京の夏!貴船「ひろ文」の川床で涼を楽しむ川床料理

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鴨川に流れ込む支流の一つ、貴船川に沿って料理旅館や飲食店が軒を連ねる京の奥座敷・洛北貴船。京都の中心部より5~10℃も気温が低いといわれ、9月下旬まで貴船川に夏に風物詩「川床」が登場し、ますます涼を感じられるようになります。せせらぎの音に香る風、そして涼やかな料理。川を利用して食事をするという夏ならではの風習、それが川床です。蒸し暑い京の夏をしのぐ知恵と、風流を楽しむ雅な遊び心が生み出した独特の文化は、エアコンのと整った現代でもすたれることなく続いています。それはたぶん川床の魅力が私たちの心の中まで涼感を届けてくれるからでしょう。JR東海CM「そうだ 京都、行こう」で、「京」と「水」とでできた「涼」でした。(2002年 夏)とあります。この夏、貴船の川床で目にも涼しい景色を楽しみながら、京の夏を満喫します。

叡山電鉄鞍馬線にゴトゴト揺られ、のどかな山あいに入ってしばらくすると貴船口に到着します。市中より5~10度も気温が低いというウワサを体感しながら貴船川沿いを歩けば、10分ほどで料理旅館の集落にたどり着きます。貴船神社に向かう道は川床で華やかになっていきます。

貴船でぜひ楽しみたいのが川床料理。鴨川の川床<ゆか>の対して貴船では川床<かわどこ>と呼び、料理旅館や食事処が貴船川の真上に座敷を設け、それぞれに手がける料理を提供しています。貴船の川床は、なんといっても川を我がものにしたかのような贅沢感が魅力です。川幅いっぱいに床を広げ、足下20~30cmほどのところを清流がサラサラ流れていきます。頭上では緑濃い青紅葉の葉がざわめき、膳に映る木漏れ日を揺らしています。自然をそのまま生かした水上の座敷です。雨が降れば屋内の食事となり、自然の中の座敷だからこそ天気も味方につけたいところです。

ここでは20軒あまりの店が建ち並び、ほとんどの食事どころでは、本格的な京料理や季節料理が堪能できます。鮎をはじめとする川魚に旬の山菜、この時期に欠かせない冷やし素麺など、夏の貴船川によく似合う料理の数々が涼し気な盛り付けの粋とども五感すべてで存分に味わいます。

料理店が並ぶ貴船の玄関口にあるのが、貴船の川床としては200席と最大級の広さを持つ料理旅館「貴船 べにや」さん。下流にあるので川幅が広くゆったりとした雰囲気です。

貴船神社の参道入口隣に立ち、天保年間(1830~1844)創業の料理旅館「貴船 ふじや」は、貴船で涼を取る試みとして川床を大正後期に始めた元祖です。貴船神社への参拝者に向けてちょっとした茶店を出していたのが現在の「貴船 ふじや」で、店主だった藤谷駒次郎さんがふと思いついて、貴船川に床几を置いてみました。足をチャポンと川面に浸け、お茶を飲みながら涼んでいたのだが、これが客に大好評で、ただ涼を求めるだけでなく、川の中に身を置くということが、訪れる人の心をとらえたということでしょう。だんだんと床几の数は増えてゆき、ついには現在のような川床スタイルが生まれたのだといいます。そのうち料理屋の数もしだいに増え、戦後には川床もこの地にしっかり定着しました。その昔から“川もの一筋”つめり川魚専門のスタイルを貫き、器が透けて見えるほど繊細な“鯉の薄造り”や、ジュッと音をたてて運ばれる鮎の石焼き、川エビのあらいなど名物料理が目白押しです。いつも新鮮な味わいがあるようにと、ウナギのおとし、鯉の納豆和えなど料理長のアイデアは次々と生まれ、訪れる人に川魚の旨さを教えてくれます。情熱と愛情のこもった料理を、せせらぎの音とともに堪能したいものです。

反対の参道入口にある昭和7年(1932)創業の「京・貴船 ひろや」は昔宮内庁の御猟官として仕えていたこともあり、政界ご用達の名店。外から川床が見えません。大きな氷塊を美しい器にして造りが運ばれ、まわりの気温が一段階下がりそうな涼し気な盛り付けは職人の手でひとつづつ彫刻され、同じ形はまたとないといいます。黒い器に白鳥の羽根を使って塩の清流を描き、鮎が川をのぼる活きのいい姿を現した鮎の塩焼き“石庭”には、誰もが思わず歓声をあげます。もてなしの妙、その心は季節京懐石の一品ずつに感じられ、もみじの天井が爽やかな川床でいただければ、空間、料理、盛り付け、そのすべてが相まって、このうえなく優雅な時間が過ごせます。貴船の贅を味わえる、雅かな食事処です。

