千葉県大多喜町の山奥、妙法生寺天拝園は天空のアジサイ園

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城下と渓谷の町で、房総の小江戸とも言われる大多喜。すでに16世紀には在城とも伝えられ、天正10年(1590)本多忠勝が10万石で大多喜城に入城し、それ以後、現在の城下町は形成され宿場町としてもにぎわいました。また紅葉で有名な養老渓谷からさらに奥地にはいったところにはちば眺望100景にも選ばれている麻綿原高原があり、この時期アジサイの群落を見ることができます。梅雨の晴れ間に関東随一の天空のアジサイ園に出かけます。

養老渓谷などで知られる千葉県大多喜町の山奥にある麻綿原高原は、清澄山系の最東部に位置し、清澄寺の北3.5km、養老川、小櫃川の分水嶺にして標高340mの初日山にある関東随一のアジサイの名所として知られています。低山でありながら、平地より涼しいため、アジサイの見頃は、例年7月上旬から中旬。しかしながらここまでの道程は、かなり厳しいものがあります。養老渓谷を過ぎてからは車一台が通るのがやっとの山道を延々走ります。またこの地に毎年7月上旬に響き渡るヒメハルゼミの鳴き声は環境庁選定の「日本の残したい音風景100選」に選ばれています。

南房総にも高天原伝承があり、この付近は天原(アメハラ)と呼ばれていて、この地名は「麻綿原」と書かれて「アメハラ」と呼ばれていたと考えられています。いつしか漢字の音にひかれて「マメハラ」と発音されるようになり、現在では「マメンバラ」と呼ばれるようになりました。

駐車場に車を停め、緩やかな坂を少し上ると六地蔵があります。六道とは(地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天)で、法を説き、諭し、守護しているお地蔵様です。

向かいの菩提梯から登壇します。

上り切った先には、やすらぎと生きる勇気を、の願い込めて建立された「やすらぎかんのん」がアジサイに囲まれた中から姿を見せています。

アジサイ群は、麻綿原高原にある天拝園と名付けられた日蓮宗妙法生寺境内が中心で、昭和26年(1951)箕輪日受師が廃寺を再興し、法華経の文字数に合わせて7万本を目指しアジサイを植えたことに始まります。現在、住職が丹精込めて育てたアジサイが2万株の大群落になっています。天拝園とは、一年中の日の出が水平線より拝めるため天を拝する所という意味です。

天拝園の入口になる六即門。六即とは仏様と同じ悟りに至るための六段階のことをいいます。

品種は和種「ホンアジサイ」のため白から青へ変化するだけですが、その素朴な色合いが高原全体に広がる景観は美しく、「麻綿原ブルー」が壮観です。

山頂になる初日山天拝園見晴らし台からは房総の山並みと太平洋の大パノラマが広がりますが、この日の早朝はまだ雨模様で残念ながら見えませんでした。古来よりこの山は初日山。初日千光峯とも呼ばれ、頂上は国見の地でもありました。

尾根続きのこの地は、建長5年(1253)日蓮上人が昇る朝日に向かい初めて「南無妙法蓮華経」という題目を唱えたところとしても知られていて、天拝壇題目坂を上った山の上には、六角堂の大日天堂「朝日日蓮大菩薩」が祀られています。日蓮上人の石像が、日が昇る方向を見つめ、お題目を唱えています。

持仏堂までは人生の階段を下りていきます。仏教の基本、気付きの練習で、階段を年齢に例えて一歳、二歳と数えながら歩き、現在の歳になったところで一度立ち止まって振り返ってみるとよいという教えで傍らには「べんがくこぞう」が佇んでいます。

持仏堂には自由に拝観することができ、靴を脱いで拝観します。正面に日蓮上人像、

隣にパワーブッダと呼ばれ、自由にハイタッチができるお釈迦様がおられます。

持仏堂の前には天拝園に咲くアジサイの群落を展望できる席が用意されています。

持仏堂からは「やすらぎかんのんさま」まで108mの厄除坂を下っていきます。この間約3千個の白い小石に教文を書いて道の両側に埋めてあります。

帰路の途中、三面大黒尊天をお詣りします。正面に大黒尊天、向かって右に弁財天、左に毘沙門天が彫られ、その三神が一体となったのが三面大黒尊天で、由来は古く、伝教大師最澄がその霊験がゆえに比叡山の守護神として大黒堂に祀った事に始まります。比叡山で学ばれた日蓮大聖人もお手紙の中に大黒天の事を書かれていて、当山では江戸期より祀られているとのこと。

アジサイの時期(6月20日~7月20日)までの期間は会所の森親水広場から駐車場、さらにその先は一方通行になるので注意が必要です。この時期養老渓谷に戻ることはできないので、再度一度国道465号に出て県道178号から行き直すことになります。この後大多喜城に向かいます。「本多忠勝が治めた房総の要衝・必勝のまち大多喜城下を歩く」はこちらhttps://wakuwakutrip.com/archives/12222

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