“風景美術館”のもてなしも。ここだけの絶景コレクション日本平

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35歳で沼津に移住した歌人の若山牧水は、雲や日光、朝夕や四季によって表情を変える富士の姿に感慨を新たにしたと聞きます。葛飾北斎が『富嶽三十六景』で描いたように、富士の姿は場所や季節によってそれぞれの趣と存在感を際立たせるようです。北斎が描いた、主に晩夏から初秋の早朝に赤く染まって見える赤富士もいいですが、やはり富士山といえば月並みながら、空気が澄み山容がはっきり見えて、冠雪を頂く姿が印象深い。巨大な山塊の頂きを覆う白が蒼穹に映え、最も絵になります。数ある富士山の絶景ポイントとして名高い景勝地・日本平を訪れます。

東名高速道路清水ICで降り、朝一番、冷凍マグロの取り扱い港として日本有数の清水港へ。仲卸業者が直接販売する「清水魚市場 河岸の市」でマグロいただきます。年間100万人以上が来場する“清水港地元の台所”で、毎朝セリが行われる清水魚市場のすぐそば、マグロをはじめ、鮮度抜群の海鮮グルメが楽しめる「いちば館」「まぐろ館」それぞれに清水自慢の新鮮な海の幸が味わえる店が合わせて35店舗が並んでいます。

今回選んで入ったのは、いちば館で早くから開店している海鮮お食事処「のっけ家」です。午前9:30から開店しているので待ち切れず入店。おすすめの数量限定20食「本鮪大とろ頭肉丼」を注文しました。大トロほど油がしつこくなく口に入れた瞬間溶けてしまうような味わいです。

万葉の昔から白砂青松と海岸越しに仰ぐ霊峰富士の眺望の素晴らしさで、極楽浄土に例えられ、大正11年(1922)に日本で初めて名勝に指定された景観は、2013年世界文化遺産「富士山ー信仰の対象と芸術の源泉ー」の構成資産のひとつとして静岡市清水区にある「美保の松原」も登録されました。三保半島にある景勝地で、日本新三景(大沼、耶馬溪)、日本三大松原(虹の松原・気比の松原)のひとつとされています。約7kmの海岸線に3万本余の松並木が連なる白砂青松の名勝地です。

まずは古くから三保の地域を守ってきた羽衣伝説ゆかりの神社で羽衣の切れ端が所蔵されているという、駿河国三宮「御穂神社」に詣ります。

祭神は大己貴命(別名三穂津彦命)・三穂津姫命の両神で出雲国の御穂埼から遷座した神であると伝えられますが明らかではありません。平安時代に編纂された『延喜式』にもその名が残る由緒ある神社で、日本武尊が東征の際に立ち寄ったと伝わり、大和朝廷をはじめ、駿河の地を治めた今川氏や徳川氏からも篤く崇敬されました。

境内にある左甚五郎作と伝わる木製の神馬は「何でも願い事を叶えてくれる」とされています。江戸時代中期の安永2年(1773)におきた駿府大火の際、静岡浅間神社にあった2頭の神馬が御穂神社まで走って逃げてきましたが、1頭の神馬しか静岡浅間神社に帰らなかったといいます。静岡の北原白秋作詞の民謡「ちゃっきり節」にも「浅間さんの白いお馬よ 三保へお馬よ なぜ逃げた」と唄われています。

羽衣の松を依代として降臨した三穂津彦命・三穂津姫命の両神が「御穂神社」へ向かったという伝説があり、御穂神社の御神体でである羽衣の松が生える海岸から神社まで続く神様が通る道とされる、樹齢200年ほどと言われる松並木に囲まれた「神の道」が約500m延びています。周りには一般の住宅もあるのですが、清々しい空気が流れる松並木に包まれるようにして歩いていると、不思議とパワーをいただいているような気持ちになります。夜にはライトアップされ幻想的な空気が漂います。写真の松はまるで鶴が羽を広げたような形です。

神の道を抜けると三保の松原に入口に着きます。そのまま階段を上ります。羽衣の松に出会える期待感で胸がおどります。

案内板に従って海岸方向へ進むと、それまでは聞こえなかった波の音が聞こえてきます。ほどなく天女が衣を枝にかけて水浴びをしている時、漁師が衣を取り上げ、返す代わりに天女も舞を披露してもらったという羽衣伝説で知られる「羽衣の松」と対面です。現在「3代目」のクロマツで樹齢200年ほど、幹周りは約3.5m、高さは約15mと四方に形のよい枝を伸ばしています。どこかで天女が舞っているかのような気がして思わず松を見上げてしまいます。

羽衣伝説は、室町時代につくられた謡曲「羽衣」の題材となり、江戸時代には浮世絵や歌舞伎の題材ともなりました。羽衣の松の右手には、謡曲「羽衣」を舞踏化したフランスのバレリーナ「エレーヌ・ジュグラリスの碑」が立っています。

海岸に出て二代目羽衣の松の隣に鎮座するの「羽車神社」は御穂神社の離宮です。羽車に乗って三保の海に降臨した三穂津彦命・三穂津姫命の両神がここから神の道を通って御穂神社に鎮座し、離宮として羽車神社が設けられたと伝えられ、江戸時代には羽車磯田社と呼ばれていました。現在に羽車神社は昭和31年(1956)の再建です。

総延長7km、5万4000本の松林が生い茂る海浜である三保の松原から波越しに眺める富士山は美しいのですが今日はあいにく曇天で・・・。ここは「鎌ヶ崎」といわれる松原の中でも遠景の富士山と近景の松が美しい調和をなす場所です。古くから多くの画家や写真家に愛されています。

