黒招き猫も。灯台巡りと海鮮グルメの房総半島海岸ドライブ

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房総半島の南端に近い千葉県館山市は、北海道を頭として日本列島を龍になぞらえると龍が玉を持つ爪の部分にあたります。東京湾という龍の宝珠をしっかりと持っていることから「つかんだ運は離さない」という御利益があります。房総半島のドライブですが、ただ走る走るだけでは面白くないので、太平洋側にある6つ灯台を大海原を旅する船のごとくつなぎながら走ることにします。もちろん金運を掴みためのパワースポットにグルメははずせません。金谷から館山までの二つ灯台、洲埼灯台と野島埼灯台を巡った房総ドライブ第2弾は黒招き猫の笠森観音から犬吠埼灯台を目指します。

圏央道市原鶴舞ICから大多喜街道(房総街道)を北上し、長南町へ、目指すは金運招福の黒招き猫「笠森観音」です。笠森観音は、正式名称を「大悲山 楠光院 笠森寺」と称し、延暦3年(784)伝教大師最澄上人が楠の霊木で十一面観世音菩薩を刻み山上に安置し、開基されたと伝わります。また「坂東三十三観音霊場」の第三十一番札所として古来より巡礼の霊場となっています。

駐車場から観音山に立つ観音堂境内へと続く参道は、笠森寺自然林として国の天然記念物に指定されていて、その木々の中を進みます。

樹齢千年以上ともいわれる巨木が林立する参道は、マイナスイオンが満ちるリフレッシュ空間です。15分ほどの道程ですが、途中には三本の杉の根元がひとつに繋がっている「三本杉」と名付けられた杉の巨木や

道に張り出す巨木で穴をくぐると子宝に恵まれるといまれる「子授楠」。男性から穴をくぐり、次に女性がくぐると子授けのご利益があるといい、モデルの梨花さんがお詣りして子宝を授かったことで有名になりました。

隣には優しいお顔の子授け観音が立ち、子授楠の根元の穴からちょうど覗けるように配置されています。

天和2年(1682)松尾芭蕉もこの観音堂に上ったといわれ、「五月雨に 此笠森をさしもぐさ」の句碑が建立されています。

風神雷神を祀る山門をくぐると正面に観音堂が見えてきます。

注目すべき観音堂は、長元元年(1028)後一条天皇の勅願により建立されたと伝わるがその後焼失、現在の建物の建立は桃山時代とのこと。その建築様式は日本唯一の「四方懸造」として国指定重要文化財となっています。山頂の巨岩の上に61本の柱で支えられた四方懸造という特異な構造のお堂は、棟高約34m、正面5間、側面4間で、中央を前後に仕切り、前半分が外棟、後半部を内陣としています。外陣は白木造りで、内陣には彩色が施され、堂の周囲は高欄のついた縁がめぐっています。

観音堂に至る木造の75段の階段を登る途中、岩上に建つ堂を下から支える柱が林立し、貫で互いに連結された見事な構成美を見ることができます。

回廊からは、四季それぞれに美しい房総の山々が眼下に眺められます。

千葉県の玉前神社から富士山を通り、出雲大社までを結ぶ御来光の道(レイライン)上にあることから関東でも有数のパワースポットであり、中でも注目を集めているのが「黒招き猫」です。様々な黒招き猫がありますが、金運と人を招くというペアの黒招き猫が人気。右手を上げているのが金運、左手を上げているのが人を招きます。キョトンとした眼差しがかわいらしい。

黒招き猫は、山門から境内に入ってすぐの「縁起屋 古壷」にあります。黒招さらのさらにパワーアップさせてくれるのが座布団です。金運の金色、招福と浄化の赤、緑は健康、ピンクは良縁結びと、色によって意味がかわります。大人気は赤と金色の2枚で2匹の黒招き猫を座布団に乗せておきます。

近くには黄金の象「吉ゾウ」くんで有名な長福寿寺もありますが、今回は招き猫を大事に抱え九十九里有料道路一宮ICへ。有料道路入ると、青々とした太平洋と砂浜が続く九十九里浜が望め、海沿いドライブの気分が高まります。ここまで来たら、新鮮な魚介類を網焼きで味わう名物の浜焼きは外せません。なかでも焼きはまぐりは今が旬ということで、有料道路からも見えたユニークな外観が目を引く不動堂IC近くの「いさりび食堂」に寄ります。TV東京「タクシー運転手さん一番うまい店に連れてって!」2021年12月1日放送で紹介されています。

元船大工の店主が造船所だった場所を改装し昭和55年(1980)に開業した船の形をしたインパクト大の人気店です。店内からは九十九里浜を一望でき、ハマグリはもちろん、銚子や房総などから仕入れる脂がのったいわし料理も味わえます。早速焼きはまぐりを注文。大粒のハマグリを網に載せ、待つことしばし、口が開いたらしょうゆダレをたらりとかけます。待ってましたとばかりに頬張ると、ぷっくりと膨らんだ身は適度な歯応えで、口の中に甘い汁と磯の香りが広がります。またにんにく醤油でいただくハマグリの刺身が絶品です。いわし寿司も是非。※人気店で予約ができないので1時間待ちは覚悟です。

海岸ドライブの再開です。まずは飯岡台地が断崖となって太平洋に落ち込む断崖絶壁が連なる屏風ヶ浦の南端・刑部岬に立つ飯岡灯台へ。水平線と九十九里浜が織り成す眺望は昼夜を問わず絶景です。

