
高度経済成長期の日本が舞台のNHK朝の連続テレビ小説「ひよっこ」は、主人公・みね子が茨城から集団就職で上京し、成長していく姿を描いていました。そのヒロインの故郷、城県北西部・奥久慈県立自然公園に属する久慈川・久慈山地を中心とした地域には、n物語の世界に浸れる里山に自然豊かなぜひ訪れたい名所がたくさん!ダイナミックな「袋田の滝」と幻想的な「月待の滝」の異なる二つの滝に、竜にまつわる伝説が残る竜神峡に架かる大吊橋。豊かな自然に囲まれた青葉茂る滝や渓谷など奥久慈の雄大な自然を満喫し、“玄そばの最高峰”常陸秋そばを楽しみに、ドライブに出かけてみませんか。
常磐道那珂ICから国道118号を北上すると、のどかな里山の風景がひろがり、しばらくは久慈川とJR水郡線を右に左に見ながら並走して走っていきます。大子町に入れば、奥久慈県立自然公園に指定されている名勝、久慈川の支流・滝川の上流にある落差120m、幅73mの「袋田の滝」はもうすぐです。袋田の滝は、日光の華厳の滝、南紀の那智の滝と並ぶ日本三名瀑のひとつで、四段に流れ落ちる様や、西行法師がこの地を訪れた際「四季折々に訪れないと本当のよさがわからない」と絶賛したことから「四度の滝」とも呼ばれています。
発券所で一般大人300円の入場料金を払い、第一観瀑台へは昭和54年12月に完成した長さ276m幅員4m高さ3mの地下トンネルを歩いて抜けていきます。子どもからお年寄りまでゆっくり安全に鑑賞できるように工夫されています。
途中、入口から165mのところに大子町の鳥でもあるオシドリをモチーフにした「恋人の聖地」モニュメントが設置されています。
入口から201mにある第一観瀑台に近づくにつれて滝の轟音が響き、やがて岩壁に幾条もの白い筋を描いて流れ落ちる壮大な景観が目の前に広がります。滝坪の真正面にあたり、流れをもっとも近くで見られるヒーリングスポットです。写真左上の突き出た所が第一観瀑台です。
さらにエレベーターに乗ると第2観瀑台。第2.第3デッキからは上から見下ろすようにして全体像がたのしめます。水量の変化によりさまざまなハートの形に見える岩肌が表れます。目に映るハートが幸運やパワーをもたらしてくれるかもしれませんね。ぜひ、幸運のハート「大子ハート」探してみてください。
帰りはトンネルの200m地点から外に出る吊り橋の上から少し離れてみる袋田の滝もまた絶景です。そのまま対岸に渡り駐車場に戻りました。
観光バスが連なる「袋田の滝」とは異なり、ひっそりと優美な姿を見せる滝が、さらに118号を北上したところにある「月待の滝」です。古くから二十三夜講(安産を祈願して二十三夜の月の出を待って婦女子が集う)の場所であったことから「月待の滝」と呼ばれます。車道沿いの月待の滝 もみじ苑の駐車場に車を停め、滝まで200m程の急坂を下っていきます。
久慈川の支流大生瀬川が作り出す落差17m、幅12mの三筋に流れ落ちる滝で、普段は二筋の夫婦滝、水が増すと中断の受け皿から子滝が現れ親子滝になります。滝自体はさほど大きくありませんが、優美な印象を受けます。この滝のマイナスイオン量は袋田の滝の1.5倍あり、滝の音を聞きながらただリラックスするだけで身体の浄化が進むような気がします。
