰とする「白湯山信仰」の行人道としてもここが使われ、湿原を北へ三斗小屋宿跡方面へ向かうと自然林の中に名残の石仏があります。

子守石まで戻れば一周したことになりますが、そのまま奥までまっすぐ歩いていくと沼ッ原湿原や沼原調整池(上池)を見下ろせる展望台があるのでちょっと足を延ばしてみます。

さらにそのまま進んで行けば、登山コースにはなりますが深山ダムまで行くこともできます。沼ッ原湿原から深山ダムへは徒歩150分、約6kmの登山コースになります。

沼原発電所は沼原調整池(上池)と深山湖(下池)との500mを越える落差を利用した世界有数の揚水式発電所です。深山湖は那珂川上流にあるダム湖で元々那須野ヶ原の灌漑設備として計画されたのですが、最終的には電力発電設備「沼原揚水発電所」の下池としての機能を伴うものとして昭和48年(1973)に完成した表面アスファルト遮水壁型ロックフィルダムです。

散策の疲れを癒してくれるのが温泉です。深山ダムへの分岐あたりにある板室温泉に立ち寄ります。            「平安時代より下野の薬湯として親しまれた奥那須の名湯板室温泉」はこちらhttps://wakuwakutrip.com/archives/9869

昼食を食べて帰路につこうと立ち寄るのが、標高470m、那須高原の入口に位置する道の駅「那須高原 友愛の森」内にあるお食事処“なすとらん”です。

ここでは那須和牛を中心に地元の食材を使ったメニューをひとつひとつ手作りで提供していて、ボリューム満点の「那須和牛 ステーキ丼」が有名です。やはり那須ブランド和牛を贅沢にのせたステーキ丼を食べないわけにはいきません。さっぱりとしてコクのある特性ダレと野菜の旨味が絶妙の一品でした。

 

 

 

 

 

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