
長野県伊那市と諏訪市・下諏訪町の境界に位置する守屋山は、諏訪湖を挟んで八ヶ岳(2899m)の対岸、南アルプス最北端にあり、信州百名山や花の百名山にも選ばれている東峰(1631m)と西峰(標高1651m)の2つの山頂を持つ双耳峰。守屋山の頂上からは日本アルプスや八ヶ岳、諏訪湖を望める眺望と、花の百名山に名を連ねる豊かな植生が人気の山です。ルートは3つ。杖突峠コース、立石コース、松尾峠コースがあり、今回は巨石巡りが楽しめる立石コースを選びます。BS朝日「そこに山があるから」で2026年6月3/10日前・後編で金子俊貴さんが登っていました。総距離約5.5km、標高差約400m、所要時間3時間半です。
中央道諏訪ICから国道152号(杖突街道)で杖突峠から守屋神社を目指します。杖突街道は、日本武尊が東国からの帰途、峠で杖をついて休んだという伝説から名付けられた長野県茅野市と伊那市高遠を結ぶ、全長約30kmの古道(東山道)・歴史街道です。ルートの中間には標高1247mの杖突峠があります。守屋神社は杖突峠登山口を下った先の高遠町藤沢にある守屋神社里宮と守屋山山頂にある奥宮があります。
鳥居扁額には「物部守屋神社」とある物部神社の創建は不詳ですが、祭神は物部守屋で、飛鳥時代蘇我馬子と勢力を2分した豪族です。崇仏論争の末およそ1400年前の丁未の乱で排仏派の物部守屋が討たれて物部氏が滅びました。物部守屋の次男武麿がこの地に逃れてきて森山に隠れ住み、諏訪大社の神官守矢氏の養子になったと言われています。森山に守屋が祀られたことで守屋山という名になったとのこと。また諏訪大社の祭神である建御名方と先住の洩矢神との戦いで建御名方が勝利し、洩矢神は建御名方に従い神長官として実施知的に諏訪大社の祭祀を取り仕切っていたといいます。
立石コースの登り口は杖突峠から500mほど下ったところにあります。街道沿いに「守屋新道」の看板と足元に「守屋山立石コース(入口)」の標識があります。見落とさないようにします。(車は道路反対側:廃墟TAKA TOに数台停めれます)
舗装路を登っていくとほどなく立石コースの登山口に到着します。舗装道路を最奥まで進んでも別の登山口がありますが、ここは標識に従って進みます。
守屋山の登りは明るい樹林帯の中の道が頂上まで続いています。
立石コースのみどころはダイナミックな岩々に出会えることです。まずは「亀石」を発見。亀の甲羅のような形をした巨岩で、見る人によって様々な表情を見せ、目を楽しませてくれます。苔むした岩肌や周囲の木々とのコントラストが美しい。
コース名にもなっている「立石」を発見。高さ10m、まさに山中に堂々と立っているかのような巨石です。かつて山里の人々がお坊さんに見立て、朝夕に家内安全や世の中の平和を祈ったとされ、坊主岩とも呼ばれています。
立岩の先で道が分岐します。左が“岩巡りコース”、右は“尾根コース”で標識に従って左手に進んでいきます。
案内板にあるように十文字岩、平成のヴィーナス、夫婦岩、屏風岩、鬼ヶ城と順に現れてきます。「十文字岩」は巨大な岩の表面に十字の溝や亀裂が入っている神秘的な奇岩です。自然の造形か古代の印かとロマンを感じさせてくれます。
十文字岩の脇には「平成のヴィーナス」と銘板が置かれているのですが、それが岩なのか樹木なのか・・・。
3つの卵のような岩が並んでだ「親子岩」。奥の2つの岩が夫婦で手前が子どもでしょうか。
「屏風岩」に沿うように登っていきます。高さ10mほどあり圧倒されます。