この滝はご当地ソングの女王水森かおりの歌「月待の滝恋歌」の舞台となっていたり、日本のパワースポット88ヶ所のひとつに選ばれていたりします。また看板には日本一やさしい裏見の滝 見落とし八景 月待の滝という長いキャッチフレーズを謳っています。見落とし八景とは。久慈川と八溝川の合流付近には奇岩、絶壁が多く、この辺の地名を「見落し」と言い、またこの地から下流を望むとさながら京都の嵯峨野の味わいがあるとこの地区に「嵯峨草」と地名がつけられました。天狗岩(昭和61年崩壊)、水汾岩、水神淵、溝ヶ淵、竜崖、近津の祠、子午線岩、嵯峨草の月待の滝の八ヶ所を称して見落し八景といわれています。
この滝は別名「裏見の滝」「くぐり滝」とも言われ、全国的にも珍しく水にぬれることなく滝裏に入れます。滝横にある茶屋“もみじ苑”から石段を7段降りれば滝の裏に濡れずに簡単に入れ、水しぶきも感じられます。裏側にはさらに清らかなオーラが満ちていますので訪れたらぜひ裏側をくぐってみてください。この滝のマイナスイオン量は袋田の滝の1.5倍あります。そして全国にはおよそ二十近い裏見の滝がありもみじ苑の主人が実地見聞し「滝のやさしさ度」調査結果(平成27年4月NHKテレビ朝イチで全国放映)で一位としたのです。
奥久慈県立自然公園に位置するV字形の美しい渓谷の中を流れる竜神川をせき止めた竜神ダムの上に平成6年に「竜神大吊橋」はかけられました。日本有数のつり橋である竜神峡にかかる約375mの歩行者専用のつり橋からは、渡橋料金は310円で、湖面からの高さ100mの空中散歩が楽しめ、V字谷の大パノラマが眺められます。
ガラス越しに下を覗けるポイントがスリル満点です。この吊橋は世界一の長さを誇る明石海峡大橋と同じ構造で、竜神峡の伝説の竜が天に昇るイメージをデザインした主塔が美しいです。写真奥の水色屋根の竜神カリオン(木精の鐘)では、愛・希望・幸福の3種類の澄んだ音色が竜神峡にこだまします。愛の鐘を二人で鳴らしたり永遠の愛に鍵をかけることができる“愛のパワースポット”ですよ。
竜神峡は、竜神川の浸食作用でできたV字型の渓谷で原生林が多く、竜のように屈曲した美しい景観です。古くは寛政年間(1791~7)「美ち艸」(雨宮端亭著)、文化7年(1810)『八溝紀行』(郡奉行入江正身著)に記され、竜が棲んでいたとされました。4月中旬から5月中旬にかけ「鯉のぼり祭り」が開催され、竜神峡に吹く爽快な春風に群泳する約1000匹の鯉のぼりは圧巻です。
竜神大吊橋では、2014年から始まった湖面までの高さ100mという日本最大級の「竜神バンジー」に挑戦できます。迫力とスリル満点!橋の中央からダイブして広大な景色を360度体感できるので、勇気のある方はぜひチャレンジしてみましょう。ちなみに一回の料金は16000円です。
ふわっと立ちのぼる香ばしい匂い、するするっとたぐるとその香りは一層強く感じられ、噛めば噛むほど甘みが口に広がってくる。これが玄そばの最高峰と誉れ高い「常陸秋そば」。そば食いなら誰もが憧れる絶品そばを心ゆくまで堪能したい。「常陸秋そば」とは、昭和53年(1978)に、県農業試験場が茨城を代表するブランドを作ろうと旧金砂郷町(現常陸太田市)赤土の在来種を選抜し3年あまりの歳月をかけて誕生させたのが始まりです。国道349号・茨城街道を南下した常陸太田市内の金砂郷、水府、里見の各地区は、山間地特有の昼夜の寒暖差が大きいため朝霧がたちやすく、山の斜面に開かれた畑は水はけが良いといいます。この土地の風土が良質なソバを生んだともいえ、良質なそばの産地として江戸時代から名高く、現在も盛んにそば栽培が続けられています。
