福島「あぶくま洞」は一滴の地下水が織り成す大自然のアート

※この記事で紹介する内容にはPR・広告が含まれています。

「日本にはもう秘境はないと」と誰かが言ったけれど、それは地上のことであって、洞窟には想像を超える世界が広がっています。「素晴らしいだろう!だがこの先きっと、まだまだ素晴らしいものを見ることになるぞ、さあ進もう、進もう」鍾乳石の覆われた洞窟に入るなり「素晴らしい!」と叫んだハンス少年を、鉱物学者であるリーデンブロック教授はさらに鼓舞した。SFの父、ジュール・ヴェルスによる『地底旅行』の一幕です。洞窟は地球に残された数少ないフロンティアの一つ。まだ見ぬ地球の裏側へ、洞窟という未知なる世界を覗いてみたく、新たな発見に出会える「あぶくま洞」に出かけます。

あぶくま洞駐車場脇には、海抜641m、切羽の高さ140mの石灰岩の岩壁(露頭)「旧切羽」があります。ここはかつての釜山採石場で石灰岩の採掘がおこなわれていましたが昭和44年(1969)次の採石場を求めて山をダイナマイトで爆破した作業員が偶然みつけました。あぶくま洞が発見されて操業を停止していますがこの中にあぶくま洞があるのです。

入口前の広場には田村市(旧滝根町)のマスコットキャラクター「オリオンちゃん」の像を過ぎると6月中旬から7月初旬にかけてラベンダー園が開園され、眼下に見下ろす場所が恋人の聖地に認定されています。

8000万年の時間をかけて造られた大自然の造形美をもつ全長約600mの鍾乳洞、「あぶくま洞」は昭和44年(1969)石灰石の採石中に発見されました。公開されているルートの奥に、まだ2500m以上も続く未公開部分があります。洞内には、天井から大きく下がる鍾乳石や床下からタケノコのように堆積してできる石筍など千変万化の神秘の世界が続いています。したたり落ちる地下水が自らの浸食作用によって創りあげる様々な造形美にはそれぞれに名前が付けられ、魅了します。見学コースは2コースで「一般コース1200円」は約600m約40分と追加料金200円で「探検コース」一般コース+120m10分とありますが、断然探検コースです。狭いところではかがんだり、飛び石を渡ったりとスリル満点の冒険気分が味わえます。

発券所から鍾乳洞入口までは屋根付きの遊歩道を進みます。コース場には階段が全部で300段ほどあり、動きやすい服装が必要です。また洞内は年間通して15度程度なので羽織るものが一枚あるといいです。

あぶくま洞の概要が書かれた説明版のある若人の窟から少し奥に進むんで階段を下ります。

不思議な岩「妖怪の塔」。変化に富んだ鍾乳石の表情が妖怪のように見えます。光に照らされるとその印象がいっそう際立ちます。

さらに進むと「白磁の滝」という鍾乳石。ライトに照らされた表面は白くて滑らかな陶磁器のようです。結晶化して間もない鍾乳石は真っ白で綺麗とのこと。

歩き始めて160m程の所に行く手が二つに分かれます。探検コースのチケットを渡して右手、全長120mのコースを進みます。いきなり天井が低くなりザーザーとすごい水音が洞内に響きます。まず見えてきたのが、光に美しく映える「洗心の池」です。あびくま洞を育む地下水です。

一般コースよりも石筍、石柱が多くみられる迷宮のような道を進んでいきます。

頭上注意とかかれたところのように、かがまないといけないポイントもしばしばあります。

地獄の精霊」ではニョキニョキ生えている鍾乳石が精霊のように見えます。

さらに狭い道を下っていき、人ひとりやっとかがみこんで通れるなめらかな鍾乳石の間をくぐり、丸太橋を渡り、階段を上ります。

三層に分れる洞内の最大のホール「滝根御殿」が現れます。ここで一般コースと合流します。公開部分最上層にある直径30m、短径18m、高さ29mの巨大空間はどこか厳粛で、歴史ある大聖堂のようです。地下水によって石灰岩が溶かされ空洞になった後、数十万年をかけて色々な形の鍾乳石が観察できる現在の姿になりました。鍾乳石の博物館の様相で見どころの鍾乳石はさまざまな色に美しくライトアップされているメインスポットです。

1cm伸びるのに70年から100年かかるといわれる鍾乳石の芸術が、光の演出で美しさとスケール感をさらに引き立てられています「クリスタルカーテン」石灰成分を含んだ水が流れカーテンのように結晶化した鍾乳石です。水の伝わった線が透き通るほどに薄いものは珍しく、光を透し、石の模様をみることができます。

「シールド」は上部が円盤状になっている稀にしか形成されない大変貴重な鍾乳石です。目にはみえませんが2枚の板の間に隙間があり、そこから石灰分がにじむ出て成長します。国内観光鍾乳洞の中で最大級です。

ボックスワーク」は天井や壁面に格子状に形成されるめったにみられない大変珍しい鍾乳石で、国内観光鍾乳洞ではあぶくま洞だけです。石灰石の割れ目に沿って二次生成物がカーテン状に成長し交差4したものと考えられます。

写真の「観音像」の上部に見える、クラゲの大群のような部分が「ビッグフローストーン」と呼ばれる珍しい鍾乳石です。壁面を流れ落ちるしずくが再結晶化し、滝のようになったもので、高さ20m、国内5位の大きさとのこと。

滝根の斜塔」と名付けられた鍾乳石は驚きです。不自然に曲がっています。石灰石を含んだ水の流れまで斜めになっているため出来上がってから曲がったとしか考えられません。

最後の大トリが「黄金柱」と書かれた巨大な石柱です。ここまで大きな石柱になるにはいったい何万年かかってできたのか驚きです。

滝根御殿を上方に向かって階段を上って行った先に洞内第二のホール「竜宮殿」があります。高さ約13mのホールで、滝根御殿にはない分厚いフローストーンや巨大石筍、壁に付着した礫など個性的な鍾乳石が観察できます。

樹氷」は上部のつらら石とつながった巨大な石柱です。大己さと樹氷のような美しさが特徴です。となりの「クリスマスツりー」は洞内最大級の樹氷と並ぶ巨大石筍。側面が小さなつらら石や石筍で飾られ、まさにクリスマスツリーです。

さらに下って「神秘の門」の石柱を見たあと

幻想の世界あぶくま洞の最後を飾るのが奥まった空間に広がる「月の世界」です。ここでは、石筍、石柱、リムストーン、鍾乳管など、鍾乳石の主だったものがすべて見れます。日本の鍾乳洞で初めて舞台演出用の調光システムを導入し、様々なライティングで夜明けから夕暮れまでの移り変わりを2分間隔で表現しています。幻想の世界のラストシーンをいっそう美しく盛り上げています。

最後に出口までの階段を上れば神秘の世界ともお別れです。

 

 

 

おすすめの記事