曽爾高原の美しさ!それは里山の高原を覆い尽くす「ススキの海」

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秋も深まりいよいよ紅葉シーズン到来である。信州はもう紅葉時期も峠を過ぎてきている頃であるが関西はこれからが本番。その手前の週末である今日だからこそ、すすきの散策ができる「曽爾高原」に向かうことにしたのである。

静かな曽爾川の流域に開ける曽爾村は奈良県の東北端、三重県に接する村で、1000m級の山々に囲まれた谷間にあり、「日本で最も美しい村」連合に加盟している。「曽爾は大和の国宇多郡の東の果てにて、今の世、八村ありて曽爾谷と言う。古の漆部郷なりとぞ」と古事記にも記されているように漆塗りの発祥の地と言われ、江戸時代は伊勢参りへの道として栄えました。この村の大半を占める山地は室生火山群に属し、西側の岩肌もあらわな鎧岳、兜岳、屏風岩などの珍しい柱状節理の美景は国の天然記念物に指定されている。また東に位置する倶留尊山、亀山、古光山などのなだらかな山々とその山麓に開ける雄大な曽爾高原一帯は室生赤目青山国定公園に指定されているます。名古屋に在住していた時にドライブした日本さくら名所百選「三多気の桜」、日本の滝百選「赤目四十八滝」、青山高原三角点等も属しています。

朝早く近鉄難波に行き「曽爾高原すすき散策きっぷ」を購入する。名張駅までの往復乗車券(通常980円×2)+曽爾高原までの三重交通バス往復乗車券(通常810×2)+ビールドリンク(500円)+お亀の湯10%割引がついて2680円。名張まで快速急行で一時間、名張駅からはバスで約50分程度かかるのですが、ここにも山ガールが大量出没で、みんな同じ切符を持っているのにびっくりです。

村内は南部を国道369号通称「伊勢本街道」が横断しているが、バスは村の中央を流れる曽爾川に沿って走る県道名張曽爾線(81号)を名張から名張川の支流青蓮寺川沿いに南下し、青蓮寺ダム沿いにさらに南下します。ダムの向こうには以前妻と行った「イングルサイド カフェ」が見える。さらに南下すると紅葉谷バス停からは「香落渓」であり、落合バス停先の小太郎岩付近まで紅葉の名所なのです。

「香落渓」は、西の耶馬溪と呼ばれる渓谷でまるで斧で断ち割ったかのような断崖や奇岩が8kmに渡って続き、全山を染まる紅葉と柱状節理の岩壁とのコントラストが見事です。中でも天狗柱岩、鬼面岩、鹿落岩、羅漢岩などの名前を聞くだけでも楽しくその雄大な光景はバスの中からでも自然の造形美を楽しませてくれる。落合からは曽爾川になり、新宅本店というそば屋の前をとおり太良路からは左折して太良路川沿いに登っていくと曽爾高原バス停に到着します。曽爾高原バス停から一気に国立曽爾青少年自然の家まで登ること約600m、20分ほど歩きます。この先トイレがないので、ここで済ませておきます。

青少年の家を出るとすぐ、曾爾高原が見えてきます。日本300名山も一つ倶留尊山(標高1038m)から南の亀の背に似た亀山(標高849m)を結ぶ尾根の西麓に広がるのが曽爾高原です。ここは昔、集落の家々の屋根を葺く材料を刈るカヤ場でした。その景観を残そうと保護された一帯約40haがススキの群生地となって素晴らしいハイキングコースになっています。秋も深まる10月半ばになると一面すすきの穂が風が吹くたびにしなやかに金・銀色の大きな波のように揺れる、雄大な景色を楽しむことができるのです。日本の「遊歩百選」に平成14年(2002)選ばれている。

全国の野原のいたるところに生息するお馴染みの「ススキ」ですが、花言葉は「心が通じる」で別名「萱」とも 呼ばれ、昔から茅葺きの屋根にも使われてきた丈夫で生命力のあるイネ科の植物です。「日本の秋」を代表する植物で秋の七草のひとつである。お月見に団子と一緒に供えられるのは家にツキ(月)を呼び込む意味があるのだとか・・・

散策路に沿って背丈ほどもあるすすきの中を進み、丁度広場のようなところに出る。ベンチに腰かけしばし休憩。目の前に広がるすすきの草原はあまりにも広大で、どこを見てもススキ、ススキ、ススキ・・・。普段、道端に生えているすすきに気を留めることはめったにないが、ここ曽爾高原は違う。太陽の動きと共にその表情を変え、ふわふわさらさらと穂をなびかせるススキたちは、人のこころをとらえます。

