
月岡温泉をあとにして、今日は月岡温泉近隣の「ちょっとそこまで」ちか旅に出かけます。新発田市、阿賀野市、胎内市、聖篭町、村上市とめぐる月岡温泉からは車で1時間半ほどで行ける新潟県北部、阿賀北です。
まず最初に月岡温泉の西南に位置する阿賀野市へ向かいます。霊峰五頭山の麓に湧く3湯、出湯、今坂、村杉を「五頭温泉郷」と総称し、国民保養温泉地に指定されている開湯1200年の温泉地です。全国屈指のラジウム温泉で、中でも出湯は大同4年(809)弘法大師によって発見されたと伝えれています。そんな出湯温泉の温泉水100%と地元産フルーツから起こした天然酵母で作ったパンを買いに「出湯温泉パン工房」に。通常のパンよりも遥かに芳醇でもっちりとした食感です。因みに村杉温泉は建武2年(1335)、足利家の家臣・荒木正高が薬師如来のお告げで発見したと伝えられる「万病の湯」として愛されてきました。
続いて白鳥の飛来地で有名な「瓢湖」水きん公園へ。白鳥の飛来地として全国的に有名な瓢湖は、ラムサール条約登録湿地でもあります。毎年10月上旬に第一陣が訪れ、3月下旬まで滞在しています。11月下旬のピーク時には5000羽を超える白鳥が見られることもありそうですが、あいにくこの日訪れたのは午前中でしたが、お昼前後は周辺の田んぼへ食事に出かけているとのこと。白鳥を見るなら早朝か夕方がおすすめです。

隣接して「しょこら亭 瓢湖店」があります。和の食材とチョコレートを融合させた、新しいおいしさを追求するショコラティエ。古い民家を改装した店内には喫茶コーナーもあり、瓢湖水きん公園に佇む白鳥を眺めながらショコラやドリンクがいただけます。レトロな空間で「お箸」で食べるスタイルはちょっと驚きで新鮮です。

阿賀野最後は旅館の朝食にも出ていたヤスダヨーグルトの直営店「Y&Yガーデン」に。ヤスダヨーグルト工場敷地の道を挟んで向かいにヤスダヨーグルトショップとワッフルハウスの複合ショップがあります。ヨーグルトをはじめアイスクリームやスイーツ、パンやオリジナルグッズなどヤスダヨーグルトの全商品が揃います。緑豊かな心やすらぐ素敵なお庭もあり、濃厚なドリンクヨーグルトや発酵バターをぜいたくに使ったソフトクリーム片手にワイワイ楽しむことができます。

阿賀野エリアから北上し新発田を通過して胎内エリアへ。胎内川を見下ろす好立地に古城を思わせるような外観が印象的な温泉リゾートホテル「ロイヤル胎内パークホテル」があります。胎内市は新潟県産コシヒカリを原料とした米粉の名産地。その米粉を使った食パン「ロイヤルブレッド」が人気なのがこのホテル内のベーカリーコーナー「LORO」です。ずっしりと重みがあり、米粉ならではのモチモチ食感を存分に楽しめます。そのまま食べても美味しいですが、厚めにカットしてバタート-ストにすると耳もこんがりして絶品です。

内陸から海側に移動しどんな願い事も届く究極のパワースポット「乙宝寺」にむかいます。胎内市の海岸砂丘の林の中にある真言宗智山派のお寺「如意山 乙宝寺」は25000坪の境内に多くの伽藍が点在します。天平8年(736)に聖武天皇の勅願によって行基と婆羅門僧正によって建立されました。婆羅門僧正は日本に渡る前に中国の「甲地」にお釈迦様の右眼を、そしてこの地に左眼を納めたことからこの地を「乙地」とし、建立したお寺を乙寺と名付けました。

その後後白河院より宝の文字を一文字与えられ「乙宝寺」となりました。参道左手に池中の小島に建てられた江戸初期の寛文8年(1668)に再建されたと見られる「弁天堂」があります。外観は縦行3間、梁間2間、4柱造りで屋根は茅葺、堂内にある厨子は小規模ですが極彩色で施されています。

