
北海道内人口の約3割が集中する北海道行政の中心地・札幌。北海道最大の都市、札幌は、大型商業施設が並ぶ札幌駅周辺、個性豊かなグルメやお土産のショップが並ぶ大通公園周辺、関東以北最大の歓楽街すすきの周辺の3エリアに大別されます。定番の観光地に加え北海道各地から旬の食材が集まる日本屈指のグルメタウン札幌には、さっぽろラーメン店、スープカレー店など北の名物グルメのお店が点在します。地下鉄は、札幌市内を南北に走る南北線と東西に走る豊栄線が走り、すすきのを中心とした西エリアには札幌市電が走る。なにはともあれスープカレーを食べて足取り軽く札幌観光に出かけます。
まずは昼食は、今札幌のグルメ界でもっともブレイクし、市内に200店以上あるといわれる札幌を代表するご当地グルメ・スープカレー店へ。スープカレーは、野菜や鶏、豚、魚介なぢから丹念にとったブイヨンに香辛料を加えたスパイシーなスープにライスを別皿で添えたもので、スープのおいしさを楽しむカレー。スープカリー奥芝商店 駅前創成寺店は、2006年創業以来、奥芝商店といえばエビスープといわれるほど。昨今のエビスープブームの火付け役といっても過言ではないそのスープは、エビ頭から丹念にうまみのみを抽出し、濃厚な味わいに。
注文したのは“おくし畑のスープカレー”を海老スープで辛さは普通をチョイス。トッピングはフライドガーリック、白米のレモン少々。素焼きした人参やじゃがいもなどの大ぶりな野菜がゴロっと入り食べ応えも十分。スパイスの効いた辛さが程よく、口の中に海老の風味が口に広がり全体にバランスがよい。
札幌観光のスタートは、札幌駅から北三条通りを南に徒歩7分ほどで現れる、北海道開拓期の赤レンガ建築の建物「北海道庁旧本庁舎」です。明治21年(1888)から新庁舎完成までの約80年にわたり、北海道行政の中心を担った北海道開拓時代のシンボルです。地上2階、地下1階、八角塔屋付の建物でアメリカ風ネオ・バロック様式の建築。外壁に白石村や月寒村などで製造したレンガ250万個を使用した煉瓦造洋風建築としては比較的規模の大きいもので、レンガ積はフランス積みが採用されています。
庁舎の特徴にひとつが、屋上に設けられたアメリカンスタイルの大ドーム「中央八角塔」です。初代長官が明治12年(1879)に焼失した開拓使札幌本庁舎を偲び設けられました。頂部までの高さは約33mあり、当初の設計になかったため、強風時の揺れや雨漏りから間もなく撤去されましたが、昭和43年(1968)の復元改修工事で外観を創建時に近づけることで復元されました。
入口正面の階段を飾る三連アーチの正面ホールは、鉄柱上部やアーチ中央の飾りほか、階段側面の円形模様(ロゼッタ)も美しい。この場所は明治4年(1909)の約11時間にも及ぶ火事の際、内部で焼け残ったものとされています。
1階は地域情報とにぎわいのフロアとして、道内179市町村の特産品・工芸品や魅力を展示、発信しています。
2階は歴史と文化のフロアとして、実際に歴代の長官や知事が使用していた執務室を再現。ほかの部屋とは異なる出入口や窓枠の造りにも注目です。
国道12号(北一条雁来通)に入って札幌駅前通を過ぎ、札幌時計台へ。札幌のシンボル「札幌市時計台」は、W・S・クラーク博士の提言により札幌農学校(元北海道大学)の演舞場として、明治11年(1878)に完成。明治14年(1881)鐘楼にアメリカのハワード時計会社製の振り子式の時計が設置され、運転開始から130余年と、現存するものでは国内最古の歴史を誇り、国の重要文化財に指定されています。当時は兵式訓練の授業や入学式・卒業式を行う中央講堂として使用されていました。
時計台は木造2階建て洋風建築で外壁は下見板張とし、装飾の少ない外観は「カーペンター・ゴシック」とも呼ばれています。北海道開拓を象徴する五稜星は時計台に全部で17個あります。5層構造の時計台が後から付けられました。
札幌駅前通に戻って街の中心を横切る憩いの場「大通公園」へ。札幌の中心部を東西に横切る全長約1.5㎞の緑地帯で、明治4年(1871)官地と民地を隔てる火防線として設けられたのが始まりで、街を区画する南北の起点となっています。92種類の樹木が植栽された園内には、きれいに手入れされた1~6丁目のボーダー花壇や噴水、全部で22点アート作品などが点在。そして公園を見守るかのように屹立するさっぽろテレビ塔が望めます。
さっぽろテレビ塔は高さ142.7mの札幌のシンボルタワー。大通公園の東端に位置し、地上90mの展望フロアからは、大通公園をはじめ市街360度のパノラマが一望できます。
地下鉄大通駅の大通り公園に面する複合ビル、大通BISSEの1階は、北海道&札幌の人気菓子店6店が集まるスイーツエリア「BISSE スイーツ」。なかでも洋菓子きのとやのKINOTOYAcafeでいただく極上牛乳ソフトは大人気。北海道産の新鮮な牛乳をベースに隠し味として北海道産マスカルポーネチーズを使用しています。口当たりの柔らかさは言うまでもなく、驚くほどにさっぱりと食べられます。ソフトクリームが溶けた先にマスカルポーネチーズのコクが顔を少し出すという感じで上品な味わいです。
函館市電とともに路面電車としては北海道遺産に登録されている札幌市電。その歴史は、明治42年(1909)の馬車鉄道から始まり、大正7年(1918)に札幌電気鉄道として開業。最盛期には総延長25km余りに路線がのびていましたが、札幌オリンピック開催を機に地下鉄が建設されると市電は続々廃止に。昭和49年(1974)には札幌駅から500mほど歩いた大通り公園の南、繁華街の西4丁目から西に向かってコの字状に延び、西4丁目の停留所からわずか400m南に離れていないすすきの停留所が終点になっていました。このようなコの字状の路線になったのは、地下鉄南北線開業後にさっぽろ~すすきの間と平行する市電が廃止されたためでした。写真の車両は8500形で後方に最新型のバリアフリー対応の低床車両・愛称「ポラリス」も。
しかしながら2012年には途切れていた区間約400mを復活させての市電ループ化が決定し、2015年12月、西4丁目ーすすきの間の狸小路停留所を新設のうえ市電路線が一続きになり、総延長8.9kmの運行となっています。
中島公園通停留所から徒歩5分の中島公園内に「豊平館」があります。北海道開拓の礎を築いた開拓使が、開拓使直営の洋風ホテルとして明治13年(1880)11月に建築し、現存する木造ホテルとしては日本最古の建物であるとともに明治、大正、昭和と3代にわたり天皇家が訪れた由緒ある建物です。建物全体はアメリカ風様式を基調としながら、正面玄関の円柱やひときわ目を引くバルコニーはヨーロッパ風様式です。白い外壁を鮮やかに縁取るウルトラマリン・ブルーが使用され、開拓使の建物であることを示す五稜星が飾られています。
地下鉄中島公園駅から南北線で札幌駅まで戻り、快速エアポート123号小樽行きに乗車です。札幌ラーメンやジンギスカンなどの定番グルメを満喫したり、少し足を延ばして、さっぽろ羊ヶ丘展望台や白い恋人パーク、もいわ山展望台といったところまで観光するのであれば1泊2日は必要です。