貴船神社より上流に創業50年の料理旅館「川床料理 仲よし」があります。川幅がいちばん狭く、流れも急とのことですが、平日昼だけの「ミニ会席6500円」はお得です。穴子や甘鯛(ぐじ)を包んだ道明寺の蒸し物は女性に人気とのことです。

その隣が貴船の川床なら「右源太」と言われる千年以上の歴史を持つ貴船神社を支えた社家の家筋にあたる一族が経営する有名店で芸能人も訪れます。貴船川の上流にあり、川魚活料理が自慢の料理旅館で川床では川魚をメインにした会席料理が味わえます。川をまたぐように設置された川床は野趣あふれる構えで、岩場の水しぶきが涼を呼びます。また、日除けの葦簀や紅白の名入り提灯が和の情緒を感じさせるのも素敵です。貴船川の冷たい伏流水で泳がせ身を引き締めた鮎は、川魚の臭みなどまったく感じさせない美味しさ。生きたまま調理される新鮮な鮎の刺身や鯉のあらいは氷の上でひんやりと、鮎の塩焼きは焼き石にのせてアツアツのところでいただきます。細めの麺が上品な“絹そうめん”も名物のひとつで、真夏でも人気があるという地鶏のすき焼きもこの涼しさでこそ楽しめるメニューです。

近年、貴船を貴船を歩く人の波が変化し、若い人もどんどん訪れるようになったことから平成12年の夏、木のぬくもり溢れるモダンな喫茶&ギャラリー「貴船倶楽部」をオープンさせています。

そして結社参道手前、「左源太」「兵衛」の次に上流にあるのが「ひろ文」です。

アスファルトの道から石段を降り、貴船川の川床に足を踏み入れると、そこはまるで別世界です。川のせせらぎとともに流れくる山の涼風は、京都の夏の蒸し暑さをきれいさっぱり拭い去るように清々しく吹き抜けていきます。小さな段差を流れ落ちるいくつものミニサイズの滝が、ミクロの霧を作り出し、フワリと漂い、しっとりとした空気となって肌を優しく包み込んでくれます。

京都の川床のイメージ写真はほとんどがひろ文です。お店前の貴船川の幅が広く視界が開けるような開放感が特徴です。渓流をまたぐように張った床の緋もうせん、よしずがかけられた天井にともる提灯、真っ白な滝しぶきが緑をいっそう輝かせています。

座敷に座ると川面すれすれに張った床から、ひんやりと立ち上がる水の冷気とともに風が吹き込み、まさしく天然のクーラー。せせらぎの音、真っ白な滝のしぶき、見上げれば木々の緑に小鳥のさえずりとまるで掛け軸の絵のような風景であるこの素晴らしいロケーションのなか周辺の青もみじが涼しげで、川音を聞きながら味わう夏の京会席の味を満喫します。手をのばせば川の清水に触れられ蒸し暑さとは無縁の別天地に頬は緩みっぱなしです。

先付・八寸にはちょっとグロテスクな子鮎、しじみの山葵漬け、麩まんじゅう等色鮮やかに並んでいます。

造りはサーモン、ハマチに鱧落としである。梅肉が添えられていた。

焼物の鮎の塩焼きは小ぶりながら身が引き締まってホクホク、川魚臭さもなく、頭からかぶりつけます。関西以外ではなかなか添えられていない「たて酢」もついています。

焚合せにはイチジクがあったのには驚いた。

油物は、ししとう、レンコン、岩魚の唐揚げ、すり身と揃い踏み

冷鉢の極細の絹巻そうめんは湧水でキリッと冷やされ喉越しがよい。三輪そうめんかな?

おいしい湧水で焚かれたごはんと吸い物。香の物にデザートのメロンと御馳走様でした。

日も暮れ、京の奥座敷ならではのゆったりとした一日を過ごすことができました。

食後にはぜひ、貴船神社の本宮から奥宮まで散策を。「もの思えば沢の蛍も我身よりあくがれ出づる玉かとぞみる」と和泉式部の歌碑に思いを馳せながら、京の奥座敷ならではのゆったりとした一日を過ごしてみてはどうでしょう。鞍馬に足をのばしてみるのもいいですよ。

涼しげな清流と緑が調和する夏の京の奥座敷「鞍馬」「貴船」へ」はこちらhttps://wakuwakutrip.com/archives/273

 

 

 

 

 

 

 

 

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