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全国観光地百選・渓谷の部で第1位に選ばれたことのある景勝地「昇仙峡」は、甲府盆地の荒川上流に位置します。金峰山を水源とする荒川の急流が岩をはみ、花崗岩の岩塔が林立します。流れに沿った渓谷沿いに遊歩道が整備され、仙娥滝や覚円峰など見どころは多い。2020年日本遺産「甲州の匠の源流・御嶽昇仙峡~水晶の鼓動が導いた信仰と技、そして先進技術へ~」に認定されたました。甲斐市の古刹や武田信玄の隠し湯とともに「甲州の匠の源流」にふれる旅にでます。

混雑を想定し長野を朝5時出発、到着7時30までを想定して出発です。中央道を双葉SAのスマートICで下りて、昇仙峡入口の天神森バス停近くの市営駐車場に車を止めます。甲府市内からでも車で30分ほどです。

今から170年ほど前の江戸時代後期、滝上の長田円右衛門(1795~1856)が、荒川渓谷沿いの御岳新道を計画、周辺の30ヶ村に呼びかけ、10数年もの歳月を費やして天保14年に完成させたとのこと。新道が完成したことにより、今まで見ることのできなかった渓谷美や仙娥滝の絶景が世に知られるようになり、御岳昇仙峡の基礎を築いたとのことです。名水百選・平成百景に選ばれているのも御岳新道ができたおかげであろう。

渓谷美を讃えられ日本の名勝として名高い御岳昇仙峡は、長潭橋から始まります。渓谷に沿って全長5kmの道程を仙娥滝を目指して歩きます。大正14年(1925)の完成以来、この地の歴史を見守ってきた県内最古のコンクリートアーチ道路橋は静かな威厳を感じさせてくれます。土木遺産に認定されています。

渓谷探勝には、名物の観光遊覧「トテ馬車」に乗って能泉まで辿り、そこから歩いて仙娥滝まで散策するのが一般コースとのことですが今の時間は営業時間外、歩いての散策を楽しみます。※2017年に運行終了

昇仙峡の渓谷には、亀石・大砲岩・猿岩・松茸石・登竜岩といったいずれも花崗岩の岩肌が荒川の清流に長い年月をかけて浸食されてできた奇岩・奇石が並び、異空間に紛れこんだかのような風景が広がります。

渓谷沿いに整備された遊歩道を歩くと、川の流れによって磨かれた昇仙峡の岩肌は白く滑らかで、周囲に生えるモミジなどの木々とあいまって、素晴らしいコントラストを見せてくれます。

長い年月の間に露出した大自然の芸術なのです。花崗岩と木々、そして流れる水が織り成すその景観は、日本を代表する渓谷美の一つとして、昭和28年(1953)に国の特別名勝に指定されています。

名前もユニークな奇岩・奇石をイメージを膨らませながら探しながら楽しく歩いているとあっというまに紅葉の名所「天鼓林」に到着です。

東屋もある紅葉の林である「天鼓林」の先の「愛のかけ橋」も含め紅葉が最盛期です。

しばらく歩き、羅漢寺橋を渡って五百羅漢を祀る羅漢寺に寄っていきます。荒川の右岸、標高1058メートルの羅漢寺山南東山麓に位置する曹洞宗のお寺です。弘法大師空海の作といわれる岩正五百大阿羅漢の木彫像が154体現存し安置されています。像底には応永30年(1423)の墨書がある阿弥陀如来坐像も安置されています。

羅漢寺山の谷には、今や失われた信仰があり、中世から江戸期にかけて天台山羅漢禅寺の堂宇が点在していたといいます。江戸末期まで、御岳金櫻神社に向かう道は昇仙峡右岸の尾根道にあり、羅漢禅寺はその途中にありました。すぐ上流に位置する金櫻神社との関係を想像したくもなります。

いよいよ前方に昇仙峡の中心部にそびえる「覚円峰」が見えてきます。花崗岩が風化水食を受けてできた昇仙峡のシンボルで白い岩肌に群生する松、ツツジ、モミジとのコントラストが美しく、四季折々、幽谷の旅情を誘います。ベストロケーションは、金渓館から下に降りていくと水際まで降りることができ、撮影スポット「夢の松島」から見ることができる直立約180mの覚円峰の景色は、まさに大迫力の観光写真の景色です。

日本一の渓谷美、昇仙峡の主峰・覚円峰の名称は、その昔、平安時代のお坊さん覚円が畳が数畳敷ける広さの頂上で修行したと言い伝えられていることに由来します。「雲飛ぶや 天駆使が種置ける 覚円峰の岩肩の松」と伊藤左千夫は詠んでいます。その向かいに立つのは「天狗岩」で、すらりと滑らかな「覚円峰」に対して「天狗岩」はどっしりゴツゴツとした荒々しい印象である。

金渓館から先が遊歩道で、その入り口にあたる石門の手前に長田円右衛門の碑があります。

近くの東屋の柱越しに見る紅葉は京都の寺院から見る景色に引けをとりません。

遊歩道に入ってすぐ、巨大な花崗岩が天然のアーチ状になっている「石門」をくぐります。巨大な花崗岩が不安定に重なり、自然にできた石門は大迫力!