倶留尊山から亀山にかけての山肌が、すり鉢状にせり上がり、圧倒的なススキの壁ができるのです。その中を中腹のお亀池から、亀山山頂に向けてススキに包まれるような一本道を上ります。

尾根の斜面から眼下に見える色の異なるひょうたんの形をしたお亀池が見渡せます。小高い亀山からお亀池までのゆるやかな傾斜は、綿菓子を敷き詰めたようなやわらかい白色に覆われていた。亀山の中腹にあり、一説では火山の火口との説もある湿地帯です。数多くの伝説が残るお亀池であるが、昔、太良路に住む若者がお亀というみずみずしい美人の嫁をもらったが産後実家に帰ってしまい、子供が夜泣きをするのでお亀に乳をもらいに行くとお亀池で乳を与えてくれたのであるが、再び行ったときには怒ったお亀が大蛇になってこのお亀池に現れたたというものである。

麓の草原から見上げると、かなり急斜面に見える亀山であるが、石畳の道から稜線右手にある亀山峠までの道はすべてすすきの中で、お亀池を右手に見ながら、整備された直下の木段のハイキンギ道をゆっくりマイペースで登る。斜面を吹き上がる風にススキが規則正しくなびいて美しい。

20分ぐらいで稜線に出ると、そこが標高810mの亀山峠です。眼下に曽爾高原を一望でき、正面には室生火山群が広がっている。ここから右上の頂は倶留尊山で、二本ボソを越えて山頂まで小一時間の距離であるが今回は入山料も必要とのことでパスします。

亀山峠から亀山山頂へは唯一の難所(山ガールの女性にとっては)といえる岩場があり、短い距離だが慎重に下りていきます。

15分程度で山頂に。山頂のそこからはなだらかな高原越しに集落が見下ろせ、その向こうに室生火山帯に属する鎧岳、兜岳、屏風岩の曽爾三山などの奇岩の山並みが迫ってくる。心地いい風、秋の澄んだ空、見事な秋の景色、山頂でランチや一休みに最高です。

岩場のあとは木段に。前方には香落渓の紅葉が目に飛び込んできます。

後半は落葉広葉樹の雑木林び変わるとクマザサの道になり、「お亀茶屋」に到着する。山頂からここまで15分程度です。曽爾高原唯一のお休み処の「お亀茶屋」はお亀池に面して建っているのでお亀茶屋であろう。コーヒー・しるこ・甘酒・葛湯などの温かい飲み物からわらび餅・よもぎ餅など地元お勧めスイーツやおかめそば・おでんなどがあり、よもぎ餅をいただいて「曽爾高原ファームガーデン」まで下ることにする。

戻り道はお亀茶屋からお亀池を右手に身ながら石畳の道を行きます。お亀池を周遊することもできます。

お亀茶屋を見下ろしながらススキの中を上っていきます。

曽爾高原ファームガーデン敷地内には曽爾高原温泉「お亀の湯」がある。名前の由来は曽爾高原の「亀山」と美人伝説にあるひょうたん型の「お亀池」から名付けられたもので泉質はナトリウムー炭酸水素塩泉で美人の湯といわれるものである。石造りと木造りの2種類の浴室はどちらも露天風呂があり、男女が週ごとに入れ替わります。五十肩にも、今日の筋肉痛にも効く効能があり露天風呂で手足を伸ばし筋肉の疲れをほぐします。泉質はナトリウムー炭酸酸水素塩泉でpH8.6のアルカリ性のなめらかな泉質はツルツルの肌触りにしてくれます。

湯上りにはクーポンがついていた地ビール券の有効活用をしたのはいうまでもない。2008年、曽爾高原湧水群が平成の名水百選に認定され、その天然の湧き水を使った、本場ドイツのブルーマイスター直伝のオリジナルビールの「曽爾高原ビール」が味わえました。

追記・・・夕景は昼間とはまるで違う景色になり、茜色に染まる空と雲、そして夕陽を浴び、黄金色に輝く大地は美しいとのこと。陽が落ちた頃、お亀池の周りの行燈に灯りがともり、昼間とも夕刻ともまた違う日本的な風情を醸し出してくれるとのこと。今回はバス旅で夕刻にはバスが最終になってしまうので時間を気にしなくて済む自家用車の方はぜひどうぞ。

 

 

 

 

 

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