日本三大薬湯の名泉をかけ流しで楽しむ「ひなの宿 ちとせ」

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新潟県と長野県境、里山にのびやかに連なる棚田と木漏れ日きらめくブナ林といった自然と人の営みが心地よく共存する日本の原風景ようだと言われる場所にひっそりと湧く“松之山温泉”。有馬、草津に並ぶ日本三大薬湯のひとつで、はるか南北朝の時代に、一羽の傷付いた鷹が羽を休めているのをきこりが見たという伝説や上杉家の隠し湯であったという文献が残る700年の歴史を持つ古い温泉です。10軒ほどの湯宿が、肩を寄せ合うように並び、無頼派の坂口安吾もたびたび訪れ、松之山を舞台にした作品も残しています。新芽の春、そして青々とした新緑の夏、雪景色に包まれる冬と季節ごとにさまざまな表情を楽しめます。森林浴で心を休めたあと、温泉入浴で体を癒す。そんな楽しみ方がふさわしい松之山温泉に浸ります。

散策で疲れた体は、薬湯で癒したい。学説によると松之山温泉は、地殻の隆起運動によって地中に閉じ込められた800万年とも1200万年前ともいわれる太古の化石海水が、マグマに温められガス・石油・湯に分離したのち、蓄えられた高温の湯が地層の断裂を通じて時を超えて源泉として湧き出している化石海水温泉といわれています。地球というゆりかごでゆっくり、ゆっくり育まれた湯での湯浴みは地球のロマンというものを肌で感じさせてくれます。ほかの温泉ではちょっと考えられないスケール感です。熱い湯に浸かり、古代の地球との逢瀬をじっくりと楽しみたいものです。塩分濃度が高く、ぬるりとした肌あたりで湯冷めしにくく、長くぽかぽかする。ホウ素、ホウ酸が多く含まれ、殺菌効果があるとされ、傷にも効くといいます。またメタケイ酸を多く含み保湿効果が高く、弱アルカリ性で“美肌の湯”としても注目されています。

松之山の「食」も楽しみ。魚沼産のコシヒカリはもちろん、地元産のキノコや山菜を使った滋味豊かな山の料理が味わえる。「湯治豚」も見逃せません。新潟県の十日町と津南町を合わせた地域を妻有と呼び、10農場が連携して抗生物質を使わずに育てる地元のブランド豚「妻有ポーク」の中でも最高峰とされる熟成肉「越乃紅」を源泉で真空パックに入れ、松之山温泉の源泉につけて約3時間、じっくり低温調理ならぬ“湯治”をすることに。お肉は美しいロゼ色、水分をたっぷりと含み、プルプルとしっとり柔らかく、口に入れると脂がとろけ、実にうまい。また24時間源泉につけて作る「湯治卵」も登場。大地の恵みを活かした「温泉グルメ」を堪能したい。

そんな“湯”と“食”を味わいたく、日帰りお食事プランのある「ひなの宿 千歳」を訪れます。山里であったり棚田であったり、日本人が懐かしいと感じるものを大切にする雪国の宿。この地に湧く7つの源泉の中でも歴史が古い「鷹の湯」に浸ることができます。お風呂は全部で4つ。露天風呂「月見の湯」(男女交代制)、露天風呂(ほんやらの湯)(男女別)、内湯「ほんやらの湯」(男女別)、貸切風呂「古代檜」。ほんやらの湯内湯のみ循環式ですが、その他のお風呂はかけ流しとなっています。

魚沼地方に伝わる豊作祈願の伝統行事「ほんやら洞」から名付けられた「ほんやらの湯」は、開放的な「露天風呂」と広い湯船の「内湯」を備えた男女別の大浴場です。露天風呂は「源泉掛け流し」、内湯は「新湯注入循環方式」となっております。

内湯と続いている露天風呂(ほんやらの湯)(男女別)

なかでもこの宿の名物は、裏山の中腹の斜面に造られた東屋風露天風呂「月見の湯」です。

湯舟はあつ湯とぬる湯に仕切られております。マグマに熱せられた熱い湯を満々とたたえた開放的な湯船にどっぷりつかると、夏草のにおいが心地いい。木製の枕に頭を預け手足を湯の中で開放すると、ふわ~と心地よい浮遊感を覚えます。それもそのはず、戦前はこの湯から食用の塩を作ったというほど塩分が濃いのです。殺菌作用が高いというのもうなずけます。

この温泉を宿泊しなくても利用できるのが「温泉&ランチプラン」です。ハンドタオル付きで「月見風呂」と「ほんやらの湯」が利用でき、食事処でのランチも楽しめるもので、ランチ料金+1000円で利用できるのです※温泉のみの利用はできません。食事処「松之山郷」では、壁で仕切られたお部屋でゆったりと食事を楽しむことができます。

お目当ての「月見の湯」は、男女入れ替え制となっていて(女湯 6:30〜12:00 → 男湯 13:00〜18:30 →女湯 19:00〜23:00)。夫婦で訪れると月見の湯にどちらが入浴するかで、温泉が先か食事が先かで悩ましいことになりますが、今回は先ずは食事からということでランチメニューから湯治豚重定1500円をいただきます。妻有ポークをじっくり湯治させたお肉は、ほんおりピンク色で柔らかく、ジューシーなお肉とはこういうことを言うのでしょうか。また湯治豚をよく引き立ててくれているのが、地元・松之山の棚田米。近くの光間という地区にある自家製の棚田米のコシヒカリはふっくらとつややかで、お肉の適度な脂身と甘めのたれとが口の中で溶け合います。

湯治豚丼定食も濃厚な豚肉と日本一のブランド米の組み合わせは最強です。

ナトリウム豊富な湯に浸かった体はいつまでも温もっていて、湯上りの散歩には「安吾の散歩道」がおすすめです。この道は昭和初期、松之山町を頻繁に訪れていた作家・坂口安吾が散歩していた道。一周約8.6kmとやや長いですが、温泉街を起点に、里山ののどかな風景を一巡することができます。温泉街のはずれにある「湯やぐら」では湯煙を上げて自噴する源泉が見られます。

日帰り温泉施設としては、自噴する鷹の湯源泉を使用する松之山温泉街の中心地にある十日町市営の日帰り温泉施設「松之山温泉センター鷹の湯」、中心街から少しはずれ、松之山温泉の泉源のひとつ「湯坂温泉」を使用する「ナステビュウ湯の山」そして旧松代町(現十日町市)の小高い丘の上にあり、松之山郷と呼ばれた豪雪地帯の山里を眼下に、上越国境の山々も眺望する絶景の露天風呂がある「まつだい芝峠温泉 雲海」(宿泊可)があります。

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