東の横綱アンコウ鍋も。ガルパンの聖地大洗磯前神社に詣でる

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関東を代表する鍋料理のひとつにアンコウ鍋があります。アンコウはグロテスクな風貌の深海魚ですが、その味は「西のフグ、東のアンコウ」と賞されるほど冬の味覚の大様です。とくに、“海のフォアグラ”ことあん肝(肝臓)が肥える11月から2月にかけてがもっとも美味しいとされています。かねてからの願望を叶えに旬を迎える絶品グルメを求めてアンコウの本場である茨城県大洗にでかけます。

大洗のもうひとつの目的が大洗海岸の人気スポット、「神磯の鳥居」。海岸に立つ鳥居で日の出の美しさが人気の撮影スポットです。鳥居が立つ海上の岩場は「神磯」と呼ばれ、1100余年前に大己貴命(大国主命)と少彦名命が降臨したと伝わる聖域です。空と海を背にした鳥居のたたずまいは神々しく、パワースポットとしても大人気。神磯の鳥居はゴツゴツとした岩礁にザザーン、ザザーンと当たって砕け散る白波の荒々しい波音と砂を洗う引き波のさらさらさら…というやさしい音とが交互に押し寄せ、耳に心地よく時間を忘れさせてくれます。水戸黄門こと水戸二代藩主徳川光圀も参拝の折に、「あらいその岩に砕けて散る月を一つになしてかへる波かな」とその景観を称えています。

神磯に降臨した2柱を祀るために創建されたのが大洗磯前神社です。斉衡3年(856)創建の由緒ある神社で徳川光圀の命で元禄3年(1690)に造営を始め、3代綱條公の享保15年(1730)に再興したと伝わります。その昔は海であった道路を挟んで反対側の二の鳥居をくぐります。扁額「大洗磯前神社」は有栖川宮熾仁親王の書。

91段のちょっと急な階段をのぼります。アニメ「ガールズ&パンツァー」でⅣ号戦車が駆け下っていった階段で、聖地巡礼の定番スポットです。

三の鳥居をくぐるとその奥に神域の守り神である随神様が両脇にいる随神門があります。門をよく見るとご祭神に関係が深いウサギや動物、植物等細かい彫刻を見ることができます。部品を組み立てたのではなく、一本の木から彫り上げた「透かし彫り」です。両脇に控える茶色の狛犬は石造りではなく陶器(備前焼)でできています。開運で西から物資を運んだ人々が、大洗に立ち寄った印に奉納されたとのこと。同じ狛犬が常盤神社にも奉納されています。

その脇には福の神さまとして大国様とえびす様の木彫りが置いてあり撫でて福を分けてもらいます。

桁行5間、梁間2間で向拝1間付きの入母屋造です。随身門、拝殿、そして奥にある本殿はすべて海に向かって建てられています。そのため、朝日が昇るにつれて、社殿の影が取り払われ、黄金色に輝いていきます。参拝を済ますと自分自身の心にも光が差したようで清々しい気持ちになります。ご祭神は医薬・よみがえりの神様なので、体や気持ちが再生されるご神徳を授かったのかもしれません。

拝殿前にはカエルが三匹寄り添っています。「無事カエル」「物がかえってくる」「欲しいものがかえる」といろいろご利益があるかもしれません。

正面の赤い柱が目を引く拝殿ですが、欄間に14の彫刻があります。もともと拝殿は長方形の形をしていましたが、増築を繰り返され今の形(凸型)になり、外から見ることができるのは10枚になてしまいました。御祈祷等で拝殿に上がられた方だけが残りの4枚も見ることができます。どの欄間も鳥と植物が彫られていますが、なぜか一枚だけ鳥がいません。どこかに飛びたっていったという話もありますが、探してみるのもいいですよ。

拝殿の後ろには今では、なかなか見ることのできない茅葺屋根の本殿が厳かに佇んでいます。まさしく神様がご鎮座されているかのような雰囲気ですが、御神体である二つの石が納められています。水戸光圀公によって再建されましたが、戦国時代の戦で焼失してしまったために江戸時代初期までは小さな祠があるだけでした。塀越しに江戸時代初期の神社建築の工法を見ることができます。本殿を取り囲む塀の石積みには細かい網目模様の細工が施されていますが、江戸初期の石工さんお仕事です。

今晩の食事は大洗での「あんこう鍋」を予約しており、先に今晩の宿泊ホテル「チサンインなかみなと」にチェックインしておき大洗に向かいます。海水浴やマリンレジャー、そして北海道の苫小牧港へと向かうカーフェリーターミナルで知られる海の町大洗。ところが一歩路地裏へと踏み込むとそこには東京の下町に似た懐かしさを感じさせる風景があります。

