「出羽三山」月山に登山も!月山神社本宮に参拝し前世を祈る

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月山は標高1984m、世界でも珍しいアスピーデ型の火山で、出羽三山の主峰として秀麗な姿で聳え立っています。「どんな山でも頂上のあたりはいくらか鋭く立っているものだが、月山にはそれがない」と書いたのは「日本百名山」の深田久弥です。また作家の森敦は、芥川賞受賞作の『月山』で、この霊峰が、伏せた石の姿にたとえられることを書いています。その美しい姿は、眺める場所によって大きく違って見えます。鶴岡や山形から、つまり、東西方向から仰ぎ見ると、月山は南北に穏やかな稜線を描いて見えますが、一方で東西の斜面はより険しい。そんな地形が月山の自然を特別なものにしています。月山は日本でも有数の雪の多い山で、日本海の水蒸気をたっぷり含んだ冬の季節風は、直に吹き付けて大量の雪を降らせる。その為雪に弱い針葉樹の高木は育たないので、ブナの森の上はいきなり高山の表情を見せる。雪の積り具合も、稜線の西と東とでは大違いで、強い風にさらされる西側は雪があまり積もらないのに対して、稜線を越えて風が落ち込む東斜面には、雪が吹きだまる。そのため西斜面は乾き気味で、東斜面は湿潤になる。それは高山植物の性質を見ても明らかで、稜線を中心に、西は乾性、稜線は中世、東は湿性と、見事にすみ分けているとのこと。なだらかな稜線に百花繚乱の花畑が続く月山には、6月から9月初めにかけて咲く高山植物の数は、350種以上になるといいます。「まるで極楽浄土のような」と形容される月山の花の道は、長い時間と絶妙の自然環境がつくり上げた、時と風の贈り物なのです。そんな花の百名山でもある霊山・月山の生命エネルギーを全身に浴びるため月山を目指します。

月山」を目指すコースは、湯殿山から登るという方法もあるのですが、簡単にアプローチできるのが、鶴岡市方面からのアクセスによる羽黒町からのコースと山形市からのアクセスによる西川町姥沢からの月山ペアリフトコースの2コースです。短時間で頂上を目指せ、高畠から行くにも近いのが月山ペアリフトコースなのですが、今回選んだのは、たくさんの高山植物が楽しみながらお花畑の道を歩ける羽黒町からの月山北側・八合目の弥陀ヶ原湿原から登るコースにしました。月山で最もやさしい登山道のスタート地点となる弥陀ヶ原湿原(八合目)まで車で上っていくことができます。ここから山頂までの距離は約5km、時間にして片道2時間半から3時間程です。

登山道の入り口は、駐車場のわきの月山レストハウス裏にある。まずはそこから湿原を一周できる木道を歩きます。標高1400m前後にある弥陀ヶ原湿原は、傾斜がなだらかな湿原地帯で、古来“秘所”の名で呼ばれ、その眺めは神々の「御田」にもたとえられた神秘の湖沼「いろは48沼」といわれる、湿原の中に大小さまざまな池塘が散らばっています。高冷地のため枯れ草が腐ることなく数万年もの間積む重なってできた泥炭層の湿原には、湿性植物の宝庫で80種以上の湿原植物が生育し、この時期はタチキボウシやキンコウカが見れる。天空に広がる碧のオアシスのようなここにはミニ尾瀬といったふうの約2Kmの木道を、40分程度でゆっくり楽しんで一周することができ、木道をたどるだけでも高山気分を満喫できます。山頂を目指すため一周はせず、視界が開けた登山道を進んでいきます。

開山期間の短い月山は、難所が多いことで知られ、自分の足で登った修験者が、突如として現れる極楽浄土さながらの美しい景色を目にした時、過去世、死の世界を感じたといいます。すぐに小さな上り坂(無量坂)があり、振り返れば湿原や沼を見渡す雄大な風景が目に飛び込む。

この一帯で左手に見える大きな雪渓は、その周辺に生息する雪田植生や湿性植物の格好の観察地で雪の近くからチングルマ等が見れる。

最初のピークである一の岳の斜面を横切ると、やがてハイマツが現われる。その辺りが畳石である。一の岳と仏生池の中間点で、強い西風が絶えず吹き付ける乾燥した風衝地であり、乾燥した場所に生えるミヤマトウキやミヤマキンバイが見れた。さらに二の岳の裾野を進み、仏生池小屋に到着である。

仏生池は標高1758M、登山コースの丁度中間点で、ここまで一時半なのである。山小屋の後ろにそびえる山が、一見山頂のように見えることから「オモワシ山」というユニークな名前がついている。

仏生池小屋のわきを抜けると、標高1800m辺りで唯一の急な上り坂である「行者返し」があります。といっても高低差は15mほどで、伝説によるとここで修験道の開祖、役行者小角が、足を滑らせて月山大神からまだ修行が足らぬといわれ、引き返させられたという所です。

このあとモックラ坂という石が綺麗に敷かれた坂を登る。

坂を登り切ると再びなだらかな草原が続き、やがて一番のみどころの360度の大パノラマが広がるお花畑に出ます。ここが大峯で鳥海山や朝日連峰も見渡せるベストビューポイントで、ハクサンフウロ、キオン、シラネアオイ等が咲き誇る。大峯を過ぎれば頂上まであと約300mほどで、左手に月見ヶ原の雪渓を見降ろしつつ登山道を歩けば10分ほどで月山の頂上に到着します。

容姿が美しく、古くから信仰あつい月山では、死後の安楽と往生を祈る、過去の世界とされる山です。頂上は台地になっていて、山頂のピラミッド形に隆起した見上げる場所に月山神社本宮が鎮座し、周囲を石垣で囲んで冷たい季節風を避ける造りとなっています。かつて「御室」と呼ばれた月山神社本宮には、海上の守護神でもある月読命が祀られています。参拝料500円を払い、お祓いを受けてお参りすると登拝認定書がいただけます。出羽三山の主峰である月山からは、峰に連なる湯殿山、羽黒山や遠く鳥海山も見渡すことができます。月山巡拝のことを芭蕉は「雪の峰 幾つ崩れて 月の山」と詠んでいます。

 

湿った東斜面の黒土に向かって座ると白くて大きな湿原植物のコバイケイソウが一面生えているのに対して、乾いた岩場の西斜面には。ミネズオウやツガザクラなどの高山植物が咲いています。

月山山頂を表すものとしては一等三角点が月山神社とは別にあり、手前から登れるようになっていた。

さて来た道を戻り、湿原まで戻ってきたところから月山旧参道沿い、月山中ノ宮御田ヶ原参籠所を経由して駐車場まで戻ることにした。御田原神社の隣に建つ参籠所は、登山客の宿泊施設ですが休憩所としても活用されています。ここからは10分で月山レストハウスに戻れます。

「出羽三山」羽黒山を登る!出羽三社神社に参拝し現世を祈る」はこちらhttps://wakuwakutrip.com/archives/4199

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