上永井公園内にあり、平成13年(2001)オープンした近くの飯岡刑部岬展望館~光と風~からの眺めは、美しく立ち昇る朝日が「日本の朝日百選」、名勝として選ばれた房総半島の彼方に沈む夕日が「日本の夕陽百選」、そして漁船と街の灯が演出する夜景までが「日本夜景遺産」と恋する時間をいちでも演出してくれるロマンティックなスポットです。平成30年(2018)6月には「恋する灯台プロジャクト」で飯岡灯台は「恋する灯台」に県内で初認定されました。カプルで夜景を見に行き、その時に明かりが「LOVE」の字に見えれば、そのカップルはうまくいくとの言い伝えがある。

九十九里の向こう、千葉県や神奈川県を越えた遥か先の夕日の中に、富士山が浮かび上がるダイヤモンド富士が撮影できることから近年カメラ愛好家の間で密かな人気で「関東の富士見百景」に選定されています。

飯岡灯台は昭和31年(1956)10月31日からの稼働で高さ9.8m、6つの灯台のなかでは一番小柄な灯台とは対照的に、目の前に広がる雄大な太平洋の風景は壮観で、また眼下に漁獲量千葉県2位の飯岡漁港を一望できる絶景です。

1993年岩井俊二監督の出世作となったドラマ・映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の重要な舞台となり、そのロケーションに感銘を受けた山崎貢監督のデビュー作「ジュブナイル(2000年公開)」などにも登場します。作品のモニュメントが灯台が良く見える場所に設置されていて、両側の柱の上に手をかざすと、ドラマ版の音楽を担当したアーティストREMEDIOSによる主題歌「FOREVER FRIENDS」のオルゴール曲が流れる仕組みになっています。

カップルで来るなら写真のようにモニュメントの正面に並び、手を繋いでそれぞれの柱に手をかざしてみてください。映画の世界を思い起こさせる美しいメロディが二人を包みます。

関東平野の最東端に突き出した銚子半島は、太古の昔に形成された固い岩盤から成ります。その海岸線を彩るのが、大地の隆起や海食が生んだ犬吠埼や屏風ヶ浦などの景勝地で銚子ジオパークに選定されています。伊能忠敬は銚子から見た富士山で測量の補正をしたといいます。

屏風ヶ浦は、下総台地が波で削られた高さ35mから60mの断崖絶壁が刑部岬から東隣の銚子市まで約10kmにわたって続いていて、イギリスのドーバー海峡の断崖にちなんで「東洋のドーバー」と呼ばれています。過去700年間で6kmの陸地が浸食され、かつて平安時代末期には、源義経家臣で四天王の一人、片岡常春の居城・佐貫城がありましたが、その城址は海中に没しています。飯岡漁港方面から刑部岬を目指すと断崖絶壁に出会えます。犬吠埼は1億2000年前にできた地層です。

国道126号で、最後は関東最東端の犬吠埼灯台にに向かいますが、その手前にある銚子電鉄・犬吠駅に立ち寄ります。銚子電気鉄道は、大正12年(1923)の開業。銚子から外川まで半島の丘陵地を結ぶ、わずか6.4km、10駅を19分で走るという日本で3番目の短さを誇るローカル線です。沿線随一の観光地。犬吠埼に近い犬吠駅は、他の駅に比べて同じ会社とは思えないほど明るくて立派なポルトガル風の駅舎です。

日本一早い初日の出が見られるスポットとしても有名な関東・銚子半島の最東端の犬吠埼。三方を海に囲まれた海食台地で、断崖絶壁の下に横たわる無数の岩礁で荒波は砕ける様は見応えがあります。東映映画のオープニングの岩礁に荒波がぶつかり砕け散る映像はまさしくここの映像です。※写真の三角岩の右隣あたり

荒波が中生代の砂岩で、昔は砥石を切り出していたところから石切鼻の名があります。この付近一帯は、小島、岩礁が多く、昔から海の難所と言われ、榎本武揚率いる幕府の軍艦美賀保が江戸から函館に回航する途中、ここの黒生の岩礁に乗り上げています。そのため江戸条約の8基、大阪条約の5基の中に入っていませんでしたが、航海安全のために非常に効果があることから明治7年(1874)イギリス人技師ブラントンの設計でつくられた高さ31m、レンガづくりの西洋式灯台が犬吠埼灯台です。

日本を代表する灯台のひとつで、世界の灯台100選、日本の灯台50選に選ばれていています。日本に5つしかない最大の第1等レンズを使用した第1等灯台で、煉瓦製の建造物としては青森の尻屋埼灯台に次ぐ第二位の高さです。「のぼれる灯台」こと参観灯台は全国に16基。そのうち、房総半島には野島埼とここ犬吠埼の2基があります。99段のらせん階段を登ると雄大な景色が広がります。

入口前にある白い郵便丸型ポストは、平成24年(2012)3月14日に灯台を管理する銚子海上保安部と銚子郵便局が協力し1960年製造の丸型ポストを白い犬吠埼灯台に因んで白く塗って設置されたものです。ホワイトデーに設置されたので「幸せを呼ぶポスト」とも言われています。

日本の灯台50選に選ばれている野島埼灯台、犬吠埼灯台以外にも洲埼、勝浦、「恋する灯台」認定の太東埼、飯岡の各灯台は隠れた存在ながら素晴らしい眺望が楽しめます。房総半島の灯台めぐりはあと2基、第三段計画中、TO BE CONTINUED

 

 

 

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