鹿島臨海鉄道(大洗鹿島線)の「大洗駅」に鉄印をいただきに寄ります。茨城県の南東部、鹿行地域の海沿いの台地中央部を貫きく鹿島臨海鉄道は、旧国鉄路線として着工されていた大洗鹿島線を引き継ぎ昭和60年(1985)に開業しました。水戸駅から鹿島サッカースタジアム駅に至る総延長53kmのローカル線で、沿線には15の駅がありますが観光客でにぎわうのが大洗駅です。鉄印は第三セクター鉄道のしかも特定駅でしか手に入れられない代物でここ大洗駅売店で取得できます。神社の御朱印をイメージして考案された鉄印は、毛筆体の文字と赤色の社章をかすれさせた御朱印らしさを演出しています。アニメの中では大洗女子学園の生徒が利用してる駅です。

大洗港と大洗駅に挟まれた地域の路地裏は道幅も狭く東京の下町のような風情が残り、大洗でしか食べれないローカル駄菓子系オヤツ「みつだんご」が存在します。ほとんどのお店がこじんまりとしていて見つけにくいのですが探検気分で探してみると、見つかりました、水戸信金や大進という蕎麦屋さんの向かい「たかはし」というお店です。店によって味は違うもののみつがかなり甘めなのは同じとのこと。3個串ざしにされたみつだんごは、小麦粉を練ったもっちりとした団子の中にみつが入り、きなこをまぶした一本60円という超格安の懐かし系オヤツです。ガルパンの人気キャラ五十鈴華の好物としてたびたび登場しています。

ちょうど17時の予約時間に近づいたので、お目当ての大洗の冬の味覚あんこう鍋のお店「味ごよみ宮田」に向かいます。アニメ中にも大洗女子学園の生徒達があんこうのコスプレをして踊る「あんこう踊り」を披露するシーンがあり、茨城の名産です。

とろりくにゃりぶるんと、歯ごたえがあるようでない頼りない食感。なのにコクがあって豊か、味に品があるアンコウは、“海のフォアグラ”ことあん肝が肥える11月から梅が咲く2月ころまでが旬です。グロテスクな風貌の深海魚ですが“東のアンコウ、西のフグ”といわれるように、そもそも味は絶品の冬の味覚の王様アンコウ。全国で水揚げされるが、北の冷たい海に生息するアンコウほど身が締まり味も良くなることから、親潮と黒潮がぶつかる常磐沖は、魚の餌となるプランクトンが多く発生する豊かな漁場で、特に茨城以北でとれるものは“常磐モノ”世呼ばれています。江戸川柳「あんこうは唇ばかり残るなり」そのままに、頭と骨以外はすべて食べられるというほどムダがないアンコウは、でっぷりと肥大した肝をはじめ、アンコウの七つ道具といわれるヒレ・エラ・肝・身・胃袋・皮・ヌノ(卵巣)に解体され、豪快に鍋で煮込まれます。アンコウ鍋を食べる際にも「これがヌノ、これがエラだな」と判別しながら食べることで、ぐっと楽しみが増します。

宮田のあんこう鍋は「どぶ汁」をベースとした肝味噌仕立てのスープです。煮立った鍋をさっそく頬張ると、身から染み出ただしが濃厚に口に広がり、ねっとりとしたあん肝、コリコリの皮、プルンとしたゼラチン質のエラや淡泊な味だが柔らかくホクホクの白身が旨い。またアンコウは身よりも、それ以外の部分をしゃぶるほうが二味も三味もまさる。〆の雑炊まで一気に平らげてしまいます。

アンコウ鍋に必ずセットされるのがアンコウの供酢です。ゆでた身をあん肝と酢味噌であえたタレにつけて食べる郷土料理です。他にもアンコウの刺身と本日の刺身(ハマチ・カツオ・タイ)、アンコウの唐揚げがついています。

水戸と大洗は鉄道で15分、車で30分程度の距離。水戸で梅まつりを楽しんだあとは、大洗であんこう鍋や鹿島灘はまぐりを味わうのがおすすめです。早春の茨城で美しい花景色を眺め、心に花を咲かせた後は、おいしい海の幸に舌鼓、満足感たっぷりの茨城の旅になります。

ふくいくたる花と文化の薫る梅の香りに包まれる早春の水戸へ」はこちらhttps://wakuwakutrip.com/archives/5834

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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