三保松原唯一の源泉かけ流しの温泉、三保はごろも温泉・天女の湯のある三保園ホテルの近く、三保半島の東端に「清水灯台(三保灯台)」が建っています。日本初の鉄筋コンクリート造りの灯台で、明治45年(1912)3月1日に設置され平成24年に点灯100周年を迎えました。平成21年(2009)近代化産業遺産、平成22年(2010)土木遺産に選定されています。

白亜の小型灯台で八角形をした灯台の頂点にある風見鶏は、最後の灯台守の娘による羽衣の天女のデザインとなっています。

国の名勝、日本平は、約600万坪、東京ドーム425個分にも及ぶ「日本平・三保の松原県立自然公園」内に位置し、大正15年、徳富蘇峰によって絶賛された駿河湾の沿岸近くにある標高308mの有度山を中心とした一帯の丘陵地が広がります。昔から富士山を眺望する景勝地でした。

日本平はその昔、日本武尊が東征の際、この地において野火攻めにあい、火に囲まれた際、倭姫命より授かった「天叢雲剣」(草薙剣)で周囲の草を薙ぎ払い活路を見出したとされ、賊を平定した後、この山の頂上に登り四方を眺めたところからこの名で呼ばれるようになったといいます。

そんな日本平に2018年11月3日。駐車場から5~6分ほどのところに高さ約12.7mの3階建てのガラス張りの正八角形の建物「展望施設」とデジタルタワーを囲む一周約200mの「展望回廊」と四季折々の花が咲く広大な庭園によって構成される「日本夢テラス」が誕生しました。日本平夢テラスは、新国立競技場や高輪ゲートウェイ駅などの設計を手掛けた隈研吾建築都市設計事務所により、県産木材をふんだんに使い、富士山を望む自然景観と調和した設計になっています。

施設内は、久能山東照宮など日本平の歴史や文化をパネル展示した「展示エリア」のある1階から階段を上ります。2階には約1200㎡ある四季折々の花が咲く施設の魅力を引き立てる庭園を眼下に楽しみながら寛げる「ラウンジスペース」があります。青島みかんジュースや日本平夢サイダー等がいただけます。

3階には展望フロアがあり、天井を見上げると美しい木組みの様子が見られます。法隆寺夢殿をイメージした八角形の建物は、静岡県産のヒノキで組んだ屋根など木材をふんだんに使い自然との調和を図っています。館内から見上げると複雑に組まれた天井の梁の幾何学的な配置が印象的です。屋内からガラス越しに180度の展望が楽しめます。

屋内からガラス越しにも眺められますが、屋外には、展望フロアの外周とつなげて8の字を描くように、隣接の日本平デジタルタワー(電波塔)を取り囲んで展望回廊のデッキが巡っています。展望回廊からは、標高300mの丘陵地にあることから木々や建物などの遮蔽物がなく、撮影スポットとしては、八角形の屋根をかすめて、北東方向に50km先、富士山の偉容を眺めることができます。駿河湾越しに伊豆半島も見える。富士の裾野を隠すように高根山や浜石岳,大丸山など500m~700m級の山並みが連なり、右側は南隣の愛鷹山に連なる山裾が一望できます。御前崎方面から南アルプスも一望です。

下方は空の青より濃い紺碧の海と朝に訪れた清水港、そして清水区の市街地がミニュチュアのように広がっています。目を転じれば、三保松原も望める。風景を360度見亜渡せるのがこの施設の特徴で、写真や絵画のように切り取られた風景ではなく、眼前に絶景の一大パノラマが展開される様は、圧巻であり、いつまでも見飽きることがありません。

絶景は昼だけでなく、日本平は夜景コンベンション・ビューロー制定の日本夜景遺産に認定されています。黒い山塊をバックに清水港が煌々と明かりに照らされる光景が印象的です。2007年1月TBSドラマ木村拓哉主演「華麗なる一族」で描かれた神戸の夜景は実は日本平から清水の港町を望んだものです。

余談ですが園内には童謡「赤い靴」の母子像があります。野口雨情作詞のこの赤い靴に登場する女の子は1904年7月15日に麓の旧不二見村、現在の清水区宮加三で生まれた「岩崎きみ」さんという実在の人物が題材となっていたことから建てられています。「きみ」が生まれた後、しばらくして故郷を離れ北海道へ渡った「きみ」とその母「かよ」は、訳あって「きみ」が2歳の時に別れ離れになります。その後二度と会うことなく、母を想いながら9歳にしてこの世を去りました。

ひとしきり眺望を楽しんだら、この地を代表する歴史あるホテル「日本平ホテル」で極上リゾートを体感。静岡カントリーGが経営する伝統あるクラッシックホテルの風格さえ感じさせる佇まいで、

一番の贅沢は風景美術館とも称されるホテルのテラスラウンジからの眺望。幅30m、2フロア吹き抜けのパノラマグラスエリアで、大きく取った窓一面に清水港と駿河湾を望む静岡の街並み、うっすらと雪化粧が残る富士山、三保の松原のの絶景が広がり、景色と一体になったような雄大な風景を欲しいままの圧巻のパノラマビューです。

ティータイムでテラスパンケーキセット1550円をいただきましたが、特別館のある優雅なひと時がすごせます。

ここの庭園は木村拓哉主演「華麗なる一族」で万俵家の庭となったところで、庭の池の橋に立ってパチパチと手を叩いています。将軍様は現れませんが・・・

日本平からロープウェイに乗車して久能山東照宮を目指します。2019年12月26日にリニューアルされたゴンドラに乗ればわずか5分で到着です。

家康が眠る聖地・久能山東照宮は、昼も夜も荘厳で優雅な境内」はこちらhttps://wakuwakutrip.com/archives/309

 

 

 

 

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