仁王門は延享2年(1745)に改修、奈良時代に創建された当時の金堂の古材を使用していて、西条(現胎内市)丹呉家寄進にまつわる伝説があります。仁王尊は行基の作です。

手水舎には新潟の名水100選の弘法清水が湧きます。弘法大師が独鈷で清水を出したという独鈷水で、当地ではなまって「どっこん水」と呼ばれる飯豊山より流れた胎内川の伏流水です。

三重塔は村上城主村上周防守忠勝の寄進により慶長19年(1614)起工し村上城主堀丹後守直奇の元和6年(1620)に完成しました。棟梁は近江守藤原吉正で周囲の老杉と調和して国重文としての風格があります。内外ともに装飾を省き簡素ですが、全体の形が荘重でしかも均衡が美しい純和風の三重塔姿です。

「乙宝寺」は桜の名所としても知られ、かの松尾芭蕉も奥の細道の帰路に寄った元禄2年(1689)「うらやまし 浮世の北の 山桜」という句を残しています。

きのと桜の並びに六角堂があります。釈迦の左眼を婆羅門僧正が納めた場所とされ、この御堂は結びの堂と呼ばれ、良縁成就の御利益があります。

乙宝寺の中心堂宇である大日堂(金堂)には中央に本尊の胎蔵界大日如来の他、右に阿弥陀如来、左に薬師如来の三尊が祀られています。またお寺の宝物殿にはお釈迦様の左眼とお猿さんの伝説の木皮経があります。乙宝寺の裏山に住む二匹の夫婦猿が写経の功徳により人間に生まれ変わったという伝説で「今昔物語」にでてくるお話です。

「血の池」伝説の由来は病が流行っていた頃、病で亡くなったたくさんの赤ちゃんを池に沈めていたそうで、その後3日間にわたって池全体が真っ赤な血の色に染まったということから「血の池」と呼ばれているとのこと。いつもは干からびているらしい。

乙宝寺の門前に店を構え、200余年にわたって参拝者に愛されてきた老舗店が「乙まんじゅうや」です。「乙(きのと)まんじゅう」は乙宝寺住職が製法を伝授した酒まんじゅうで、自家製のあんこをひとつひとつ手作業で包み、炭火でじっくりと糀ともち米を発酵させて蒸し上げる製法は当時のままです。

新潟の最北、村上の景勝地といえば国指定名勝天然記念物であり県立自然公園に指定されている山形県を目前にした紺碧の海が広がる風光明媚な海岸線「笹川流れ」です。村上市浜新保から寒川間の約11kmの海岸線をさし、絶好のドライブコースで、カーブを抜けるたびに海岸沿いには日本海の荒波によってできたアートでユニークな形の岩礁や洞窟が点在する変化に富む優れたダイナミックな海岸美を形づくっていて自然の造形美が楽しめます。そしてもう一つのお楽しみは、その恵みを活かした手作りの「塩」。伝統的な製法でじっくり丁寧に焚き上げ、えぐみがなくまろやかな味わいです。そんな笹川流れの途中にあるのが「Salt&Cafe」。その店名の由来は、隣接する「笹川流れ塩工房」。新潟で最も透明度が高い、笹川流れの海水を大量の薪でじっくり時間をかけて煮詰め、海の恵みいっぱいの塩を作っています。この天然塩を使ったメニューの数々が評判のカフェなのです。窓の外にはユニークな形の岩と青い海。水平線には粟島がぽっかりと浮かんでいます。

名物は、自家製塩をトッピングした海水と海水のエキスが凝縮された塩ソフトクリーム。そして素朴な味わいながら、ご飯のおいしさが存分に引き出された「塩むすび定食」です。笹の葉に塩おむすび2個と茹で半卵。別の笹にお漬物3種盛り、豆腐とみそ汁がついて900円、塩がとにかくうまい。そのほか、カレーなどのメニューが充実。窓一面に広がる青い海を眺めているとついつい長居をしてしまう居心地のよさで、ゆっくりのんびりすごせます。真下に波打ち際が迫るテラス席も大人気です。