岩巡りコースの見どころのひとつ「鬼ヶ城」に到着です。岩小屋のように廂があり、岩が重なりあって洞窟や岩陰のようになっています。はるか昔、ここに鬼が棲んでいたのだとか。
石めぐりの終着地点は標高1357mにある平らで広い岩盤の「百畳岩」。ここで“尾根コース”と合流します。鬼ヶ城の上部にあり、下部に鬼ヶ城の大岩室にあたります。
梯子を上って平らなところに立てば、天気が良ければ南アルプスの絶景が眼前に広がります。
百畳岩から少し歩くと、コースの左手に浅間の滝への分岐があります。浅間の滝は水量が少なく、岩の間から染み出す程度でしたが、富士山の祭神である木花開耶姫がここに祀られています。時間があるようなら立ち寄ってみてください。木花之佐久夜毘売が全名で、山の神である大山祇神の娘で、天照大神の孫の瓊瓊杵尊の妻となりました。
コースに戻って鞍部である一休平(標高1500m前岳休処)でしばしの休憩タイムです。ベンチもあり、ほとんどの登山客がここでひと息いれています。右手に行けば、3分ほどで守屋山の一座で標高1514mの前嶽の山頂です。残念ながら眺望はほとんどなく、四等三角点があるだけとのことで、今回は素直に左手、守屋山を目指します。
東峰への踏ん張りどころの息切坂。急な登りが続く場所で、『息切は心臓、肺への最高の良薬です。がんばりましょう』『胸突き八丁 もうひと頑張りです』の励ましの看板が、東峰までの道のりを後押ししてくれます。
東峰へのラストスパート道は、森を抜け視界が開けると青空が広がり、空に向かって伸びています。青空へ続く道は、清々しい景色を期待させてくれます。この手前で「杖突峠コース」との分岐にぶつかります。
登山口から登るとまず東峰(標高1361.2m)に着きます。まずは展望を楽しみます。山頂付近は岩場で狭く、休憩及びランチタイムには、ベンチもある西峰が最適です。
眼下に諏訪湖を望み、湖尻の先に鉢伏山、その右手に美ヶ原さらに茅野市から富士見町にかけて右手になだらかな八ヶ岳の裾野を見ることができますが今日は生憎雲がかかっています。
東峰の岩を降りた肩のところ、磐座とおぼしき岩の脇に守屋神社奥宮が鎮座しています。守屋神社は雨乞いの聖地であり、耕筰の季節には、高遠町片倉の氏子が奥宮へお参りし、石造の祠を山頂から高遠側へ突き落して神様を怒らせて雨を降らせたといいます。現在では祠を転がすことがでないように鉄の柵で囲っています。
俗謡で「おじりはれ 守矢に雲を押し上げて 鵙きち鳴かば 鎌をとぐべし」(湖の尻尾が晴れて、守矢山へ雲が上がり、百舌鳥が吉と鳴くなら、必ず雨やみ天気になるので急いで鎌をといで草刈にいくべし」とあり、天候を司っていました。
守屋山の最高点である西峰(標高1650.3m)まで登れば(東峰から20分程度)完全制覇でしたが、同伴者の体調もあり東峰で下山。下山コースは尾根コースを選択し、百畳岩まで緩やかな尾根道を下っていきます。
登山コースから百畳岩を横から見る。
鬼ヶ城頭岩
子宝石を通り再び立石コースとの分岐に戻ってきます。尾根コースでは違った角度から巨岩や奇岩を見ることができ新たな発見があります。この先は立石を横から見ながら往路と同じ道を進んでいきます。
下山したところは、往路と違い、舗装道路を上がった最奥でした。そのまま舗装道路を下って駐車場に戻ります。
日本展望の山100に選ばれている山で、長野県では、守屋山、入笠山、長峰山、鷹狩山などが有名です。天気の良い日に再チャレンジしたい山となり、その際には、立石コースから杖突コースへの周回コースを歩きたいと思います。