719年に編纂された『常陸風土記』には、景行天皇の時代(4世紀頃)、日本武尊が東夷征伐の為にこの地を巡った際、丘陵の起伏があたかも鯨が洋上に浮遊している状に似ているので久自と名付けた。久自変じて久慈となり鯨ヶ岡となったといいます。このように古い歴史を持つ鯨ヶ丘は、阿武隈山地が徐々に標高を低くして関東平野に溶け込まんとする末端に位置し、東を里川、西には源氏川という両川に挟まれ、平安時代末から470年にわたってこの地方を治めていた佐竹氏の居城、太田城が築かれた伝統的な城下町でした。ところが佐竹氏は関ヶ原の戦いで徳川方につかなかったため、徳川幕府の命により秋田へ移封されてしまいました。以降この地は、水戸徳川家の支配下に置かれましたが、ここの繁栄の源はあくまで商業です。
鯨ヶ岡は水戸街道のさらに北へ向かう往還、水戸と福島を結ぶ棚倉街道と、日立の海から塩を運ぶ塩の道が交わる場所にあり、江戸時代には、久慈川や那珂川を伝って江戸まで往来する交易舟の米や塩など物資の集散地として栄えました。明治時代になると葉たばこの取引を中心とした問屋が軒を連ねるようになり、サトウスポーツのような葉たばこ問屋の建物も現存しています。今も塙坂と十王坂を東西に結ぶ路地の常夜灯には「通り塩町」の文字が刻まれています。
現在の町の造りは、高台上を平行して通じるそれぞれ一方通行の2本の目抜き通りを中心に、明治期以降の繁栄の名残を想像できる建物がいくつも建っています。そして鯨の背を伝い下りて平地に向かう昔風情の坂道が、大小7つ・・・。組まれた石垣が郷愁を誘う坂や、昔造りの土蔵家屋を視野に入れながら、下り往く先を望む坂。さらに石段を一段一段踏みしめて歩くと昭和風情を感じさせる坂と、どれもが個性ある情緒を残す坂です。十王坂を上がった中心部の通り国道293号、塩横町では石畳の道や古い店蔵など美しい風景と出会えますが、その通り沿いにあるのが「慈久庵 鯨荘 塩町館」で、威厳のある1887年築の旧太田銀行の白壁の建物。
そのレトロなムードな佇まいに惹かれて中に入ると、吹き抜けの開放的な空間、艶やかな柱、高い天井と、とてもフォトジェニックでスペシャルな空間です。穏やかな光が射す空間で食べれるのが、「慈久庵」の小川氏もとで修行した店主が打つ蕎麦です。
みずみずしく繊細に重なり合う粗挽きの蕎麦には、大小様々なホシが散りばめられ、口に含むと粗挽き感があります。噛むと軽く弾力があり、ふわっと立ちのぼる香ばしい匂い、さらにするするっとたぐるとその香りは一層強く感じられ、噛めば噛むほど甘みが口に広がってきます。これが玄そばの最高峰と誉れ高い「常陸秋そば」です。そしてもりつゆのカエシには、同じ地区内の1800年創業のヨネビシの醤油が使われています。水戸藩の御用蔵として製造を続け、1867年にはパリ万博に出品している老舗ですよ。
茨城県奥久慈は四季を通じて美しい風景が楽しめる所です。「袋田の滝」や「月待の滝」は、春には新緑、夏には水音がこだまし、秋には紅葉、冬には氷結の静寂さと、滝は四季それぞれ造形を織りなします。竜神大吊橋からのバンジージャンプでは、5月の鯉のぼり、夏のナイトバンジー、秋の紅葉、冬は雪を見ながらと楽しめます。また国道461号を常磐自動車道高萩IC方面に向かえば紅葉の名所「花貫渓谷」があり、11月には金砂郷地区で「常陸秋そばフェスティバル」が開催され、そば食いなら誰もが憧れる絶品そばをが心ゆくまで堪能できたりします。四季を彩るイベント満載の奥久慈に出かけてみてください。