春の週末一足早く南アルプスとコラボする桜咲く山梨北杜市へ

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日本の名峰富士山、八ヶ岳、甲斐駒ケ岳に代表される南アルプス、奥秩父の山々など、残雪が美しくも峻烈な山々に囲まれて、春の山梨は桜に彩られます。なかでも北杜市は2000m級の山々が立ち並び、白い残雪の南アルプスを彩る桜、アートスポットに咲く桜、天然記念物の桜など印象的な桜が点在。4月上旬から4月の下旬まであちらこちらで満開の姿が楽しめます。春の週末、長野よりも一足早い春にの息吹を感じたいと南アルプスとコラボする桜咲く山梨・北杜市へ出かけます。

北杜市で一番の必見は山高神代桜です。中央自動車道須玉ICで降り、駒ケ岳広域農道レインボー道路を走って向かいます。甲斐国、山梨県北杜市武川町山高にあり、武田信玄の永代祈願所でもある日蓮宗大津山実相寺。このお寺の境内南側に位置し、残雪の甲斐駒ケ岳を背に雄大に咲き誇る桜こそ新日本名木百選・日本三大桜のひとつ「山高神代桜」 です。名の由来は小高い山高地区にあるためといいます。

二千年もの永い間咲き誇るこの神代桜は、『古事記』などで知られる日本武尊が、東方遠征の際、山高の地に逗留した記念に植えたといわれています。その後、この地を通りかかった日蓮上人がこの木の衰えを見て、蘇生を祈ったところ樹勢が回復したとも伝えられ、日蓮上人が広めた経にちなみ「妙法桜」という別名があります。

推定樹齢2000年以上とされ、樹高約10m幹周りは約12mで、日本で最古・最大級のエドヒガンザクラです。100年前の1922年に国の天然記念物第1号に指定された当時、枝張り東西27m、南北30mあったといいます。折れた太い主幹は裂け目や瘤ができ、樹洞が広がり、根元は岩のようにこぶになっていますが、支柱に支えられて幹から伸び枝に1年かけて蓄えた力を注ぎ花をいっぱい咲かせて大地に根を張る姿は悠久の時を超えて神々しい。開花時には淡紅色ですが、満開時には白っぽく見えることからシロヒガンとも呼ばれています。

今では山高神代桜に加え、境内には日本三大桜の子桜や約30本の桜、その周りには15万株のスイセンも咲き、残雪の南アルプスの山々を背景に色彩豊かな春の景色を見せてくれます。

日本三大桜の山高神代桜から車で5分ほど、北杜市武川町眞原(さねはら)地区にあるソメイヨシノの桜並木が「眞原桜並木」です。眞原の桜並木は、標高約680mにあるのどかな牧草地に、道路が桜のトンネルになり、その背景に甲斐駒ケ岳が控えます。カーナビは「アグリーブルむかわ」を入力すると便利です。

桜並木と雪を頂いた甲斐駒ケ岳のコントラストがため息がでるほど美しく、八ヶ岳を遠望する景色も素晴らしいです。写真撮影のメッカでもあり、週末には全国から訪れる観光客で賑わいます。数年前のサントリー南アルプス天然水のミネラルウォーターのCMロケ地になったことで著名な地となりました。

この桜は昭和20年代にこの地に転住した人々が牧草地を通る道の両側に植えたもので、約200本のソメイヨシノが約750mにわたるトンネルを作っています。並木の中程に駐車場(無料)があり、桜トンネルならではの桜吹雪の中を散策するのも素敵です。また近くのアグリーブルむかわに美味しいサクラソフトクリームがあります。

県道606号で甲州街道(国道20号)を跨ぎ、「清春芸術村」へと車を走らせます。廃校となった清春小学校の跡地に芸術の拠点を目指して創設されたのが「清春芸術村」です。白樺派の同人が建設を夢見て果たせなかった“幻の美術館”を、武者小路実篤や梅原龍三郎ら白樺派の作家や20世紀最高の宗教画家、ジョルジュ・ルオーとの出会いがあった吉井画廊(東京)の吉井長三氏が実現したもので、「清春白樺美術館」をはじめ、レストラン、アトリエなどが点在するアート村です。石の門柱には画家・梅原龍三郎の書だという「清春芸術村」と見事な文字が目を引きます。

鉄扉をくぐると桜の名所でもあり、大正14年3月、旧清春小学校の落成を記念して生徒が植樹した約30本のソメイヨシノが1万7000㎡の敷地を囲むように植えられていて、樹齢80年以上の風格ある桜並木がが見事です。またこの桜を愛し、描き続けている画家の岸田夏子氏の絵をレストランでみることができます。

