神話や伝承が息づく奥日光の自然に接する戦場ヶ原ハイキング

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奥日光は半日で歩ける範囲に湖、森、草原、湿原、滝があり、変化に富んだ自然の魅力が詰まっています。そして神話や伝承が息づいているのも奥日光です。男体山の二荒神と赤城山(群馬県)の赤城神が、中禅寺湖を取り合って争った伝説『戦場ヶ原神戦譚』に由来するのが「戦場ヶ原」この戦いの勝負がついたところが「菖蒲ヶ浜」その祝いの宴を開いて歌い踊ったところが「歌ヶ浜」なのです。ここが戦場になったのは神話のなかでのこと。劣勢の二荒神が鹿島大明神に相談すると奥州の弓矢の名人である猿丸を紹介してくれました。赤城山の化身である大ムカデ軍と二荒神の化身の大蛇軍との戦いの最中、猿丸は二本の角を持つ大ムカデの目を射抜き、二荒神の勝利となったのだといいます。

そんな伝奥日光でも人気の戦場ヶ原ハイキングに出かけます。その前に中禅寺湖から戦場ヶ原に向かう途中にるのが奥日光の三名瀑の一つ「竜頭ノ滝」です。湯ノ湖から流れ出た湯川が、中禅寺湖に注ぐ手前にあり、男体山の噴火でできた階段状の溶岩を流れ落ちる全長約210m、落差60mの滝です。勝道上人の遺骨はこの滝の近くに分骨されたといわれています。名前の由来は、滝壺近くで水が大きな岩を挟んで2つに分かれるさまが竜の頭に似ていることからや、岩を縫って流れる様子が天に登る竜を思わせることなどからといわれています。

滝沿いには遊歩道が整備されていて、見るポイントで表情が変わります。滝壺は2本のヒゲ、中腹は顔、橋が架かる滝上は頭のようです。

下から滝上まで上がっていくか、国道120号上の竜頭の滝上バス停近くにも駐車場があり、そこに車を停めて下っていくかは自由です。国道に架かる橋の上から見る滝上の水の流れは、遠く中禅寺湖に流れていくのがよくわかります。

滝壺の目の前に「龍頭之茶屋」があり、滝壺へ落ちる水の流れを見ながらひと息つけます。天保8年(1837)刊の『日光山志』に記された地獄茶屋から続くのが龍頭ノ滝前の茶屋です。多くの人に安らぎを与えるという施無畏者(観音菩薩)の名をつけ参拝客に振る舞った施無畏だんご400円は、おぐらとみたらしがあり、だんごの柔らかさと甘みで疲れがほどけます。この少し上に駐車場があり、遊歩道に沿って岩肌を滑り落ちる湯川の流れを間近に見られます。

いよいよ「戦場ヶ原」ハイキングです。男体山の西麓、標高1400mの高地に広がるわが国有数の大規模な湿原で、平成17年(2005)11月、奥日光の湿原の一部としてラムサール条約に登録されました。男体山の噴火で湯川がせき止められ、土砂がたまってできた、太郎山、山王帽子山、三岳、大岳などの山々に囲まれた面積約190haの湿原には、ハイキングコースが整備され、赤沼から湯川沿いの穏やかな道を経て、開放的な湿原と木立に囲まれた道が続きます。平坦な木道が整備されていて気軽にハイキングがたのしめます。

今回は湯滝~戦場ヶ原を歩き赤沼を目指します。赤沼や湯滝に駐車場はありますが、県営赤沼駐車場が無料なのでこちらに停めてバスで出発地点の湯滝入口に向かいます。赤沼をスタート地点にすることもできますが、帰りのバスの心配をすることがないよう、こちらをゴールにします。

 

湯滝入口バス停で下車。5分ほど少し左手にそれたところがスタート地点の「湯滝」です。

標高1400m、湯ノ湖の南端にあり、滝壺の観瀑台から高さ110mから落ちる水の流れは滝が降りかかってくるような間近に見られ、溶岩流の岩壁を最大幅25mの末広がりに流れ落ちるさまは迫力満点です。滝沿いの階段を上がると70m滝の落ち口を見ることができます。

現在湯滝の左手からの入口は修理中でレストハウス左横から赤沼までの4.5kmを目指してゲートをくぐります。本来滝横の遊歩道を下れば、上から、横から、下からと、様々な角度から迫力ある水流を眺めることができます。

滝壺から続く湯川は、急流を造ることもなく森の中をゆっくり蛇行しながら流れ、森林浴を楽しみながら湯川沿いの木道を歩いていきます。早速、奥日光の変化に富んだ地形、周りは男体山や日光白根山などに囲まれた地形の妙に遭遇します。

10分程で最初のチェックポイント「小滝」です。

さらに30分ほど歩くと、光徳沼方面への分岐の先に小田代橋があり、

その先、木々の間から少しずつ見えてくるのが、静寂に包まれた澄んだ湧水の池「泉門池(いずみやどいけ)」です。池の周辺にはテーブルや椅子が整備されていてランチスポットにも最適です。

25分程小田代原分岐を過ぎて歩くと真新しくなった青木橋を渡ります。ここから眺める湯川の景色も素敵で、橋の袂にはベンチとテーブルもあり休憩できます。

橋を渡った先は木々に囲まれた森の中の道です。しかしなんとここで雨が激しくなってきたのです。雨具に着替えるも、ここから先の戦場ヶ原自然研究路で木道を赤沼まで約50分どしゃ降りの雨の中を歩くことに。おかげでそこかしこにある展望ポイントからは男体山も見えず、これは次回出直しです。本来ならば青木橋を過ぎると、林間から湿原へ出て視界が開け、男体山を背景に広がる湿原を写真撮影できるのですが。

道はやがて再び林間に入り、

赤沼分岐を経て国道120号を渡り赤沼(赤沼車庫)でゴールです。

今回は湯滝スタートの4.5kmのコースでしたが、湯ノ湖畔の奥日光湯元温泉にある日光湯元ビジターセンター(標高1480m)をスタート地点にして湯ノ湖東岸の遊歩道を約1.5㎞、40分ほど歩いて湯滝までを追加する約6kmのコースを歩くこともできます。

湯ノ湖は北東にある三岳の噴火によって湯川が堰き止められてできた標高1478mにある三方を山で囲まれた静かでどことなく神秘的な雰囲気が漂う湖です。周囲約3kmの湖畔には散策路もありますが、今回は滝上を見るだけに。それにしても硫黄臭が立ち込めています。

宿泊先である「光徳温泉 日光アストリアホテル」は窓に映る緑が目にまぶしいロッジ風のリゾートホテルです。

湯船には日光湯元温泉からの引き湯である光徳温泉が源泉かけ流しで満ちています。泉質は含硫黄ーカルシウム・ナトリウム硫酸塩・炭酸水素塩泉で白濁した硫黄の匂いにつつまれるにごり湯で、歩き疲れた体をじんわりと癒してくれます。浴後感はさらりとし、ほこほこに温まります。

6月上旬なら赤沼から低公害バスで西ノ湖方面から千手ヶ浜に咲くクリンソウを見に行くのも素敵です。           「奥日光フラワートレッキング!中禅寺湖千手浜でクリンソウ」はこちらhttps://wakuwakutrip.com/archives/4263

 

 

 

 

 

 

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