登りでは分かりにくいのですが、下りで見るとアーチの先端部がわずかに離れているが絶妙なバランスを保っているのがよくわかります。

昇仙橋を渡り、岩沿いに歩くと、滝の音が近づいてきます。日本の滝100選に選ばれている「仙娥滝」は地殻の断層によってできた花崗岩の岩肌を削るように3段に落下する高さ30mの大滝です。仙娥とは中国神話に登場する月に行った女性嫦娥のことで名前からも神秘的なイメージが感じられます。しぶきを上げる滝壺は間近に見え、日が差すとしぶきの中に虹がみえます。

滝を見ながら遊歩道を上っていき、鳥居をくぐると休憩広場があります。

広場にある水晶神社から先、滝上の静観橋から新静観橋までの間は昇仙峡水晶街道といい世界の宝石や鉱石を約300点展示する昇仙峡クリスタルサンドや水晶宝石博物館、昇仙峡唯一水晶の研磨職人がいる円右衛門伝承館といったお店が並んでいます。御嶽昇仙峡一帯は、かつて日本を代表する水晶の一大産地でした。明治時代後期に採掘は制限されましたが、江戸時代に京都から伝わった水晶研磨の技術は受け継がれ、甲府を中心に国内最大の宝飾産地となりました。

水晶街道沿いには水晶のお店以外にもほうとう饅頭本舗のほうとう会館や山梨ワイン王国、夫婦木姫の宮の先には昇仙峡ロープウェー乗り場があります。昭和39年(1964)に運行を開始した歴史あるロープウェイで、標高1058mの山頂のパノラマ台駅までは約5分の空中散歩が楽しめます。ここから徒歩約20で弥三郎岳の山頂にいくことができ、富士山、南アルプス、金峰山などの山々が一望でき、360度の大パノラマが楽しめます。

昇仙峡の奥に鎮座する奥秩父連峰の名峰・金峰山は、古来より山岳信仰の山として知られています。昇仙峡を登り詰めた地にあり、約2000年の歴史を有する甲府の金櫻神社が登拝口の一つであったため、新道が開かれる前から、金峰山への参拝路(御岳道)として修験者が昇仙峡を訪れていたと考えられています。その金櫻神社」にはここから歩いて30分かかるとのことで駐車場のある天神森まで戻り、車であらためてグリーンラインで新静観橋まで戻って向かうことになります。金櫻神社にはご神木「鬱金の桜」があり、桜花期のこの桜を拝み、水晶守りを授かると、一生金運に恵まれるとのこと金運のパワースポットです。朱塗りの社殿は背景の自然に映えていっそう華やかです。

御嶽金櫻神社は金運パワスポ!桜の里に鎮座する金の成る木の金桜はこちらhttps://wakuwakutrip.com/archives/248

御岳昇仙峡を走る昇仙峡グリーンラインから山梨県道112号(川窪猪狩線)に入ればすぐにある荒川上流にある「荒川ダム」は、昭和61年(1986)完成の奥昇仙峡の谷間に広がる雄大なダムで、甲府市の上水道の供給と洪水調整の多目的ダムです。高さ88mの貯水量1080万トンのロックヒルダムです。

ダム湖の名は能泉湖といい、堤頂標高808mのダム周辺に広がる森林は、カラマツ、ミズナラ、白樺などが茂る森で、御岳昇仙峡水源の森(金峰山の山頂に至る6438ha)と名付けられ、林野庁の水源の森百選に選定されています。

荒川ダム湖畔沿いに「民芸茶屋 大黒屋」があります。山梨といえば郷土料理のほうとうとみそおでんをいただきます。

味噌おでんは三角形のこんにゃくに甘めの味噌がよいアクセントになっています。山梨名物のほうとうは以前食べたものと違い、田舎味噌を使ったかぼちゃが溶けてとろみのついた醤油仕立てのほうとうで美味しかった。

日本遺産の構成文化財は昇仙峡のほか、信玄の湯・湯村温泉に立つ塩澤寺もそのひとつです。弘法大師空海と踊念仏で知られる空也上人が開眼した、2体の地蔵菩薩を本尊とする珍しいお寺で、地元では「厄除け地蔵尊」と親しまれています。空也上人ゆかりの地蔵菩薩坐像が鎮座する地蔵堂とその隣に弘法大師を祀った西堂がたちます。

その湯村温泉は今から1200年前に弘法大師によって開湯されたと伝わります。大同3年(808)、弘法大師が東北巡業の帰りに甲府に立ち寄り、この地に投宿した際、道路の真ん中に大石があり旅人がたいそう難儀していました。弘法大師が呪文を唱えながら杖で大石を寄せたところ、そこから温泉が湧き出したと伝わります。「杖温泉 弘法湯」の裏手には伝承が伝わる故の湯跡が残っています。

500年ほど前の戦国時代には武田信玄が戦傷を癒すために躑躅が崎館に近い湯村温泉で湯治をしたと「甲陽軍艦」に記録されています。江戸時代には、絵師の葛飾北斎がこの地を訪れ、湯村温泉」の様子を団扇絵に残しています。

 

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