道をはさんだ向かいにある北杜市郷土資料館(観覧料200円)の2階テラスから見下ろす景色も必見です。清春芸術村のシンボルであるとんがり屋根と16角形の形がユニークな会員制貸アトリエ「ラ・リューシュ(蜂の巣)」と桜群が一望できます。パリ万国博覧会でワインのパビリオンとして建設され、のちにアトリエとして使われシャガールなどもいたという、パリ・モパルナスにあるアトリエ、ラ・リューシュを再現しています。

県道606号を長坂駅方面へ。駅から徒歩15分のところにある「長坂牛池の桜」は町中にある小さな溜め池です。灌漑用に整備された池は道路から少し入ったところにあるので静かにゆったりと桜を楽しめます。

「長坂湖」とも呼ばれる池の周りに整備された散策路やウッドデッキをゆったり散歩しながら、池を取り囲むように植えられたソメイヨシノと南アルプス甲斐駒ケ岳や八ヶ岳を眺めることができます。本来は湖面に映る満開の桜や湖面に落ちた花びらが一面のじゅうたんとなる様が見れるところ、この日は池に水がありませんでした。

さらに県道609号、608号と走り、中央自動車道とJR中央本線との間にぽつんと佇む一本桜「神田(しんでん)の大イトザクラ」を訪れます。エドヒガンザクラの変種で枝がだらりと垂れさがるのが特色です。樹齢400年、幹回7.5m、樹高9m、枝張り東西南北ともに20mとその名の通り山梨県内でも稀に見る大きさと樹形を誇る桜で、県の天然記念物に指定されています。

田んぼの真ん中にあることから、周囲を遮るものは何もなく(現在は樹勢回復の為防風ネットがあります)見晴らしが良く、残雪の南アルプスとの景観が魅力的で、その姿は中央本線を走る列車の車窓からも眺められるほどです。土地の人からは「花が一斉に咲く時は豊年」と言い伝えられています。

県道608号をそのまま東へ道の駅南きよさと方向へ向かいます。途中にあるのが、平安時代末期に武田氏の祖、逸見黒源太清光が築いたといわれる国指定の遺跡が「谷戸城跡」です。

春、流れ山と呼ばれる小山全体に約400本のソメイヨシノや八重桜が咲き誇り、見事な景観を作ります。外苑を回る遊歩道があり、木々の間から八ヶ岳や富士山、甲斐駒ケ岳のパノラマが絶景です。史跡整備が進められ、郭や土塁などが昔のように復元されるなど、在りし日の姿がよみがえりつつあります。

「道の駅南きよさと」から国道141号清里ラインを走り須玉方面へ。八ヶ岳の雄大な山懐に抱かれ、南アルプスや甲斐駒ケ岳を望む須玉町津金地区にある施設が「三代校舎ふれあいの里」です。この施設には明治・大正・昭和の3世代にわたる校舎が立ち並んでいます。地域の子どもたちに教育をとの願いで、神社の境内に建てられた擬洋風建築の学校が明治校舎、その後手狭となって大正校舎が建てられ、そして中学校が必要となったとき、昭和校舎が建てられました。100年以上も前から子どもたちの勉学の場、遊びの場として地元に愛され、「こんな景色、どこかで見たことがある」そんな懐かしを覚える校庭にソメイヨシノが約30本、満開の花びらを散らしています。現在は新たな観光スポットとして注目されています。

明治校舎 「津金学校」は明治8年(1875)に落成された、建設当時の県令・藤村紫朗の名から藤村式と呼ばれた山梨に現存する5つの擬洋風建築の学校のひとつです。現在は水色に塗られた窓や欄干がポップなハイカラ外観と木造が特徴の須玉歴史資料館になっています。当時学校で実際に使われていた始業の鐘、足踏越み式オルガン、手回し蓄音機など学校教育の歴史を体験できます。1階のカフェ「めーじかふぇ」では自慢のコーヒーでゆっくり過ごすことができます。

大正校舎 「農業体験施設 大正館」は平成15年文科省「廃校リニューアル50選」にも選ばれたように、大正13年(1924)に建てられた木造校舎をほぼ忠実に復元した建物で、施設ではほうとう作り、そば打ち、陶工芸、田植えから野菜作りといった農業体験など、1年を通じて多彩な体験ができます。

昭和校舎 「おいしい学校」は、昭和28年(1953)に完成した建物を外観を模して平成12年に総合観光施設に生まれ変わりました。パスタやピザのおいしい香りが漂う行列のできるイタリアン「ぼのボーノ」、昔懐かしい食器で食べる給食や、自家製酵母・無農薬地粉を使って焼き上げた手作りパン工房、心身を癒すハーブ湯、宿泊棟が集まった観光施設です。

自然と共に生きる山紫水明の里、山梨県北杜市で桜をめぐる一日でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

県道606号をまっすぐ南に下ればそこは甲州街道宿場町「台ヶ原宿」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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