神奈川県西部に位置する「箱根」は、全国第5位の温泉湧出量を誇る国内屈指の温泉地です。箱根には17つの温泉「箱根十七湯」と呼ばれる多彩な温泉があります。江戸時代から存在した「箱根七湯」に明治から昭和にかけての温泉開発により湧き出た10の温泉を加え、「箱根十七湯」が誕生しました。杉並木を抜けるとキラキラと輝く芦ノ湖、その先には白く冬化粧した富士山と、日本人のみならず世界中から愛される温泉リゾート、箱根の旅へ。
箱根温泉の歴史は古く、伝承では奈良時代に湯本が開湯したちいわれ、鎌倉時代には湯治場として利用され始めていたことがわかっています。しかしながら温泉観光地としての箱根の歴史が始まるのは、「箱根七湯」と称された江戸時代に始まり、湯本、塔ノ沢、堂ヶ島、宮ノ下、底倉、木賀、芦之湯のことです。江戸を中心に関東一円から湯治客を集め、更に江戸時代後期には、お伊勢参りや冨士講などを理由とする庶民の旅が盛んになると、箱根は湯治場から温泉と名所旧跡巡りを愉しむ「温泉観光地」へと発展していきます。
箱根外輪山の最高峰、足柄山の金太郎で有名な金時山を北に望み、火打石岳や長尾峠の山麓に広がる標高700mの高原にある仙石原温泉は「元湯場」「俵石」「仙石」「下湯場」「上湯場」の5つの湯の総称した温泉地です。2万年前は火山のカルデラ湖だったといいます。西欧型リゾートとして発展し、草原のなかに旅館やホテル、美術館、保養所などが点在します。大涌谷からの引き湯によって始まり、湯治場として発展してきました。火口原である高原地域にあり、噴気孔からの引き湯を活用している現在の仙石原温泉のお湯は、白濁の濁り湯でカルシウム-硫酸塩泉の優しいお湯が肌を包み込み、入浴後はスベスベになる美人の湯です。
「Japan Brand Collection」にも選ばれている『箱根湯宿 然-ZEN-』は、箱根ロープウェイの姥子駅からほど近く、富士を望む仙石原の別荘地に溶け込むように佇む大人のための隠れ家です。
木々の中に溶け込むように建つ施設は落ち着いた和モダンな玄関口からテラスを供えたロビー兼ラウンジに通されます。
チェックインは15時からで翌朝11時まで滞在できます。ロビー兼ラウンジでウェルカムドリンク(※スパークリングワインを選択)とチョコをいただきながらチェックインの手続きを済ませます。テラスを供えたロビー兼カフェ&バー「SORA」では、箱根の大自然を眺めながら良質な豆を使ったコーヒーや各種ドリンクがいただけ、夜のバータイムには、ブランデーやウィスキーを愉しみながら静かに流れる時間が過ごせます。
華美になりすぎず、モダンで落ち着いた雰囲気にまとめられた9つの客室は富士山と外輪山を望む部屋(通路左手)と、森の静けさを感じる部屋(通路右手)とに分かれ、1部屋に2名から4名の宿泊が可能です。今回は3階、富士山・外輪山側の和洋室「琥珀」に宿泊です。
ゆったりとしたツインベッド(セミダブル仕様)とごろりと寛げる広々とした小上がりの畳の間を供えたお部屋です。
大浴場はなく全室に半露天風呂が備えられ、美人の湯として名高い箱根の名湯・強羅温泉から24時間かけ流しの湯が引かれ、檜の湯舟が満たされています。プライベートな空間と檜の清々しい香りの包まれながら、好きな時にいつでも心ゆくまで極上の湯浴みを楽しむことができます。
露天風呂の傍にはリクライニングチェアがあり、火照った身体をクールダウンさせることができ“整う”が体験できます。お風呂はガラス張りで部屋から見ることができますが部屋側にブラインドカーテンがあるので女性は入る前に隠すことができます。
夕食も朝食も個室ダイニング「ぜん」で他のお客を気にせずゆっくりと食事を楽しめます。夕食には相模湾や駿河湾で水揚げされた新鮮な魚介類に、箱根西麓野菜や西湘野菜といった箱根ならではの旬の食材をふんだんに取り入れた料理長・小松崎成彦氏渾身の創作懐石「錦秋の宴」が提供されます。
食前酒の曽我梅林の梅酒で乾杯したあと先付けは舞茸、占地(しめじ)、榎茸、水菜、楚蟹の錦秋和え。
前菜はいくらの醤油漬け、秋味塩焼き、半熟燻製卵、松茸寿司、揚げ銀杏、紅葉いかで燻製卵は口の中に燻製の良い香りが広がります。
椀物は松茸、鯛、海老、銀杏、三つ葉の入った土瓶蒸しで秋といえば松茸が嬉しいです。
お造りは沼津港よりの三種盛り(鱸、金目鯛、鮪)で通常の醤油と系列の「燻製工房然」で作られた自家製燻製した九州系の醤油の二通りで楽しみました。少し甘みのある燻製醤油が魚の旨味を引き立ててくれます。
焼物は名物の焼き林檎、帆立、白ソース入りでりんご丸々一個使ったグラタンです。林檎の品種はその時々で違うらしく今回は長野市村山・藤巻農園の“あいかの香り”でした。スプーンですくって食べた後はナイフとフォークで器のりんごをいただき完食します。
煮物は鱸の 時雨煮に焼き茄子、小松菜、里芋含め煮、紅葉麩を添えています。
皿鉢は和牛ローストと本日のお野菜
酢の物は銀鱈 紅葉山 酢味噌
食事は福島県産コシヒカリ 赤だしと香の物で最後の水菓子は柿、有の実(梨)、シャインマスカットでした。
夜食にいなり寿司の入った手提げ弁当箱を持って客室に戻ります。
朝食も個室ダイニング「ぜん」ですが夕食時とは違う外輪山を望む窓側の個室でいただきます。
色とりどりの小鉢に入れた山菜や海の幸が盛り込まれた「花かご御前」です。焼き魚は、鯖、鯵、えぼ鯛の干物の3種類からお好みで選べます。
ベーコンでダシに深みを添えたつゆにくぐらしていただく野菜しゃぶしゃぶは昨日の胃の疲れを優しくいたわってくれます。
大人のために用意された上質な空間で、贅沢な時間が満喫できます。